見出し画像

フランスのアルプスで1週間のスキー旅行

フランスのアルプスに1週間籠っていた。
大自然に囲まれたスキーリゾートで、360度美しい雪山に囲まれた部屋に泊まった贅沢なバケーション。

Youtubeのvlogはこちらから

フランス人はご存じの通り、バカンスをかなり大事にしている。バカンスの為に生きていると言っても過言ではない(と思う)。

私のパートナーとその友達、総勢10人でのアルプススキー旅行だった。まるまる1週間の有給を合わせて取ることって結構すごくないか?この1月終わりに。
それについこの間、クリスマスホリデーを結構な日数取っていたのに。
彼らは社会人で有給を取っていたのだが、フランスの学校でもこの1月〜2月頃に休みになるところも多いらしく、小さな子供たちや家族連れがとても多いのが印象的だった。

パリのリヨン駅からTGVという高速電車で約5時間。
スキーは7歳ぐらいの時に一度家族と行っただけで、ほぼ初めて。一丁前にスキーグッズを揃えて、大荷物で電車に乗り込む。始発に乗ったため、外がまだ真っ暗の中家を出てきた。電車の中では、前の席でポルトガル人の大家族が元気にお喋りをしていたのであまり寝られなかったが、席もゆったり広めで案外快適だった。外の景色を楽しんでいたら結構あっという間の道中。

アルプスに着くと、空気の綺麗さが本当によく分かる。今のうちに綺麗な空気で肺を満たそうといつも以上に意識して深呼吸をしていた。空気を瓶に詰めてパリに持って帰りたいくらい。

部屋からの景色。グラデーションの空


1日目。初めてスキー板を履いたとき、平坦な道の上に立つことすら怖かった。足の感覚が掴めず、本格的なスキーコースの手前の道に繋がるかなり緩やかな坂があるのだが、そこで斜め方向に突き進み続けて雪の壁にぶつかってしまった。
どこからか現れた5、60代くらいのマダム2人に腕を引き上げてもらった。「止まりたいときはね、足の形をこうするのよ!大丈夫よ!」とかなんとか言って励ましてくれて、優しいマダムたちだった。

スキー初日は50mくらいの緩やかな坂をただひたすらに滑った。
こんなに大量の雪に囲まれることはあまり無いので、非日常的な風景と新しい遊びをする楽しさとで、最初のうちはバランスを崩してこけるのすら楽しかったが、だんだんイライラしてきた。こけるたびにプライドというか、私の中の何かが音を立てて少しずつ傾いていった。何度も何度も派手にこけて、何回目かの転倒で立ち上がるのが嫌になった。スキーレッスンを受けている小さな子供たちの団体が音もなく軽やかに滑っていくのを横目に見ながら少し情けない気持ちにすらなった。

途中で投げ出して(スキー靴を脱いで放り投げて)ホテルの部屋に戻ろうかと思った。私にはスキーは向いてない!と、出来ない!と。

だが、基本的に良い意味でも悪い意味でも途中で諦めることが出来ないタイプの人間なので、坂を下り終わると、自然と足は自動ベルトコンベア式のリフトに向かっていった。何時間もその小さなスロープと黙々と対峙し、ようやく少しだけ、もしかしたら楽しいかもしれないと思うようになった。そんな感じでスキー1日目が終了。

だが早々に2日目にスランプにハマった。
ビギナーの緩やかな坂を卒業して、一旦中級レベルコースに挑戦してみようと思いたったのだ。1日目の復習をしつつ、少し長めの緩やかな坂を滑ってみて、中級レベルも行けるかもと調子に乗ってしまった。

リフトに乗ってこれから滑るコースを上から眺めているときに、完全にやってしまったと思った。坂が急すぎる。シュッシュッと鋭い音を立てながら下っていくみんながプロの選手に見える。

中級の中でも易しいレベルだよと言われたコースを選んだはずなのに…易しいの意味分かっているのかな?
恐怖で体がカチカチになった。坂が90度に見えるのだ!(絶対そんな角度な訳ない)どうやってこの坂を下りろと?
坂を越えたと思ったら、また新たな坂が出現。この凸凹道に終わりが無いようにも思え、大きな坂を超える度に休憩した。
でも、子供たちが小さなスキー板に乗って、完全に身を任せるように滑っていく姿は可愛く、面白かった。「もうどうでもいいや」という感じでただただ坂を滑らかに落ちていくという感じ。なんであんなに小さいのにバランスを崩さずに滑り降りれるのか?怖くないのか?あんな子たちが出来るんだから、25年近く多く生きている私にだって出来るはず、と何度も自分を鼓舞した。
途中、坂の真ん中で転んでしまった。ほかの人に迷惑をかけたくないという気持ちと怖いという感情と色々本当に忙しかった。ゴールに辿り着けないかもしれないと一瞬思い、でもそうしたらスキー板を外して担いで歩こうと本気で考えた。呼吸が乱れて泣きそうになった。今振り返るといい大人が何してるんだと思うけど、あの時は本当に怖かったのだ。
無事にホテルに生還した私は、絶対にもう中級レベルコースを滑らない、残りの5日間初心者のあの小さな坂だけ滑ってただただ楽しく過ごすぞと誓った。(それくらい中級コースが怖かった!)

次の日、完全にスキーに対して怖さを覚えた私は、スキーをお休みした。その代わり部屋でPC作業をしたり、午後はハイキングに出かけた。ハイキングコースはいくつかあって、とても美しく、楽しく、モンブランも見ることが出来た。夏にも是非訪れたい。

スキーが上手な友達の1人が、明日レッスンをしてくれると申し出た。内心、下手なスキーを見られる恥ずかしさと、スキーへの恐怖心から、レッスンは億劫だったが、やる気満々な友達をみてお願いすることにした。

その彼は私の前を滑ってお手本を見せた。急な坂を斜め前というかほぼ横に進むようにして滑っていった。しかもめちゃくちゃ楽しそうに両手を広げて堂々と!「そして、カーブの時はこうやってスピードを落とすんだ。止まりたかったら止まってもいい、こうやったら完全に止まる。やってみて、ほら!止まるよね、怖くないよ、心配しなくていい。」
私の中で何かが動いた。
不思議なことに、彼の後ろを見よう見まねで付いていくと恐怖心が徐々に無くなっていった。怖くない、、、むしろ、、楽しい?
下を見たら急な坂に見えるけど、横方向に進んで目の前に集中したら平坦な道に見える。遠くを見て全体を意識しながら、目の前にも集中する。

私は恐怖心に勝った!スキーで1番大事なことは楽しい!と思うこと、恐怖を忘れることだった。

ここからは、パラダイスだった。
中級レベルの色々なコースにどんどん挑戦し、1つのコースをクリアする度に自信もついていった。
周りの景色を楽しむ余裕が出てくると、改めてアルプスの景色に感動しまくりだった。
何度かリフトから飛び降りて雪の上にダイブしたいと思ったくらい、初めての景色。完全に別世界の光景だった。
リフトからの景色は雪色の砂丘もよう、ゴーグルのレンズ部分が黄色のフィルムだったからか、雪の砂漠みたいな。
クリスマスツリーのような形の木がいくつも雪に埋まっていて、木のてっぺんだけ顔を出してた。
砂漠の表面をまるでサラサラと音が聞こえるように、砂が風に吹かれてるみたいに、パウダースノウが雪の砂丘の表面を撫でていて美しかった。

レベルが上がるとこんな景色が見れるのか、と思った。頑張ってビギナーの坂をひたすら練習して良かったと心底思った。この景色こそご褒美だった。

アルプスの山々が神々しかった

総勢10人のフランス人たちと1週間過ごして分かったことの1つは、フランスの食事のルーティン;
【アペロ(食事の前のおつまみとドリンク片手にお喋り)→ディナー→デザート→ティーかコーヒータイム】の順番。
を皆んなで毎晩自然とやっているのを見て、このルーティンは老若男女問わずフランス人に染み付いている習慣なんだと改めて分かって面白かった。
そしてリゾート施設の中には、スーパーマーケットの他にベーカリーやパティスリー、チーズ屋さんがあった。毎朝バゲットを買いに並ぶお客さんでいっぱいで、さすがフランスだなと感心した。

代表的なチーズ料理:タルティフレット

フレンチアルプスで見た自然は雄大で、大自然の中で体を動かして澄んだ空気の中で深く深く呼吸をして心が満たされてかなりリフレッシュ出来た。そして、何よりただのスキーだが、恐怖と羞恥心を乗り越えた自分が誇らしい。大人になって初めてのことに挑戦することの難しさと楽しさを味わえた旅になった。

ーーー
ここまで読んでいただきありがとうございます!
Youtubeでパリ生活を撮ったゆるめのVlogをあげているのでそちらも是非見ていただけると嬉しいです♡

▼最新のパリVlogはこちら


この記事が参加している募集

一度は行きたいあの場所

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?