資本主義という「アリ地獄」の中で(その2) 物価高から考えたこと

 物価高に対応して、先進資本主義諸国の中央銀行は金利を引き上げています。しかし、日銀は超低金利政策を続けています。その結果、円安が進行してさらに輸入品価格を高騰させています。

 低賃金と消費税の増税で、消費者の購買力は低迷したままです。そのため、低金利や国債発行という政策を採用しても、景気上昇、経済成長はほとんど不可能となっています。近年の経済情勢を見れば明らかです。日銀は、この現実を認めたくないゆえに現状維持バイアスにおちいっているようにも思われます。

 貨幣の供給量を増やすと貨幣の経済価値は下がります。このままでは、財政の悪化も重なって、長期的に円安傾向は続くでしょう。海外からの観光客が落としてくれるお金をあてにして、円安で高額になったエネルギー資源や食料を輸入せざるをえないという経済状況になります。海外への出稼ぎという働き方、海外への移民という生き方を選択肢として考えないといけない時代になりつつあります。

 職場でのストレス、生活苦、社会的孤立は人びとの心身の健康を悪化させています。自死者は毎年2万人を超え、うつ病など精神疾患の患者も増えています。目を世界に転じると、最低限の健康を維持するために必要な水や食べ物を満足に得られないでいる人びともたくさんいます。その一方で、ウクライナでの戦争が長引く中で、地球上の限られた資源が兵器生産に投入されています。21世紀のこうした現実に暗澹とした気持ちにさせられます。

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