旧ビオゴンレンズの性能改善番外編・・ライカL39マウントでも改善可能に!!
前回の記事では、フォーカス駆動範囲に余裕があるコンタックスGビオゴン前提でしたが、今回は汎用性を考慮したライカL39マウントのレンズでの記事になります。ただしカメラはフランジバックが短いニコンZマウント機前提です。(残念ながら。。。薄型M42ヘリコイドのEマウント版が見当たらないので。。。)
前回でも、なぜクローズアップレンズで画質改善するかを解説しましたが、今回も軽く述べておきます。カメラ内のローパスフィルター等の影響でビオゴンタイプの広角レンズでは、レンズから離れる方向への像面湾曲が発生します。クローズアップレンズを前に付けると、レンズに近づく方向の像面湾曲が起きるのでかなりの収差を打ち消し合う事ができます。
フランジバックの確認
・L39マウントのフランジバックは 28.8mm
・NikonZマウントのフランジバックは 16mm
差分は12.8mmなので、それで収まる組み合わせを考えると、、、
・薄型M42-Zマウントアダプタ 1.58mm
・NEWYI社 M42ヘリコイド 10~15.5mm
・クローズアップレンズ使用によるフランジバック変化
(21mmレンズにNo1を付けた場合は0.44mm)
上記3つの合計は 12.02mm ですので、この組み合わせだと
無限遠まで写せることになります!!
手持ちの Voigtlander 21mmF4 で解説と実写確認をしていくことにします。このレンズもビオゴンタイプのレンズ構成です。
L39マウントレンズにはL39→M42リングを付けてM42ネジに変換します。
レンズをM42ヘリコイドの極薄品である NEWYI M42-M42 10-15.5 と
薄型M42→NikonZ変換リングを介してカメラに取り付けます。薄いM42ヘリコイドでEマウント版が登場すればソニーEマウント機でも同様なことが可能になります。
レンズの前にはクローズアップレンズを取り付けます。ケラレ防止のためにステップアップリングを介してΦ52mmのフィルターを付けてますが、この組み合わせだと汎用のワイドフードを付けてもケラれない利点もあります。
それでは、実写でクローズアップ何号が最適値となるかを確認していきます。
チャートはこのようなものを用い、中心、対角像高5割位置、対角隅を切り出して比較していきます。絞りは全てF4開放です。
まずは、普通に Nikon Z6 で実写したときの中心、5割、隅の状況
Nikon機は内蔵フィルターがかなり薄い機種なのですが、フィルム時代のビオゴンタイプレンズを使うと隅部はかなり低性能になってしまっています。オールドビオゴンを使う場合、カメラ内蔵フィルター類の影響は無視できません。
次は、すでにディスコンとなっている弱めなクローズアップレンズ、NikonクローズアップNo.0を付けたときの様子です。隅部がかなり持ち直してきています。ちなみにこのNo.0というのは、フィルターメーカー式に言えば No 0.7 です。
今度はフィルターメーカーのクローズアップNo.1をつけたときの様子です。NikonクローズアップNo.0の時よりもわずかに良いかも??微妙な差ですのでどちらでもOKな気がします。このとき、類似レンズのシミュレーションでは焦点距離21mmが20.88mm程度に変化しますが、使用感では誤差範囲でしょう。
これで、ミラーレスカメラでは使えないなぁ、、、と思っていたフィルム用のビオゴンタイプ超広角レンズが現役復帰出来ます。高性能を追い求めて巨大化してしまった新製品のレンズとは比較にならない小型軽量で気軽に持ち歩けます。カメラ本体で手ブレ補正が効くのでF値の暗さもあまり気にならないし、レンズが暗くてもEVFファインダーは関係なく明るく見えるのもミラーレス機の利点ですね。
L39レンズをM42に変換するリングはこれ!!実質厚さ0です!!
10mmから使える極薄なM42ヘリコイドです。まさにこの用途のための専用品に近いようなレアな製品。
カメラ遊びに必須とも言える極薄なM42マウントアダプタ。M42ヘリコイドと組み合わせて引き伸ばしレンズで撮るときなどにも便利です。
前編はこちらです
大元の技術解説はこちらです
この記事は、Nikon Zシリーズで検証実験しております。
NikonZはおそらくはライカデジタルの次に内蔵フィルターが薄く、オールドレンズ遊びをするには一番適していると思います。
標準ズーム付き。いまの標準ズームは恐ろしいくらい切れが良い。