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【ジャニオタと語る】SEKAI NO OWARIの最新シングルがとってもジャニーズだった、という話。〜“周波数”と“シンデレラガール”〜

◾️オタクの返信は大概が長文(画像参照)

「なんだ、このとてつもないキンプリ(King & Prince)感は」

ジャニーズ界隈に関して、筆者は特別明るい方ではありません。にも関わらず、ある音楽を聴きながら「キンプリ」なんて感想を急に持ちました。そのことがとっても面白くなり、ジャニオタの友人 a.k.a.すずき(仮)に連絡を取りました。その返事がこちら。

すずき(仮)「この曲は間違いなく、コンサート終盤でトロッコに乗りながら歌うし、2番終わりの間奏でメンバーが「みんな今日は来てくれてありがとう!最高に楽しかった!また遊ぼうねー!!」って言うし・・・(以下略)」

この長文の返事があまりにもオタクらしくて最高に面白く、これは記事にしよう、と思いました(ディスってないので叩かないでください。これ、自分も含めなんで)。SEKAI NO OWARIが先日リリースした両A面シングル『umbrella / Dropout』に収録されたM3“周波数”があまりにもジャニーズだった、という話です。

◾️登場人物のご紹介

まずは今回、先の返事をくれたすずき(仮)のプロフィールをどうぞ。

すずき(仮):東京生まれ東京育ち、アラサーOL。女子校という魔境で育まれたジャニオタとして人生を邁進中。一方、単純に音楽フリークとして年間片手以上の音楽フェスに出没する側面も持つ。筆者とは大学時代の同級生。ライヴ以外の予定が基本的にないため、現在暇を待て余している。

一応予防線を張りますが、本人承諾済みプロフィールです。それでは本題に入ります。

◾️“シンデレラガール”は最早アンセム

 そもそも今回の話の発端となったのは、先日リリースされたSEKAI NO OWARI“周波数”という楽曲です。まずは聴いてみて欲しいのですが、この楽曲は様々な面からみて、アイドルソングの王道要素を持っています。


・ストリングスを含むゴージャスなアレンジ
・Bメロでリズムがハーフとなり、PPPH(アイドル楽曲特有の掛け声)が打てる構造
・歌い手と聴き手の間に<会いたい><会えない>という歌詞の世界観が、ファンとアイドルの距離感を表している

などなど。そして何よりも、楽曲自体が持つポップネスが、J-POP超一線級の強さであることが大前提にあります。
ーーとまぁ、こういう話は筆者でも分析できたこと。ここからは、何故ジャニーズに関して一般教養レベルの筆者が、“周波数”という楽曲から「アイドル」ではなく「キンプリ(King & Prince)」というグループを想起したのかを考えていきます。

まず語るべきは、キンプリ“シンデレラガール”という楽曲でした。

黒澤「キンプリって正直“シンデレラガール”しか知らないんだよね。きっと一般的にも俺みたいな人が多いと思うんだけど、キンプリ=“シンデレラガール”のイメージ」

すずき(仮)「他にもいい曲沢山あるんだけど、“シンデレラガール”は最早アンセムみたいなもの。王子様と王様が私たちオタクたちをお姫様として、<いつになっても幾つになっても君を守り続ける>って言ってくれたの。しかも、デビュー曲で」

黒澤「ファンとしては堪らないってことか。今までこの曲の歌詞についてはあまり考えたことがなかったけど、リリース当時、あまりにも楽曲としてメロが良くて驚いた記憶が強い」

すずき(仮)「私は基本はキスマイ担(Kis-My-Ft2)なんだけど、ジャニーズって意外とトンチキ曲でデビューするグループもいるのね。でも、キンプリに与えられたデビュー曲はあまりにも正統派の名曲で、全ジャニーズファンが称賛したと思う。それぐらいデビュー曲として完璧だった」

黒澤「ストリングスを使用したリッチなアレンジ、四つで進む推進力のあるサビのビート感、ファルセットを使ったサビの切ないハイトーン……“周波数”と“シンデレラガール”には楽曲的な共通項も沢山ある」

すずき(仮)「私は難しい音楽的な側面はわからないけど、“周波数”を聴いて、これは完全にコンサート終盤でトロッコに乗りながら歌うし、2番終わりの間奏でメンバーが「みんな今日は来てくれてありがとう!最高に楽しかった!また遊ぼうねー!!」って言ってくれると思った。長めの間奏って、ファンサ(ファンサービス)とかのタイミングにもなるから、アイドルソングとしてはライヴ終盤の曲ではとても必要な構成要素なの」

要は、筆者が感じた「キンプリ感」は“周波数”という楽曲に潜む“シンデレラガール”感だったと言えます。ただ、この共通項は楽曲だけではありませんでした。歌詞の面でも、“シンデレラガール”、ひいてはKing & Princeというグループが形作るイメージ自体と繋がっていたのです。

◾️<もう会えない人たちが日に日に増えていくから>という歌詞は平野に歌って欲しい

 SEKAI NO OWARIというアーティストは「世界の終わり」名義の時代から考えても、死生観を根底に持った楽曲を数多くリリースしてきました。彼らのインディーズデビュー曲“幻の命”<白い病院で「死んだ」僕達の子供は>という一節も含め、少々ショッキングな側面を持って当時のシーンに衝撃を与えたことを覚えています。

“周波数”の歌詞も、「死」の要素が強く匂いが香る楽曲です。

靴箱みたいだと思った
あの場所で眠る君と
二度と話が 出来ないなんて
誰も説明できない
(SEKAI NO OWARI “周波数”)

この歌詞にも顕著ですが、目に見えない/会えない過去の存在に対しての歌であることは明白。その存在への想いの強さを「諦めの悪さ」と共に綴っていますが、そんな話をすずき(仮)と話していると、全く知らないキンプリの姿が見えてきました。


黒澤「SEKAI NO OWARIって、根底には死生観がある楽曲が多くて。この”周波数”もその要素があって」

すずき(仮)「あのね、ROT(RIDE ON TIME - フジテレビ系列で放送、NetFlixで配信中のドキュメンタリー番組)で、平野(紫耀)くんが「自分の周りの人は結構亡くなってしまう」っていう旨の話をしていたのね」

黒澤「テレビとかで観てる分には、おバカな感じのキャラに見えるけど、センチメンタルな表情もあるんだ」

すずき(仮)「そうなの。それでね、ライヴではファンに「死ぬなよ」って言うようにしてるってことも話していたんだ。だからね、“周波数”の<もう会えない人たちが/日に日に増えていくから>っていう歌詞は平野くんに歌って欲しいなと思った。キンプリは、キラキラした王子様感と優しさのグループなんだよね」

黒澤「“シンデレラガール”の<キミが思うより ボクはキミを想ってる>という歌詞があるけど、ここにはグループとしての優しさが見える」

すずき(仮)「あとは、キンプリはジャニー(喜多川)さんが手掛けてデビューに至った、最後のジャニーズグループなんだよね。そういう意味でも「会えない人」への想いっていうのは、ずっとテレビに露出していた時期にこの曲を歌ったメンバーの歌に滲み出ていたと思うし、最後にジャニーさんが手掛けたグループが、アイドルとして王道ど真ん中だったことは、凄くファンとして胸にクるんだよね」

黒澤「ジャニー喜多川さんが亡くなった時、現副社長の滝沢さん含め、ジャニーズ事務所所属のみなさんが、
様々なメディアを通してリアクションを示していたよね。キンプリのメンバーも実際に示していたのかな」

すずき(仮)「ジャニーさんが亡くなった後の歌番組で、平野くんが<長い階段駆け上がって 人波に消える>という歌詞を<長い階段駆け上がって 見守っていてね>と替え歌したシーンと岸(優太)くんの<まだサヨナラ言うには 全然早すぎるのに>の歌には、全私並びに全ジャニオタが崩れ落ちたと思います」

黒澤「アイドルとファンの関係性は、いつだってライヴ現場という逢瀬の刹那であるからこそ、その関係性を未来に至るまで描いたデビュー曲“シンデレラガール”は、これからも出会いも別れも綴り続けるんだろうね。話聞いてて胸熱くなってきた」

すずき(仮)「うまいこと言ってんじゃないよ、黒ちゃん。あとはね、おとぎ話の中にで出てくる王子様って、清廉潔白で辛い経験とかもしていないイメージだと思うんだよね。でも、今の時代に求められている王子様像は、ネガティブな経験も経て、本当の意味でいろんな人の気持ちに寄り添ってあげられる人が理想だと思うんだよね。そういう意味でもキンプリは、経てきた歴史も相まって本当の意味で今王道のアイドル像なんだと思う」

 King & Princeというグループの持つパブリックイメージは、筆者と相違ない人が多いのではないでしょうか。つまり、“シンデレラガール”と平野紫耀=「King & Prince」という印象です。すずき(仮)の話にあったような、平野さんの「死」に対するパーソナリティやアクションは、筆者にとっては通常のメディアを通しては知ることはできませんでした。

やがてシンデレラガール
魔法が解ける日が来たって
いつになっても 幾つになっても
ボクはキミを守り続ける
(King & Prince“シンデレラガール”)

“周波数”が過去の喪失へ向けて<See you again>と未来を誓う歌であるならば、“シンデレラガール”は未来の喪失へ向けた誓いや願いの歌であると感じます。ファンに対しての想いはもちろんのこと、ジャニー喜多川さんとの関係性も踏まえて聴くと、彼のためにジャニーズというもの自体を守り続ける彼らの宣誓の歌とも捉えることができます。

形は違えど、そのどちらもがアップテンポなメロディの中で、切なさと優しさを持って喪失への願いを、あくまで「未来」に向けて歌うという歌詞の共通点がありました。

◾️Saoriさんには私がノーベル賞をあげたい

 といった形で、音楽的にも、歌詞的にも、またキンプリの持つバックグラウンド的にも、筆者が“周波数”にキンプリを感じた、ということは偶然ではなかったようです。すずき(仮)は、その他にもたくさんのキンプリの楽曲を挙げて様々なことを教えてくれましたが、あまりにも長くなるため今回は割愛しました。最後に、すずき(仮)が“周波数”を聴いて一番胸に刺さったという言葉を書いて結びとします。

すずき(仮)「今コロナ禍でライヴがないから、私たちはジャニーズに会えないんですよ。元々ライヴ会場でしか会えない存在だから、よりそのことが重くなってるのね。だからこそ、この“周波数”の<僕らが会えない理由が説明出来る人にはノーベル賞>という歌詞はオタク心を掴んでいて、作詞のSaoriさんには私がノーベル賞をあげたい」

Saoriさんにはこの記事を通して、一人のジャニオタからノーベル賞をお贈りいたします。


以上、
【ジャニオタと語る】SEKAI NO OWARIの最新シングルがとってもジャニーズだった、という話 〜“周波数”と“シンデレラガール”〜
でした。

 実はSEKAI NO OWARIの最新シングルの他2曲もジャニーズに当てはまるという話も既にしたのですが、それはまた別の機会とします。まずは是非SEKAI NO OWARI“周波数”King & Prince“シンデレラガール”を聴き比べてみてくださいね。音楽をこんな風に楽しむのもアリだなーと思いました。それでは。

(編集・テキスト:黒澤圭介 special thanks:すずき(仮))

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