「趣味は『学校』かもしれません」現役高校生・宮下結衣、テレビ出演の合間に欠かせない“大切な時間”
『二月の勝者』『十津川警部の事件簿』と、ドラマにおいて存在感を発揮してきた宮下結衣が、4月よりNHK Eテレ高校講座で放送がスタートした「数学A」にレギュラー出演中だ。
ドラマとは趣向がガラッと異なる教育番組。現役高校生という立場だからか、またこれからの飛躍を見越しての抜擢なのか……いくつかの起用理由が浮かんでくるが、「教科の中で一番数学が好きなんです」と語り、すでに数学検定準2級も取得しているという、番組と“相思相愛”の理由があった。デビューのきっかけ、高校生活の様子なども含め、等身大の彼女の声をお届けする。
■高校のうちに数検2級は取りたい
「ドラマとは撮影の仕方が違うので、いつも新鮮な気持ちで撮影しています。セリフを言うにしても、数学がテーマなので感情の込め方が難しいですし、かといって機械的に喋るのも良くないし、“いかに自分の言葉で言えるか”ということを意識しています。」
すでに「数学A」の撮影を何本か取り終え、こう振り返る宮下。いったいなぜ、数学に興味を持ち始めたのか。
「中学生になったときは、嫌いでもないけど別に好きでもない教科だったんです。だけど、中三最後の期末テストで96点を取って『私、数学が得意なんだ』って自信がついたんです。それから高校生になって、めちゃめちゃ好きな先生が数学担当で、さらに授業も面白くて、どんどん解けるようになって。問題が解けるのって、楽しいし好きになっていくじゃないですか。いま、テスト前とかは、友だちに解き方を教えていたりします」
その数学を好きになるきっかけを作ってくれた先生に、番組出演の報告をしたところ「『自分の得意なことを仕事に繋げられて本当に良かったね』と言ってもらえて嬉しかったです」と微笑む。当面の目標は、数学検定2級に合格することだ。
「準2級を受けた時、周りがほとんど大学生で、高校生が私含めて4人くらいしかいなくて、次はもっとレベルが高くなっていくんだろうなと思っています。受験勉強にもつながっていくので、とりあえず来年には絶対取りたいですね。それ以上に頑張らなきゃいけないのが英語で、英検3級を受けたとき、面接で英語を全然喋れなくて、それ以来苦手になってるんです。理系の人も英語科目は必修だから……どうしよう(笑)」
■『恋は続くよどこまでも』で映像の世界に憧れ
そもそものデビューのきっかけは、榊原郁恵、深田恭子、綾瀬はるか、石原さとみら数多くの有名俳優を輩出した、所属事務所伝統のオーディション「ホリプロタレントスカウトキャラバン」だ。
「元々小学校5年生から舞台をやっていて、その中でホリプロの方とお話する機会があったんです。そこでそのときのスカウトキャラバンのテーマが『ミュージカルスターを探せ』っていうことを聞いて、気になって受けてみました。合宿審査で落ちてしまったんですけど、マネージャーさんが『ホリプロで活動してみませんか』っていう風に言ってくださって、所属しました。それまでは舞台しか見てなかったんですけど、ドラマを見るようになってからは、『映像の世界に行きたい』っていう想いが芽生えていたので、いまこうやって自分が出演できることが嬉しいですね」
とくにハードルなくデビューへの階段を登っていったように思えるが、オーディションを受ける際は、母親からの反対にあったようだ。
「『舞台だけならいいけど、映像の世界はまだ駄目だよ』と言われてたんです。宣伝などで
メディアに出る機会が増えて、危険なことに繋がるんじゃないっていう不安があったのと、生半可な気持ちでできる世界じゃないと思っていたみたいです。ただ、ホリプロに願書を送ったときの私の文章を読んで、『本気なんだな』っていうのを認めてくれて」
その内容については、「実は全然覚えてないんです(笑)」と振り返る宮下。大人の心を動かす表現をすでに兼ね備えているというのは大器の片鱗か。将来は、夢中になったドラマの出演俳優のようになることだという。
「1話から最後まで、はじめて通しで見たのが『恋は続くよどこまでも』(TBS系)で、そこで上白石萌音さんの大ファンになったんです。演技を見て元気をもらって、いろんなことに対してエネルギッシュになれて、『私も誰かのこういう存在になりたい』と強く思いました。ちょうど修学旅行中にも放送があったんですけど、みんなで布団をかぶって、音量をちっちゃくしてキスシーンをキャーキャー言いながら見た思い出があります(笑)」
■俳優「兼」サッカー部マネージャー、文化祭委員……
今後、さまざまな作品に出演していくことが期待されるが、まだ高校2年生になったばかり。「学業あっての芸能活動」と、自分でも時間の使い方を意識しているという。
「学校がめちゃめちゃ好きなので、撮影終わりで学校に行くとか、逆に学校終わって撮影や打ち合わせに行くっていうスケジュールを組んでいます。友だちと話したり、授業を受けたりっていうのも楽しいんですけど、空間自体がすごく好きなんです。朝一に登校して、授業で使われない教室で海外にいる友だちと電話したり、放課後の暗くなってきた雰囲気が好きで長めにいたりとか」
サッカー部のマネージャー、文化祭の運営にも所属しており、「一体何足のわらじを履いているんだ」とツッコミを入れたくなるぐらい、自由時間はないのではないかと心配してしまう。だが、彼女自身はそんな日々に充実を覚えているようだ。
「自由な時間がないと言えばないんですけど、全然それは苦ではなくて、むしろ暇ができることのほうが戸惑ってしまいますね。だから今のサイクルが自分に合ってるのかなとは思います。サッカー部の顧問の先生が、2年連続担任の先生っていうこともあり、私のことを色々な面で理解してくださっていますし、『こういうことをしてみるのもいいんじゃないか』っていうアドバイスもくれたりするので、良い環境で毎日を過ごせています」
【リーズンルッカ’s EYE】宮下結衣を深く知るためのQ&A
Q.もしオフの日があったらなにをしますか?
「私、趣味が全然ないんです。小学生のときは、シンクロを選手としてやっていたので(※全国3位になったこともあるほどの実力)、練習量がすごくて、友だちと遊ぶ時間も1時間あるかないかくらいだったんです。中学生になってから事務所に所属して、いま高校生になって考えてみると、『私の趣味って何なんだろう』ってことに気づくんですよね。一番楽しい時間ってことを考えると、『学校』っていうことになると思うんですけど……次のインタビューで答えられるように趣味を作っておきます!(笑)」
<編集後記>
インタビューをするにあたっては、事前に丁寧な下調べをするのが基本なのだが、宮下さんにおいては、数本のドラマ出演のみで“まっさら”に近い状態。まだ16歳ということもあり、回答慣れしていないことを念頭に入れてのぞんだが(むしろそれが普通だと思う)、その心配は杞憂に終わるぐらい、楽しそうに自分のこと、仕事のことを話してくれた。それだけ日々が充実していることの証左でもあるし、華やかな舞台に出ていくべきポテンシャルを持ち合わせた人なんだろう。
<マネージャー談>
“天真爛漫”という言葉はこの子の為にあるのではないか。と思うくらい、いつも明るく常に笑顔な子です。つい先日は、人見知りをしなさすぎて数学Aのスタッフさんに収録の前日に学校であった出来事を話していました(笑)
吸収力がすごく、私が出会った頃よりもどんどん成長しているので、これからの宮下結衣を皆さんも楽しみにしていただけると嬉しいです!応援宜しくお願いします!
【番組情報】
NHK Eテレ高校講座「数学A」
放送日:4月以降毎週金曜日10:20〜
取材・文/東田俊介
写真/松井綾音
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