1.軽度自閉症者について

(1)本質的特徴
彼等の本質的な特徴として次を挙げたい。
・概念を形成する能力が低い。
・文法を形成する能力が低い。
・推理能力が低い
・興味を持った特定の事柄に関心を示すが、興味を持たない対象には 関心を 示さない。

(2)副次的特徴
これ等の本質的特徴から発生する副次的な特徴として、次を挙げたい。
・言語能力の発達が遅い或いは非常に遅い。
・人との交際に難がある.
・自己の能力・記憶の資源を限られた分野に使うため、その分野における記憶力が高い、或いは特定のスキルが高い。
・様々な知識や情報を受け入れても、それが直ぐには情緒や感情の発達に結び付かないので、感情表現が苦手。
・言葉が出来ないため、自分の言いたい事が言えない。これが原因で自傷行為が発生する。
・会話ができないため、独り言が多くなる。
(3)カナーの観点
自閉症研究の初期に現れたカナーの観点を列挙する。
・周囲からの極端な孤立
・強迫的な同一性の保持
・言葉に対言葉の発達の歪み
・特別な能力や優れた記憶力
(4)私の理解
彼は、一面事実を述べているが、本質的な理解ではなく、表面的な現象を述べたにすぎない。この頃は、自閉症に対する理解が低かった時代なので、やむを得ないともいえる。彼の見解に対して、私の理解は次の通りである。
・「周囲からの極端な孤立」は結果であって、「健常者が自閉症者を理解できない事」が原因である。
・「強迫的な同一性の保持」は「理解出来る範囲が極端に少ない」ことに対する結果である。
理解出来る事が多くなれば、自然と強迫的な固執は減ることが予想出来る。
・「言葉の発達の歪み」は、先ず、理解できる言葉を増やす事が重要である。
その上で、理解の「山谷」が減少すれば、歪みも自然と小さくなることが予想できる。
・「特別な能力や優れた記憶力」は「自己の能力・記憶の資源を限られた分野に使った」結果である。
(5)能力向上が重要
まず、彼等の次の状況が、人により大きく異なることを指摘しておく。
・どの様な事に興味を持つか
・言語能力の発達過程
・分野による能力の凸凹の山谷の大きさ

では、どうすれよいのか。私は次のように考える。
・彼等を論理的に理解する事に努めるより、彼らの見方・感じ方に共感することに努める。
・言語能力(聞く・読む・書く)を向上させる。
・スキルを向上させることに注力する。
(6)興味を持った対象からスキルを向上させる
彼等は、「興味を持った特定の事柄に関心を示すが、興味を持たない対象には 関心を示さない」事に注目しよう。興味をもった対象からスキルを向上させることを考える。
・興味を持った対象を学習することは、本人のやる気を出すことに繋がる
・どんなことでも、学習対象となり得る
  例:電車 ⇒ 仕様や形、メーカー、製造年月など。
    花  ⇒ 名前、咲く時期、色、花弁の数など。
    色鉛筆⇒ どんな色があるか、長さ・太さ、メ-カー、
         赤信号の色、太陽の色、お月様の色
(7)遊びに興味をもった時が知能を伸ばす絶好のチャンス
お子さんが何に興味をもっているかを観察して知ることは、子供の能力を伸ばす上で重要な事です。興味をもった遊びに対して、更に興味をもたせて、その能力を伸ばようにしていけば良いと思います。危険でなければ、どんなことでもスキルアップにつなげる事は可能と思います。遊びの例として次を挙げます。
・折り紙、ペーパークラフト、絵を描く、レゴ組み立て、
・アクセサリー作り、組紐、はんこ作り(木、石、消しゴム)
・ハーモニカ、大正琴、ギター等の楽器を奏でる趣味。
・その他
  トランプ遊び、字を書く(ペン、筆ペン、毛筆)、和歌・俳句

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