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ソウルの魅力②推し活編 

 韓国芸能人の推しができると韓国へ行ってみたくなる。そして、20代の男子芸能人の場合、兵役という韓国人男性の義務に向き合う事になる。ファンの規模が大きくなるとファン同士の結束も強くなる。体験した韓国ならではの推し活の魅力を紹介しよう。


誕生日イベント

 ファンが主催する推しの誕生日イベントというものに行ってみた。一つは、鐘閣駅近くの清渓川沿いにある韓国観光公社で行われている。1階は外側も内側も巨大パネルに推しの姿が流れていた。本人は不在だがファンが準備した多くの写真が展示され、いくつかのブースでは映像や音楽が流れる。1階から4階までに推しの全てが愛と共に溢れていた。ファンの力だけでこれ程の大規模なイベントが行われている事に感動する。いつまでも居続けたい空間だった。閉館時間になり仕方なく立ち去ったが、なんとも幸せな時間を過ごしたのでした。


韓国観光公社


 もう一つは、夜のNソウルタワーのイベントだ。こちらも本人は一切出てこないイベントだが、広場に到着すると既にファン達が地面にシートを敷いて座っている。配布中の応援用スローガンポスターをもらって、少し空いたスペースがあったので、座ってもいいかと聞くとにっこり笑って場所をあけてくれた。全員ファンなのでみな優しい。世界中どこの国の人でも、推しとお揃いのパーカーを来ているか、推しのグッズを身に着けていれば友達だ。地面に直接座るのを一瞬ためらっていると、 空の菓子袋を出してくれて、蒸かしたサツマイモを 1 本食べるかと出してくれる。涙が出るほど嬉しかった。開始時間前からテスト用の映像が流れ、推しが映像に登場する度に歓声が上がる。まるでコンサートだ。本番のイベントが始まり映像と楽曲が流れると、ファンの熱気は最高潮になり、ペンライトを振って大声で歌いだす。ファン同士が結束するとどんな事も可能になるという事に驚いた。心が解放されて感動の時が流れたのでした。

DMZ(非武装地帯)

 朝鮮半島は、朝鮮戦争の休戦協定により軍事境界線で南北に分断され、現在も休戦中だ。同じ民族、同じ言語を話す人々に多くの悲劇が生まれ、悲劇は今も続いている。韓国人男性には兵役義務があり、不測の事態に備えて国を守るため任務を履行する。38度線とはどんなところなのか。コロナ禍で夢中になったドラマ「愛の不時着」のパラグライダーが不時着したのはどの辺なのか? その状況を少しでも理解したいと DMZ ツアーに参加した。日本人 17 名と海外からの参加者合計 40 名がソウルのホテル前からバスで出発。1 時間程で平和公園へ到着し、イムジン川や分断された橋を見る。鉄条網から先は川を挟んで両側2キロが非武装地帯だ。初めて見るその存在に胸が痛む。朝の集合時間が早かったため、朝食はコンビニで買ったお菓子で済ませたが、公園内の軽食店で温かいおでんスープを食べる。バスを乗り換えていよいよ非武装地帯へ入る。検問所でバスは停車し、二人の軍人さんがバスに乗り込んで一人一人パスポートのチェックをする。少し緊張感が走る。軍服姿の軍人さんはイケメンだが写真は不可。無数の銃弾跡が残る列車や途切れた橋の先まで行く。望遠鏡で北朝鮮側を見るが人の気配はない。北朝鮮からの侵入トンネルがいくつか発掘されており、そのうちの第三トンネルを歩く。ここも撮影不可のため荷物は全てロッカーへ入れヘルメットをかぶり歩く。背の高い人は腰をかがめても時々天井に頭をぶつけている。 当然最後まで行くことはできないが、北朝鮮が南への侵入を目論み続けている事を目の当たりにした。我が国にはない静寂と緊張。統一は無理でも、せめて自由に往来できるようにならないものか、などと考えながら帰りのバスの中でドライブインで買ったキンパを食べる。隣の若い男性は一人で参加し朝から何も食べてないと言うので半分お裾分けした。推しの兵役からこの状況や歴史に興味を持つようになった事に感謝したのでした。

イムジン河

カフェ巡り

 ソウルには数多くのカフェがあるが、普段は普通のカフェだが、推しの記念日には店内にポスターやグッズを飾り、ファンが集まる企画を開催するカフェがある。SNSで情報を得て江南のカフェへ向かってみた。カフェに入るとファン数人が集まっていて、楽しそうにそれぞれが持ち寄ったグッズを交換している。コーヒーを注文すると推しのカードがもらえて、ラッキードロー(くじ引き)があり、3回引くと推しの写真が入ったマグネットや栞が当たった。そこにいた韓国のファンからも手作りのマスコットをもらった。このようなカフェは何軒もあるという。熱心なファンは、1日に10軒位のカフェ巡りをするようだ。規模は小さいがファン同士の親密な交流が可能なのだ。カフェの楽しさが少しわかって、ささやかな喜びに満足したのでした。


江南のカフェ

その他の推し活 

 聖地巡りというものもある。撮影場所や、飲食した店、事務所などのゆかりの地を何ヶ所か訪ねた。実際に行ってみると、想像していたより大きいとか、小さいとか感じるものがあり、何より同じ場所に立った事に満足する。まだまだ行きたい聖地はあり、次に行く場所を地図で探す事で、行動範囲が広がると共に世界も広がってゆく。


漢江公園


 推しからも他のファンからも学ぶ事は多く興味は尽きない。当然語学の習得にも意欲が湧く。あまり熱くなりすぎず、自分なりの判断と熱量で末永く続けようと思っている。


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