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Revolution 1は、非暴力的に抗議するやり方を模索する歌

今日、散歩しながらソーヤー海さんのパーマカルチャーについてのポッドキャストを聞いていたらふと、ビートルズの「Revolution 1」という歌を思い出した。

それでなんだか点と点が急につながって、この歌について、初めてやっと理解できた感覚があったので久しぶりにnoteにまとめたい。

※これは私の個人的な解釈なので、細かい事実などはあてにしないで、ふんわり聞いてください。


ベトナム戦争へのプロテストソング

この頃(1968年)ベトナム戦争が長期化し、学生の反戦運動が活発だった。

たくさんの若者がヒッピーとなり、カウンターカルチャー(アメリカの伝統的な中産階級の文化や道徳に反発した文化)に身を置いた。

そのなかでリリースされたビートルズのRevolution 1は、バンドのスタンスを表す歌としてとても政治色濃い作品だった。バンドというかジョン・レノンのスタンスだ。

この頃、すでにジョン・レノンは左派としての雰囲気がかなりあり、戦争反対についてどう抗議を示していくか期待されてもいた。


急進的左派の失望

ところが、この歌はその頃の急進的な左派を失望させるような内容であった。

正直、わたしもこの歌を初めて聞いたときにガッカリした。

ジョン・レノンは世界を変えたい!と言う側かと思ったら、全く逆で、なんだ、やる気ないじゃん!って。

革命やろうぜ!っていう人に、そりゃあみんな世界を変えたいと思ってるわ〜とか。

システムを変えようよ!っていう人に、あんたの頭ん中を解放したほうがいいんじゃない?とか。

なんだ、ジョン・レノンは戦争に抗議するどころか、まあ落ち着けなんとかなるって、って歌っているように聞こえる。または諦めているように聞こえる。


私が気づいた、Revolution 1の解釈

でも、昨日ソーヤー海さんのポッドキャストを聞いていて、非暴力的なコミュニケーションなどを考えていたら、この歌はまさしく、ジョンが非暴力的な抗議の仕方について迷いながら模索する歌なんじゃないか、と思った。

つまりこの当時で言えば、戦争を強固におし進めようとする国の政治には反対、でもだからと言って、憎悪や怒りのパワーを原料とした破壊的な行為でひっくり返そうとするのにも賛成しない、ということだ。

現代では(特に日本では)当たり前じゃん、と思うかもしれない。

でも、非暴力的にちゃんと抗議するって、めちゃ難解だと思う。

社会問題に対してもそうだし、個人レベルでも、ちゃんと反抗しながらも非暴力に、そして結果的に相手が理解し、相手の行動が変わってほしい・・

相手はすでに暴力や悪意でもって屈服させようとしてくるのに対して、暴力を使わず、かつ(これが大事だが)効果的に抗議する。もちろん、言葉の暴力も使わずに、だ。つまり怒りや憎悪をパワーとせず、愛によって効果的に抗議する。


だから、ジョンは、

「暴力に暴力(言葉の暴力含む)で抗議するのはやっぱ違うと思う、憎悪ではなく愛によって暴力は止まると思う、たぶん・・でも具体的なやり方はまだちょっとわかんないけど、”全てうまくいっている(スピ)”んだ。」

ということが言いたいのではないか、と思った。


和訳(私の意訳含む)

You say you want a revolution
Well, you know
We all want to change the world

君は、革命を起こしたい、と言ってるよね。
ああ、そうだよね。私たちはみんな世界を変えたいと思っているんだよ。

You tell me that it's evolution
Well, you know
We all want to change the world

君は、それが人類にとって進化なんだって言っているよね。
ああ、そうだよね。私たちはみんな世界を変えたいと思ってるんだ。

But when you talk about destruction
Don't you know that you can count me out, in

でも、君が破壊活動について口にした時、
僕は協力できないって知ってたかい?(やっぱり協力するかな?)

※count me out, in から破壊を伴う抵抗活動についてのジョンの迷いがあらわれている

Don't you know it's gonna be All right?

”全てはうまくいっている”って知ってるかい?

※これ、ニューエイジ的な思想を指しているのでは、と私は思います。単純に相手に落ち着けよと言いたいのではなく、宇宙を信頼し全てはうまくいっているのだと知ることでその現実がさらに引き寄せられていく・・そんな感じかな?このフレーズは繰り返される。この和訳では以降省略する。

You say you got a real solution
Well, you know
We'd all love to see the plan

君は、現実的な解決方法がある、と言っているね。
ああ、そうだな、私たちはみんな、その方法とやらをぜひ見てみたいんだ。

You ask me for a contribution
Well, you know
We're all doing what we can

君は私に(金銭的に)協力して欲しいと言ってるよね。
だけどね、私たちはすでにもうできることはやってんだよ。

But if you want money for people with minds that hate
All I can tell you is brother you have to wait 

それに、もし、君が、憎悪にまみれた人たちへ協力するためのお金が欲しいとしたら、私が君に言えるのは、「おい同志よ、ちょっと待ちな」てことだよ。

※ここではっきりとジョンは”憎悪”の思考には賛同しない、と言っている。

You say you'll change the constitution
Well, you know
We'd all love to change your head

君は、憲法を変えるんだと言っているよね。
あのさぁ、俺らはみんなあんたの頭ん中を変えたいと思ってるよ。

※ジョンが辛辣んなってきた

You tell me it's the institution
Well, you know
You better free your mind instead

システムを変えるんだ、とあんたは言ってるよね。
先に、あんたの頭を解放したほうがいいんじゃない。

But if you go carrying picture of Chairman Mao
You ain't going to make it with anyone anyhow

だって毛沢東の写真を持ち歩いているようじゃあ、君は誰とも、どうやったとしても、世界を変えたりすることはできないと思うよ。

※のちに、ジョンは毛沢東の名前を出すべきではなかったと悔いている。皮肉・批判精神がちょっと辛かったかな。しかし、毛沢東が主導した文化大革命は、結果的にたくさんの破壊が行われ多くの人の命が失われた。

この歌があくまでも”ベトナム戦争へのプロテストソング”であって、”文化大革命へのプロテストソング”ではないことに注目したい。破壊行動全般へのアンチテーゼであるというのが重要だと私は思う。


まとめ

暴力で抵抗するのは効果が強くてはやい。でも、ジョンはそうじゃない道を探そうと呼びかけているんだと思う。決して抵抗すること自体を諦めてはいない。

憎悪や暴力を止めるのは愛であること、それは同時期のプロテストソング「All You Need Is Love」ではっきりと示している。


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