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この本との出会い ④ 『先に亡くなる親といい関係を築くためのアドラー心理学』

岸見 一郎著

両親の介護をするようになって、10年以上が経ちます。

といっても、具体的に「いつから」ということなく、なんとなく介護が始まっていたというところでしょうか。

何か大きな病気や怪我をし、後遺症が残ったので介護が必要になったというわけではなく、二人とも徐々に今までできていたことができなくなってきたのです。

今までできていたことができなくなり、衰えていく姿に接する度に、戸惑いを感じ、困惑し、悲しい思いを抱いてきました。激しい喧嘩をしてきたし、決して仲の良い親子ではなく、人間としては「ソリの合わない」、どちらかといえば相性は悪い方だったのに、です。

介護のゴールが見えない状態に、苛立ちを感じ、時には怒りの感情しか持てず、両親に優しくできない自分を責める日々が続きました。

目先の気晴らしで気分を紛らわせるのにも限界だと思っていたときに、本屋で出会ったこの本を読んで、日々の暗澹たる気持ちから本当に解放された気持ちになりました。

作者が専門としているアドラー心理学の考え方から、ご自身が体験された介護の問題の解決の糸口が書かれています。現状を悲観的に見るのではなく、かといって無理やりポジティブに仕立て上げるのでもない。ネガティブな反応のループから抜け出し、親との関係を良いものにしていく決意をしていく工夫のヒントがあります。

〜子どもが親を幸福にすることはできない〜

という作者の言葉に救われる思いです。




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