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"生"に気づいた貴方は"普通じゃいられない"


─────このエッセイを、貴方は見てしまいましたね。



さあ、今ならまだ間に合います。


このエッセイを読んだ貴方の感覚は少しズレてしまいます。



─────最後の忠告です。



後悔しても、知りませんよ?









─────────では。




これは、つい4日前の事でした。


寝静まった暗い部屋の中で、明日のバイトに憂鬱になっていました。



とてつもなく、不安が襲ってました。



そんな時、ふと、何気なく思った事実が恐ろしいものである事に気づいてしまったのです。



──────"生きている"。



目の前のなんら変わらない光景、数年とほぼほぼ変わらない風景。でも、確実に、時間は経っている。



まだ私は20手前。人が死ぬのは80歳。


まだ人生は4分の1も経っていない、のに。



確実に私は死へ向かって生きている、と実感してしまった。


まだ、60年、まだ私は20年しか生きてないんだ。とてつもなく長く感じないか?



記憶が発達し、まともな思い出が思い出せるのが幼稚園年長時代以降、5歳から。そこから段々と記憶が蘇る小学校の6年。


部活の時間、授業の時間、運動会合唱祭の準備の時間がとても長く感じる中学校3年



友達と馬鹿騒ぎし、受験期という生きている人生の中で一番苦しく、長く感じ、早く終わってくれと願った高校の3年。



ほとんど記憶のない5年と、色濃く残った15年。



これだけお腹を満たすような時間を過ごして、まだ20年だ。



まだ折り返し地点にすら私は立っていないんだ。




──────君は、生まれた時の記憶を、生まれた直後の記憶を覚えているか?



腹の中の記憶など誰も知りやしない。



……2〜6歳の記憶は、断片的にあるだろう。



だが、一連の流れを覚えているか?



おそらく写真を数枚手に持ったような記憶しかないだろう?



おぞましい。



私達は、いつのまにか、生まれて、生きるのを始めたんだよ。



前世を疑った。



私はこの地に生まれ、この眼で見ている今の景色を見る前は、私は何者で、なんの景色を見て、どうやって死んだのか。




じゃあその記憶は?



わからない。



おそらく私達は神の端くれではないかと疑った。



前世など、存在しない。



だが今私達はこの時間を、この眼で見ている。



ただ、確実に何かの力でこの世界に産み落とされた。雨の小粒のように。



"生きている"。 



友達も、見知らぬ誰かも、世界の隅に生まれた者も、生きている。



私達は無意識にその事実から目を背けて生きている。



だが、生きている事を事実として受け止めてしまったら、実感してしまったら?



それが得体の知れないマターであるから、私達は無意識に目を背けている。



今、こうやってこのエッセイを見ている間も私達は"生きている"。



周りを見渡せ。いつもの景色だ。



別に今突然、死ぬわけじゃない。


だからほら、"生きてる"だろ?


肌の感触、瞬きの一瞬のブラックアウト、息遣い。ああ、ほら、生きてしまっている。



到底、死ぬ感覚なんて想像もつきやしない。



だこらこそ、死んだら何が起こるか、前に想像したことがある。今から死因と結果について教えてやろう。


つい、1年前の話だが。



・死因:自殺
おそらく、死んでも、死ねなかった世界線に行き着き、様々な人の号哭の様相とその先の自身の償いの煉獄を味わう。


・死因:老衰
おそらく、前世の記憶を99%失い、また生まれ変わるだろう。その世界はおおよそ、この地球で、死んだ翌日以降だろう。


・死因:病死
おそらく、前世の記憶を50%以上持ったまま、生まれ変わるだろう。だがその世界は君が死ぬ前までにいた世界線からズレた時間で、君が仮に記憶を持っていたとしても、何にも役に立たない、誰も見向きもしない、ただ自分だけが唯一無二の存在となる世界に生まれるのだろう。



これを見てしまったら、もう普通には戻れない。


このエッセイを見ている光が君の眼光に突き刺して、掴んで離さない。



さあ、明日も無様に私は、私達は生きてしまうのだ。



長き時間、長き人生よ這いつくばってやれ生きろ。



皆平等に、生きて死ね。

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