恋した人を忘れることができるのか
今、家の中にあるつかわないものを捨てています。
階段下の物置
台所の床下収納や吊り戸棚
玄関のシューズクローゼット
和室の押し入れ
家の裏
つかわないものがたくさん。
食器、小型家電、自転車、健康器具、水筒
紙袋、空き箱、鍋、クーラーボックス
ごみ処理センターに持ち込んだり、
燃えないごみの日にせっせと運んだり。
ああ、すっきり。
私に必要なモノが残っていきます。
そのうちの1つが、時計。
まだ動いているからでもあるけど、
止っていても、 捨てない。
もう30年以上前に、
当時、好きだった人からもらった時計。
同じ高校に通っていた彼。
高校卒業後の、
20歳の誕生日のプレゼントだったかな。
大学2年生のときに、
1年間だけ一人暮らしをしたときの。
19歳の誕生日はシルバーリングだった。
これも、黒くさびても、捨ててない。
きっと、
贈ってくれた彼に、
時計もシルバーリングも
記憶はないだろう。
・・・もしあったら、超嬉しいけど、
それは甘い、わかってる。
いや、でも、もし、もしもよ、
私になにを贈ろうか、
迷ったときの気持ちを覚えてくれてたら・・・
もしもそのとき、
うんと迷ってくれてたとしたら・・・
・・・あはは、少女マンガやね。
彼と会わなくなってから30年。
この時計を見ると、
好きだった彼に
恥ずかしくない生き方をしようと思う。
だから、たまに時計にうなづいてる。
大事な会議に出るときとか、
吐き気がするほど緊張する仕事のときとか。
恋愛感情って消えることはあるのかな。
いや、これは恋愛感情じゃない。
だって、相手は30年以上の記憶の人。
この気持ち、なんて言うんだろう。
もしも、もしも、
彼が航空大学校に進学せず、
地元企業で就職していたら・・・
地元企業で就職、決まってたやん?
私も地元で就職したし、
もしも、もしも、
彼がパイロットになってなかったら・・・
どうしようもない、
「もし」をたまに考えてしまう。
この時計のかわいらしい花は、
私の頭の中を、お花畑にするのよね。
やっぱり、彼は私の初恋の人。
・・・ずっと特別な人。
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