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ベーシックインカム感覚で生活保護になってみた。

私は生活保護を受給して1年が経つ。何にも縛られない自由な精神で、断絶した社会について思索にふけって得た価値観が、社会や人生に絶望してる人達の命を少しでも救えるのではないかと感じnoteを書き始めた。メディアは視聴率を稼ぐために生活保護の負のイメージを過激に報道する傾向があるので、当事者の情報には価値があると思う。自殺への1歩が生活保護への1歩に変われば幸いである。


社会への問題提議

製造業においては不良品が発生すると作業者本人のミスでなく、ミスが発生する仕組みが悪いと捉えて仕組みを改善するのが常識である。自動車メーカーが車の故障を「A部品を生産している中小企業の製造作業者の〜さんが悪いです」と責任転換してたら狂っている笑。仕組みの重要性を理解した上で考えてみて欲しい。日本の自殺者は年間2〜3万人で、自殺未遂はその10〜20倍あると推測できるらしく、そんな数の人間が脱落する現代社会の仕組みは正常であろうか。海外で過労死を「Karoshi」と訳されているような日本はどう思われているだろうか。

弱そうな生物を含めて多様性と秩序を保っている自然界と同じように、人間の社会にも弱者に向けた生存戦略が残されていないと社会の生態系の歪んでしまう。その結果が治安の悪化や幸福度の低下に繋がるのである。そうならないためにも生活保護の偏見が少しでも緩和されることを願う。

生活保護の実態

生活保護をイメージすると悲惨な状況を思い浮かべる人が多いだろうが、実際はそんなこともない。私の場合は生活保護を受給以前よりも生活水準が上がって満足している。それまでは家賃2万円の1軒家で変なおじさん達とルームシェアの生活していたのだが、生活保護の家賃補助上限が4万円だと知ったので申請前に引っ越しをして自分1人だけの快適な空間を持つことができた。

生活保護受給前は失業保険を毎月14万を受給していたが3万円税金で引かれるため、毎月11万円もらえる今の生活保護と手取りは同じである(生活保護だと税金が免除される)。失業保険を貰っている間は将来への不安があり、少しでも貯金ができるよう切り詰めた生活をしていたため、結果的に生活保護を受給し始めてからの方が生活水準が高く、今後も毎月お金が振り込まれるので精神的にも安定している。

生活保護になると自由時間という貴重な無形資産を人間の限界値まで多く所有できる時間富豪になることができる。人生の質を考える時に自由時間の価値が高い人にとっては生活保護はかなり恵まれた環境だと思う。人類を代表するニートの一人であるブッダは健康が1番の資産と言っていた。時間富豪になると肉体と精神の健康を維持するための自炊や運動、読書に没頭することができて毎日充実感を得られる希望のある環境になる。

私は生活保護だが現代文明の恩恵を受けて昔の王族からすると魔法のようなインフラ(水道ガス電気)が整った住宅で、品種改良され続けた美味しいお米を食べて、味噌汁の温かみを細胞で感じて生きている。仕事のストレスから解放されているのでタバコやお酒を欲しいと思わなくなった。青い空を見上げると太陽に支えられて私達は生かされているのだなと恒星と惑星の繋がりを感じる心の余裕がある。生活保護者は時間に恵まれることで、健康や感謝の気持ちというお金で買えない資産を獲得できるのである。物質的な資産は持ってないので何かを失う心配や不安もない。

11万の所得の中で家賃、通信費、光熱費、サブスク、散髪含めた固定費が6万、自炊の食費が3万(贅沢すぎかも?)、娯楽1万、貯金1万としているので娯楽費から毎月1〜2回は友人とご飯に行くことができる。そしてアルバイトをしても毎月1万5千円までなら所得認定されるため、それを追加の貯金にすることもできる。これが生活保護の実態だ。

世間体について

生活保護のデメリットとしては世間体が悪いことが挙げられる。私の場合は申請時の扶養紹介で両親に知られて怒られたが、養ってくれる様子はなく扶養紹介の回答を拒否されることで無事に申請が通った。今は扶養紹介自体を拒否できる方法があるそうなので必要な方は他で調べてほしい。今は両親とほどよい距離感の関係だが、昔は不仲だったこともあり私が親不孝者かどうかは両親の解釈次第なのであまり気にしていない。両親の基準を無視してしまっても、自分の基準で生きて幸せな姿を見せることも親孝行の一つだと考えている。

友人関係については最初は生活保護と言うのが恥ずかしく貯金を切り崩して生活してると言っていたが、半年もニートだと友達から心配された。当たり前である笑。友人に勇気を振り絞って生活保護だと伝えると最初は驚かれたが、なんだかんだで「何か困ったことがあったら連絡してきてね」と言ってくれて嬉しかった。生活保護だと知った友人が離れるのでなく、嫌われたくない恐怖感で自分から離れて孤立することの方が多い。そう気がついた時から気持ちが少し楽になった。何人かの友達からは人生で事故や病気になっても最終的に生活保護で楽しく生活できると知っただけで生きるハードルが下がったとお礼を伝えてくれた。その経験はこの記事を書く動機の1つとなっている。

私は生活保護の良い部分を広めることで誰もが自由に生きやすい社会に近づくと考えている。事故や病気で急に働けなくなることは誰にだってあるため、自分の問題ではないと思って読んでいる方には気をつけた方がいい。生活保護者への軽蔑の眼差しがブーメランのように返ってくる日がくるかもしれない。

国の財政について

国の年間財政支出の約110兆円のうち、生活保護費は約3.3兆円で全体の3%でしかない。しかもその半分は医療費で支出されているため(65歳以上の高齢者が2/3を占める)、若い人が一時的に生活保護になっても社会のお荷物感はないと思う。

国の財政を本気で心配している人は、内訳が確認できない東京五輪経費1兆4530億円やコロナ予備費12兆円が支出されるような国家体制を批判した方がコスパいい。このような運営が今後も続くなら生活保護費の比にならない金額が既得権益に流れるだろう。

生活保護の多様性

生活保護はただの社会制度なので利用する方の日常は千差万別である。ベーシックインカムが実現するとどれだけ働いても自分の給料になるため、現在の生活保護者よりも多様な生き方をする人が現れる。そこから一発ビジネスを当てて多額の納税をしてくれる人が現れるかもしれない。私のようなマインドで生活している人間がいることを知ることで、パチンコやお酒に溺れているような生活保護の偏見が減ったり保護申請のハードルが下がれば嬉しい。

そして社会の歪みに押しつぶされ今にも世界から消えてしまいそうになっている方はまず貯金を使い果たすまで贅沢した後に生活保護を受給し、時間と精神の余裕を作ることが先決であろう。その後落ち着いてから人生や社会について学び、新たな道を模索することをおすすめする。

生活保護の申請理由については以下を参考いただきたい。

https://note.com/kei_aikawa/n/n4edd6eb2f714

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