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夢日記~部屋にハチが出た

タイトル、ままである。

理由も想像はできる。
実際に前の日、ハチがいたのだ。
どこから侵入したかは不明。
なかなか大きなやつが、部屋の電灯に体当たりしていた。

コン、コン。
妙な音で目が覚めた。
点けっぱなしだった電気の逆光で、姿形はよく見えない。

最初はコガネムシかと思ったが、落ち着きの無さが異常だった。
やがて、輪郭をまざまざと見るに、コガネムシではないと分かる。
危機感が募る。

私は虫が苦手だと言っていい。
見つけ次第、殺す。
しかし、殺すに至るまで、勇気がいる部類の虫がいる。
殺傷能力があり、かつ敏捷性の高いタイプの虫だ。
分けてもハチは、天敵と言っていいだろう。

コン、コン。
ジジジ…ブブブ…
体当たりと羽音で不協和音を奏でながら、一向にじっとしていない。
恐怖だけがいや増す。

そっと起き上がり、部屋を出て階下へ。
父が居た。
ハチ専用のスプレーがあるかと訊くと、おもむろにキン◯ョールを手にした。
いや、それなら私の部屋にもあるわ!
下手なものを使って、刺激して、逆襲されたらどうする!

私のビビリを他所に、父は、それじゃあ…とばかりに、ハエたたきを手にした。
我が家にはその二択しかないのか!
ハエやゴキブリと違って、彼奴らには毒針があるのに!

だが、父はゆっくりとした足取りで私の部屋へ入ると。
しばらくハチの動きを監視したのち。
ハエたたきを一振り。

ハチは地に落ちた。

…それは夜と朝の境を彷徨うような、奇妙な時間のことだった。

なので、これは夢だ、とか、昨日の延長線か、とか。
正直、よく分からなくなってしまった。
恐怖心もその混乱を増幅させていたと思う。

ハチが、また部屋に現れた。
今度は明白に、部屋のひと隅から姿を現した。
どうやら窓か壁に隙間でもあるのだ。…改修したばかりなのに?

そして、次の日も、ハチは現れた。
退治したはずなのに、よくも次々と…。
部屋に何かがあるわけでもあるまいに。

そして、ある日、とんでもない姿のハチが現れた。
いや、これはハチなのか?
異様に長い図体で、羽もなく飛ぶ(ただし羽音はする)。
いかにも何か仕掛けてきそうな攻撃的な輪郭。
普通のハチよりも余程目に毒な明るい黄色。
私の脳が最大級のエマージェンシーを訴える。

そいつをどうやって退治したかは覚えておらず。
ただ、業者に依頼して窓という窓、壁という壁を徹底的に調べ、隙間を埋めてもらったことだけ、ぼんやり覚えている。

そんな夢だ。

・・・・・・・・・・

結局、どこまでが現実で、どこまでが夢なのか?
最初にハチが出たのも、もはや現実感のない話に思えてくる。

でも、久しぶりに父と会話した、という感覚。
これだけは確かなリアリティ。

父の勇姿に、ひとまず感謝しかない。
それはもう、悪夢を払う呪(まじな)いのようなもので。
この気持ちを、しばらくは、忘れないでいられるといいのだけれど。


それでは、また。

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