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蛙の子は蛙ではない

夏目漱石「こころ」の読書感想文が上の子の課題に出されたのは先週のこと。
「私もKも意味分からないんだけど。あれ、何?」と言う。
どの作品の感想文なのかを知らなかったので、書き終えた後で作品名を聞いてようやく判明した。

「こころ」は私が高校時代、魯迅の「故郷」、遠藤周作の「沈黙」と並んで大好きだった小説である。
ウン10年も前のことなので、内容はほとんど忘れたが、この物語に数カ月間浸っていた記憶は確かにある。
続けて、他の漱石作品も読み漁ったことは覚えている。

「好きだったのよね…」と上の子に言うと、
「は? 母ちゃんって、高校の頃、精神病んでたの?」と返答が。
言われて、ハッとした。
子どもたちの「健全さ」には、この世界観は通用しないのだ。
確かに、あの頃の私の頭の中は、恥ずかしいくらい混沌としていた。
24時間、いつも心の中はムシャクシャしていた。

未来も見えず、自分にも自信が滅法なかった10〜20代の頃の私が、
今の私と私の子どもたちを見たらきっと驚くだろう。
世の中は捨てたもんじゃないな。
何度引っ越しても40年捨てなかったこの本を、久しぶりに読んでみよう。

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