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私の作品紹介2 : 即興でデザインする、ライブイベントポスター

noteの投稿企画「春の連続投稿チャレンジ」は期間が終わってしまったけれど、成り行きで続く私の作品紹介その2。

作品紹介と言いながら、父の思い出を語ってしまったその1は、ありがたいことにnote公式のご紹介で、たくさんの方に見ていただきました。
ありがとうございます。

今回は父とは全く関係なく、デザイナー本来の、つまりいつもの仕事に近いポスターという形態だけれど、いつもとノリが全く違うという、音楽イベントのポスター群です。

まるで違うので念のため貼っておくと、普段の仕事はこんな感じ。

美容とか、健康とか、ファッションとか。
食品とか。
雑誌や書籍もリクエストがあれば。

外国人ミュージシャン多数の多国籍イベント

きっかけは長年習っている英語の先生が音楽イベントを主催することになったことでした。私がデザイナーということで、なりゆきで手伝うことになりました。

最初のうちは素材と一緒に明確なリクエストをもらってつくっていたけど、そのうちに素材をもらうことも少なくなり、アイディアを相談しながらつくるようになってきました。

これはちょっとした英語の実践練習にもなりました。

会場はステージのあるレストラン。毎回、4〜5組のミュージシャンが演奏するんですが、たぶん半数以上が日本在住の外国人(たまに海外からのゲストもあったり)。自然と客席も多国籍。主催者はイギリス人。

おのずとデザインのテイストも変わってきます。

ヨーロッパを旅した時に見た街中や駅のポスターの印象から、ワンアイディアでシンプル、力強い方向に。

主催者の好みもあり、カワイイは封印。写真を使ったりパターンやイラストを使ったり、バラバラだけど、共通させていたのはなんとなくのレトロ感。

毎月のイベントはどんどんやってくる

イベントのタイトルは、LIVE FROM THE KITCHEN DISCO。マンスリーでした。普通のレギュラー仕事を考えてみても、同業者ならすぐに想像つくと思うんですが、毎月だと絶え間なくやってきます。

さらに半分部活みたいなものだったので、そんなに時間をかけてはいられません。(よって直しもほとんどないんですが)

で、ほぼほぼ即興でつくることになったんですが、制約があると、意外と面白かったりするもんなんですよね。

勢いでデザインする感じ。瞬発力。言ってみれば学生の頃に戻った気分。今見ると荒っぽくてちょっと恥ずかしいところもあるんですが、ある意味「作品」ぽいのかも。(荒っぽさはある程度狙いでもあるし)

その中からいくつか紹介したいと思います。

擬態するパターン

やや安直ではあるが、「〇〇風」はやってて楽しい。

みんな大好き、缶バッジ!背景は主催者撮影のジーンズ
レコード

ちなみに缶バッジもレコードもIllustratorで描いています。

迷路

単純だけど好きだったゲーム。このデザインで活版印刷のノートを作ったことがあり、それを流用(時間が本当になかった)。ちゃんとゴールに行けるようになってます。

ポップな色でバンド名を溶け込ませたガムボールマシン。

こちらは色だけで押し切ったデザイン。ガムボールマシンはイメージに合うフリー素材を探しました。こういうカワイイはあり。

思いつきで突っ走るパターン

よくみると宇宙戦争ぽいシチュエーション
灼熱の8月。氷と炎で謎の終末感を出してみた、つもり。
ミステリー仕立て。
春ということで桜と手裏剣。あえてクリシェな感じの外国人向けビジュアル。

周年記念はコラージュで

周年記念の回では一年分のポスターのコラージュというのをやっていました。

それ以下でもそれ以上でもないんだけどなんとなく気に入っている「3」。
テレビドラマ、CSIの影響か。「クライムシーン」的なテープ

引き出しを探す作業

アイディアは今まで旅先で見てきたもの、ドラマ、映画、本、絵画、写真、持っていたイメージから引き出してくることが多かったです。

バックパックで列車を乗り継いでのヨーロッパ旅行。子どもの頃はSFにはまり、家族で古い映画もテレビでよく観た。かと思うとアメリカのジャンクな映画も嫌いじゃないし、人気のポリスアクションも見るし(でも愛国心全開のはちょっと苦手)、イギリスやフランスのドラマも好き。

好奇心にしたがってやってきたこと、見てきたこと、何も無駄なことはない。
これが私にとってのデザインの引き出しかも。

なぜか毎回驚かれる、デザイナーの「属性」

そんなこんなで毎月ポスターをつくり、イベントにも毎月行っていました。

会場でポスターのデザインをしてると話すと、「若い男性のデザインかと思っていた」とびっくりされることが多々。

女性の、しかも若くないデザイナーがデザインしてたとは思わないようで(笑)。

SFもどきの回とかあるからでしょうか。やさしい色使いじゃないから?
それとも単純に、「ドカドカ」してるからかなあ?

確かに考えてみると、女性デザイナーだと女性だからと“女性らしさ”を求められるような案件が自然と多くなるんですよね。

こちらも特色を出そうとして強調したりするというのもあって、致し方ない部分もある。

明るい、きれいな(時にかわいい)、品の良いトーンの仕上がり。色調もたいていは明るめだったり、淡かったり。案件の性質上もあるけれど、日本人の好みの傾向も大いにあると思います。(海外の広告って色彩のトーンが違いますよね。印刷の違いも関わってくるとは思いますが)

でも本当はこういうデザインもすることもある(商品広告ではちょっと難しいかもしれないが)ということで、作品紹介その2でした。


性格はだいぶ違うけど、同じようなノリで仕事をさせてもらったのが(株)エコーさんとご一緒した駅周年グッズでしょうか。ノリをしっかりと受け止めていただけた貴重なお仕事でした。

イベントの主催だったAndiは音楽活動のほか、本も書いているのでついでにちょこっと紹介。

ベラルゴシがドラキュラ役でイギリスをまわっていた時のことを追って調べたVampire Over London: Bela Lugosi in Britainの共著のほか(関係者にインタビューしてまわったそう)、最近では日本を舞台にして書いた怪談、 Ghostly Tales of Japanがあります。
ベラルゴシの方は残念ながら英語版しかないようだけど、Ghostly Tales of Japanはフランス語と日本語に翻訳出版されています。子どもだった息子さんを寝かせる時に話して聞かせた話をベースにしているので、1話があまり長くなくサクッと読みやすいです。昔の話と現代の話の2章に分かれていて、それもちょっと面白い。→「英国人が書いた日本の怪談

英語版「Ghostly Tales of Japan」と日本語版「英国人が書いた日本の怪談」
小道具はミステリをテーマに私がデザインした風呂敷です。


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