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読めるのはここだけ!『向こうの果て』柿澤勇人&山野海のスペシャル対談 共通する時間は休憩室とソルト

まさに「重厚」で「骨太」。そんな言葉がしっくりとハマる連続ドラマ『向こうの果て』(毎週金曜午後11:00)がWOWOWで絶賛放送中だ。放火殺人容疑で逮捕されたのは、ミステリアスな美女・律子(松本まりか)。自らの生い立ちと律子の壮絶な背景を重ねる津田口検事を演じるのは、俳優の柿澤勇人。津田口検事を検察事務官としてサポートする南川を原案兼脚本の山野海が務めている。ドラマが後半戦突入の佳境にある中で、柿澤&山野の対談が初実現!共通する時間が「休憩室の息抜き」と「ソルト」であることが判明した!?

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■ガス抜きをすることで『さあ行くぞ!』

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二人の関係性は非常に奇妙。劇中での設定は、検事とそれを支える事務官というバディ。しかし現実の設定は俳優同士というバディでありながらも、一方は作品の生みの親であり脚本家だ。それだけに柿澤は「海さんはこのドラマの原案者でもあるわけですから、作品全体に対する思い入れは強いと思います。それもあって僕は現場に入るまで『脚本家の方が真横にいるって…どうしよう』と正直不安でした」とプレッシャーを感じていたという。

ところが結果は「カットがかかって休憩になった途端、二人で休憩部屋に直行するような仲に。休憩部屋では、今回のシリアスなドラマの世界とは真逆のバカ話をしていました」とすっかり打ち解けた。これに山野も「本当に他愛のない、小学校5年生男子レベルのくだらない話ばかりをしていました。でもそうやってガス抜きをすることで『さあ行くぞ!』というメリハリが生れた気がします」と振り返る。

■横にいてくれて頼もしかったし心強かった

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そんな「休憩室での時間」が劇中にいい相乗効果をもたらした。柿澤は「僕と海さんは役柄としてもバディというか、検事と事務官という関係性だったので常に一緒にいました。海さんが最初から僕に対してオープンに接してくれたことで、役柄の上でもコミュニケーションが取りやすかった。今では横にいてくれて頼もしかったし心強かったと感じています」と最敬礼。

山野は「今の言葉でカッキーに100円をおごりたくなった!」とジョークで柿澤を笑わせる一方で「カッキーは『決めない人』です。検事だからこう、暗い運命を背負っているからこうというステレオタイプに役柄を当てはめることはせず、その時の役の感情や相手の反応、さらに現場の雰囲気や監督の気配などを察知して演じる。とても自由で、共演者として“この次どう出る!?”というワクワクと面白さを与えてくれました」と柿澤の演技力を高く評価している。

■何度もボタボタと涙を流していました

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そんな山野は、検事室での柿澤VS松本による感情のぶつかり合戦をドラマ後半戦の見どころに挙げる。「後半の展開の中で、津田口と律子の生き様と感情がリンクする瞬間があります。その重なりからのはじけるようなスパークの瞬間を私は特等席で見ることができた。本当にゾクっとしたし、次に何が飛び出すのかわからず、私自身も芝居を超えて『ちょっと!』とか『検事!』とかリアルに反応していました」と証言する。

出会った男によって印象を変える哀しき女・律子。これが連続ドラマ初主演となる松本まりかの熱演を超えた狂演は一見の価値あり。メガフォンを執ったのは映画『ミッドナイトスワン』が絶賛された、映画監督の内田英治。柿澤は「律子が涙するシーンにしても、色々な泣きのパターンを撮る。多い時では5回くらいそれが続きました。松本さんも食らいつく様に何度もボタボタと涙を流していました」と女優魂に感嘆する。

■入浴剤はソルト!私は博多の塩派

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その検事聴取シーンは三日三晩をかけて撮影されたという。必要なのは集中力。ちなみに柿澤と山野が集中力を高めるためにやっていることとは?

作家としての顔も持つ山野は「執筆の前に必ずやるのは携帯アプリゲーム。書き始めが苦しいので、まずはゲームをやりながらちょっとパソコンに向かい、徐々に徐々にパソコンに向き合う時間を長くしていく。そうするといつの間にかブワッと集中して書ける。でもゲームに課金はしませんよ(笑)」と独特なルーティンを発表。柿澤は「舞台でもドラマでも、セリフを覚えるときは必ず書き写す。役者によっては歩くことで集中して覚えるという方もいますよね。ちなみに覚えるために手を動かすのは脳にもいいそうです」と読み書き修練を実践している。

癒しの時間について柿澤が「お酒とお風呂!湯船の縁にビールを置いて、半身浴をしながら飲むのが最高。入浴剤はソルト!」と明かすと、山野も「わかる!塩は新陳代謝によくて、お風呂上り後しばらくしても汗が止まらない。私は博多の塩派」と大共感。

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■コロナの向こうの果てにあるものとは?

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ソルト同盟を組むほどに分かり合う二人が近い未来に望むことも同じ。それは打ち上げだ。「実は『向こうの果て』はコロナの影響もあり、打ち上げができていないんです。この状況がひと段落したら撮影チームと集まって、お疲れ様の打ち上げをしたい。天気のいい夏なんかいいですね」と期待を込めると、山野も「打ち上げの場こそ、お世話になったスタッフさんとじっくり話すことができる大切な機会。このドラマではそれができていない。だからまだ終わった感覚がありません」と悔しそう。現実でも劇中でも、柿澤と山野は『向こうの果て』の先にある希望の光を待ち望んでいるようだ。

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【プロフィール】
山野 海(やまの うみ)
1965年9月16日生まれ、東京都出身。1999年、劇団ふくふくやを立ち上げる。2016年1月、ゴツプロ!第1回公演「最高のおもてなし!」にて演出家としてもデビュー。また、竹田新名義で全作品の脚本も担当している。
Twitter
柿澤 勇人(かきざわ はやと)
1987年10月12日生まれ、神奈川県出身。2007年、劇団四季に入所し同年「ジーザス・クライスト=スーパースター」でデビュー。退団後は、舞台のみならずテレビドラマ、映画でも活躍。2021年7月「ジーザス・クライスト=スーパースターinコンサート」にシモン役で出演予定。その他、多数の待機作が控える。
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【番組情報】
WOWOWオリジナル「向こうの果て」

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写真/まくらあさみ
取材・文/石井隼人


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