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矢口れんと
2022年2月20日 10:00
2017年に投稿した連載小説『アポロンの顔をして』全15話を再掲・再連載します。恋という“信仰”の破滅を描いたモノローグ的作品です。これを機にマガジンも一新しますので、よろしければフォローしてください!1 5つの路線が乗り入れる駅。都会に立ち入る際に、最低でも通過を必要とする駅。或る中心の駅。その駅近に住む人に恋慕の情を抱いたのは最大の失敗であった。車両に乗れば自然と連れて行かれ、ある
2022年2月22日 12:00
2017年に投稿した連載小説『アポロンの顔をして』全15話を再掲・再連載しています。恋という“信仰”の破滅を描いたモノローグ的作品です。↓過去話はコチラから↓2 あの人からメールが届いた。〈今度ライブに行くんだ〉と。あの晩に出てきたスリーピースバンドの話題だった。実はわたしには “いわく” の付いたバンドだった。昔とりわけ仲が良かったわけではない知人に勧められたバンド。棚の中でたった一
2022年2月24日 12:00
2017年に投稿した連載小説『アポロンの顔をして』全15話を再掲・再連載しています。恋という“信仰”の破滅を描いたモノローグ的作品です。↓過去話はコチラから↓3 2017年の現代において、こんな年のわたしが貞淑さを示したところで、誰の得にもならない。それを分かりきっていながらも、わたしは強調しなくてはならない。あの人とは一度きりであった。たった一度きりだったのだ…… 高架がずっと続
2022年2月27日 12:00
2017年に投稿した連載小説『アポロンの顔をして』全15話を再掲・再連載しています。恋という“信仰”の破滅を描いたモノローグ的作品です。↓過去話はコチラから↓4 鼻だけでする呼吸は浅い。医学的に実際はそうでもないのかもしれないが、少なくとも効率が悪いのは確かだった。この高鳴る心臓の鼓動に見合う呼吸など、キスをしながらできるはずがない。唇が離れた瞬間、わたしは肺に積もり溜まった不要な空気