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俳優・鶴見辰吾、40歳を過ぎてはじめた“本気の趣味”の数々――ライブ活動はすでに10年以上

中学生でデビューして以来、キャリアはすでに40年以上を数える俳優・鶴見辰吾。ドラマ、映画、舞台と、いまだ第一線で精力的に活動するバイタリティは、プライベートの時間にも及ぶ。ロードバイク、マラソン、ゴルフ、筋トレ……そして今回軸に取り上げる「音楽」と、趣味の多彩さに驚かされる。
 
そしてそのどれもが、決して浅く広くではない、“本気の趣味”。今回のインタビューを通して、「自分もこうなりたい」と思わせてくれる“カッコいい大人”としての佇まいを感じてもらえれば幸いだ。

■音楽ライブは「本業」にも活きてくる

――これまで、俳優としての歩みをインタビューされたことはあると思うんですが、今回、12月6日に行われるライブ、いわゆる「音楽活動」の面にスポットを当てたいと。
 
「たしかになかったですね(笑)。定期的にミュージシャンの中島フミアキさんと、『ためご日和』というライブを行っていまして。出会いは山口百恵さんの楽曲を使ったミュージカルで、彼と共演したのをきっかけに仲良くなって、ライブにも足を運ぶようになったんです。そこから『参加してみないか』とお声がけしてもらって、最初は歌だけだったのが、いつの間にかギターをやるようになった感じです」
 
――ギターを若い頃からずっと演奏していた、というわけじゃないんですね。
 
「はじめたのは40代後半からですね。それこそ中島さんは、別で杉山清貴さんと『京浜ボーイズ』というユニットもやっていて。中島さんが蒲田出身、杉山さんが磯子出身という“京浜東北線”にゆかりがあることから名付けられたんです。僕は別に関係なかったんですが、芸名が『鶴見』だから入れてくれと冗談半分で言ったら『入るならギターを弾いてもらわないと困る』っていうので、取り組むようになったんです」
 
――『ためご日和』自体はもう長いんですか?
 
「年に1回のライブペースで、今年でもうなんだかんだ11回目になりましたね。最初が2011年の4月1日だったんですけど、ちょうどリハの時に東日本大震災があって、そんな体験をしての初ライブ。お客さんとの一体感がすごくあって、改めて“音楽の力”みたいなものを感じたんですよね」
 
――「舞台で人前に立つ」とは、また違った高揚感がありそうですね。
 
「そうですね。“自分が音楽の一部になる感覚”っていうのは、やっぱりライブでしか味わえない。あと舞台と違って、袖にはけることなく、ずっとお客さんと向き合ってダイレクトな反応を見ることができるっていうのも大きい。お客さんが何を求めているのか肌で感じられて、それこそミュージカルでも活きてくるんです」
 
――演奏する曲目はどういった構成になっているんですか?
 
「オリジナル、カバーと半分ずつですね。毎年、中島さんとその年のテーマを決めて、選んでいます。と言いつつも、僕が車の中でラジオを聴いていたり、街中で流れている曲から『あ、これライブでやりたいな』と採用するんですけども(笑)」

■50歳を過ぎてフルマラソンに挑戦 3時間前半の好記録

――ギターを40歳後半からはじめるのもそうですが、自転車もマラソンも40歳を過ぎてからじゃないですか。多趣味ですし、それぞれ大会にも挑戦していたりと、なかなか真似できない道を歩んでいるなと。
 
「いやいや。そんな大層なことはやってないですよ。おそらく、若い時だったら、 見向きもしなかったようなジャンルだったと思うんですけど、年を重ねていくうちに、『体力を維持していたい』『健康でいたい』とか、そういう欲求が出てくるんですよね。他のスポーツでも、そうしたことがきっかけでどんどんハマっていくおじさん達、多いですよ」
 
――まず、自転車はなにがきっかけではじめたんですか?
 
「ゴルフがずっと好きで、練習場にも頻繁に行っていたんですが、どうせだったら、車じゃなくて自転車で行った方が健康に良さそうだなと思ったことがきっかけです。いまだにクラブ3本担いで行ってますよ(笑)。あとは、横浜に住んでいるんですが、自転車に乗るようになってから地理がわかってきて、“住み慣れた街”のような感覚になっていくのが楽しかったんですよね。思えば、子どもの頃、自転車で移動していたおかげで、地元を深く知るようになったなあと」
 
――そこから富士山麓を駆け上がる、ハードな『Mt.富士ヒルクライム』に出場するまでにのめりこんで。
 
「『ロードバイクって1日100キロぐらい走れるんですよ』と人に言われて、『人力で100キロって夢みたいな話だな』と思って、スイッチが入った感じでしたね。一通り大きなレースに出て、50過ぎからはいわゆる“街乗り”に戻っちゃいました」
 
――マラソンにのめり込むようになったのは、その後のことですかね。
 
「2015年に、初めて横浜で市民マラソン大会が行われるっていうのを知って、横浜市民としては出たいなと本格的にはじめた感じですね。フルマラソンにおいてはサブフォー(4時間未満で走り切ること)というのがひとつ指針になっているんですが、自転車仲間から『自転車乗っていたんですから、3時間半は切ってくれないと』と発破をかけられまして。じゃあ頑張るかと、50歳の時に、3時間12分で走ることができて、翌年には3時間9分のタイムが出せました」

■僕らの仕事には“遊び心”が必要

――仕事もある中で、本当にすごいですね……。
 
「自転車と違って、ランニングは準備が靴だけなんで、やる気さえあれば、起きてさっと3〜40分走ればいいんです。僕はロケで地方に行ったりするときも、スニーカーを一足持っていって、合間にちょっとでも走って。“練習できない時間”っていうのはなかったです。まあでも、そんなことをしてたら体が締まりすぎちゃって、来る役柄が偏ってきたんですよね」
 
――と、言いますと?
 
「やせ細った病人の役とか、胸を押さえて血を吐いて死んでしまう役とか(苦笑)。2017〜8年はそんな仕事がよく舞い込んできて、『これはまずいぞ』と。そこから体重を増やして、そうですね……自転車をやってた頃より18キロぐらいは増えたのかな。いまでは大手自動車会社の社長の役とか、総理大臣の役が来るようになりました」
 
――いまでこそバイプレーヤーとしての立ち位置ですが、20代の頃は相米慎二監督の『翔んだカップル』で映画主演するなど、“主役”にこだわりを見せていくタイミングがあったかと思います。
 
「その頃は色々頑張ってやってきましたけど、日本の作品だと、どうしても時間の制約があって、海外のように1年かけて1つの映画を作るみたいなタームがないんです。それなら、『短いタームでいろんな役を楽しもう』と、考え方をシフトさせていった感じですね。とくに僕らの仕事は、仕事と遊びの境目が曖昧なところがあって、“遊び心”が存在しないと、面白くなくなってしまう。そういった意味では、多数の役を演じられるっていうのは幸せなことですよね」
 
――では今度のライブも“遊び心”が満載ということで。
 
「ええ、結構トークが多めです(笑)。開催が12月ですから、中島さんと今年あった出来事を話しつつ、『金八先生』の頃の私しか知らない方は、人となりも分かっていただける良い機会かなと。興味がある方はぜひお越しください」

【リーズンルッカ’s EYE】鶴見辰吾を深く知るためのQ&A

Q.多趣味な鶴見さん、いま一番やっていて楽しいことは?


「ゴルフは相変わらず楽しいですね(笑)。あと、長年『日本舞踊』を習っているんですが、今年ようやく“名前”をいただきまして、踊りの師匠から『舞踊をやっているって多方面で言っていいわよ』とお許しが出たところなんです。僕の演技の下支えにもなっているだけに、ある程度結果が出たのは嬉しかったですね」

<編集後記>

個人的に、90年代の日本映画が好きなのだが、『GONIN』『鮫肌男と桃尻女』『フリーズ・ミー』など、当時のギラギラとした空気をまとわせる映画で、ひときわ存在感を発揮しているのがこの人だった。ただその後は時期によって変化を見せ、弁護士、医者、社長、優しいお父さんと、一定のイメージをつけない名バイプレイヤーぶりが光る。この優れたバランス感覚、まさに趣味への“楽しみながら本気で取り組む”姿勢が相関しているのではないだろうか。インタビュー中、「筋トレ、いいですよ。はじめてみませんか」との言葉に安易に頷きそうになったが、まずは時間マネジメントから改革していくことにします。鶴見さん。

<マネージャー談>

毎年恒例となっている、ためご日和ライブですが、今回はさらにパワーアップした音楽、トークを皆様にお届けいたします!そのため少しでも多くのお客様に来て頂きたいと思い、鶴見辰吾、Instagramも頑張っております!フォローよろしくお願い申し上げます!

【プロフィール】
 鶴見辰吾(つるみ・しんご)
1964年東京都生まれ。77年、俳優デビュー。『3年B組金八先生』の生徒役で注目を浴び、その後も映画、ドラマ、舞台などで幅広く活躍。自転車では多くのレースで入賞するほどの実力派で、自転車活用推進研究会が任命する「二代目自転車名人」にも就任。マラソンでは、51歳で参加した横浜マラソンで3時間9分27秒を記録するなど、アスリートとしての一面も持つ。中島フミアキとのライブ『ためご日和』は、12月6日(火)横浜THUMS UPで開催される。
Twitter https://twitter.com/shingotsurumi

2022.12.6(火)
Thumbs up横浜にて
 
~ためご日和2022~
open18:30 start19:30
予約4,000円(+order)
当日4,500円(+order)
 
中島フミアキ(VO GT)
鶴見辰吾(VO GT)
丹菊正和(SPICY BEAT PERCUSSION CHO)
サントリィ坂本(KEY CHO)

写真/佐藤亮
取材・文/東田俊介

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