見出し画像

A New Year in Paris ~パリの年越しで友達とはぐれた話~

はじめに|ヨーロッパ旅 回顧録

大学生時代、ヨーロッパに留学中の楽しみの1つはヨーロッパの国々を旅することだった。2016−2018年にヨーロッパ旅中に書いた日記を引っ張り出し、その当時のことを思い出しながら言葉と言葉の間を繋ぎ合わせた回顧録。
今更ながらアウトプット。


初めてのパリで年を越す(2016年12月31日 大晦日)

メトロの車内放送で流れるおしゃれなフランス語の発音に耳はもう慣れた。海外で、しかも憧れのパリで年越しなんて!嬉しい気持ちの反面、無事に帰れますように、いや、絶対安全第一で何事も無く帰ってくるぞ、と自分に言い聞かせる。
その他大勢の人たちと一緒にChamps-Élysées - Clemenceau(シャンゼリゼ=クレマンソー駅)で降りると、もう既に新年に向けてまっしぐらな高揚感が伝わってくる。その気持ちに押されるように軽い足取りで地上に出ると、重装備の警備員たちが道路で荷物検査をしていて、大きな声で騒いでいる人たちを警察がなだめている。
ベルリンでテロがあったばかりということもあり、どこか物々しい雰囲気。パリでもここ数年悲しいテロ事件が起こり多くの人が犠牲になったのを思い出す。
年越し気分でウキウキ浮かれているだけではいけない、と一気に緊張感が増す。

それでも、オレンジや青のイルミネーションで装飾された美しいシャンゼリゼ通りと人々の活気に“年越し”の特別感をいっぱいに感じる。「すごいね!」なんて話しながら写真を撮ったり、キョロキョロするのに一生懸命な私と友達。
そんなことをしているうちに、“ショー“が始まった。
凱旋門にプロジェクションマッピングが映し出せれる。人々の大歓声よりも更に大きな音で映像が流れていく。小さい私たちは、斜め前のスクリーンを見るのに必死、友達はこの瞬間を見逃すまいと写真を撮っている。

そうやって少し時間が経って、ふと横を見ると友達がいない、、!
「あ~もう、どこに行っちゃったんだろう」セルカ棒を持って高身長の人たちに押しつぶされているであろう友達の姿を一生懸命探した。
、、、居ない、、、どこを見てもいない。
きっとすぐ見つかるだろう、それにどちらかは元いた場所に留まっている方が賢明だと思った。

街路樹が生えていた場所に戻って、少しでも高い方がいいと囲いのレンガの上に立ってみた。10分くらいはそうしていたと思う。

私の焦りや不安を無視するかのように、“ショー“は進む。
そうしているうちに、あのシェンゼリゼの歌が流れ出し、大きなモニターにレトロでおしゃれなムービーが流れる。皆が一斉に歌いだす。明るい歌声がパリのひんやりとした空気を揺らしているのを感じた。顔に当たる風は冷たいけど温かい歌声で通りはいっぱいになった。お父さんに肩車されている3歳くらいの女の子も一緒に歌っている。きっと知らない人同士であろう人達が隣の人と肩を組んで歌を口ずさんだ。
私もこの人たちと同じ、ここパリのシャンゼリゼ通りで12月31日の大晦日、年を越そうとしている1人だ。同じ空間、同じ時間を共有している仲間に思えてきて、さっきまで寂しかった気持ちが一気に明るくなった。私の脳内を表すとしたら、嬉しい楽しい気持ちが9割、残りの1割はショーの後のことを心配していて、「そんなに楽しく思えるのは今のうちだぞ」と言っているみたい。

“ショー“が終わる気配がし、それと同時に人々が動き始める、また他人同士に戻ったみたいに。そうすると、怖くて不安が一機に押し寄せる。「さて、どうするか」不安な気持ちもありつつ、冷静な自分もいる。友達を探し回るか、ホテルに戻るか。
いつもは優柔不断な私だけど、こういうときは決断が早い。「ホテルに戻ろう、この群衆に飲み込まれる前に。彼女は見かけによらず心配性だから、私と同じことを考えるはず」ホテルに帰ると決めたらホテルだけをまっすぐ目指す。
お祭りの余韻が残っている通りを、背の高い人たちをかき分けながら、逆走する。

1人でそれも真夜中にパリのメトロに乗るのは正直怖い。いつもは怖くない小さなサインにもいちいち敏感になって怖くなる。目が合う男の人とか、電車の中の落書きとか、椅子で寝ている酔っ払いのおじさんとか。大丈夫大丈夫、と言い聞かせて、ホテルを目指す。
(日本語の観光本を見ると、メトロは危険だから乗らない方がいいと書いてあるけど、その街のリアルな雰囲気が分かるからメトロに乗るのは好きだ。でもこのときは怖かった。。)

ホテルに着くと真っ暗になっていて、ロビーのおじさんもいなかった。
「もう部屋にいるかな。。。」
案の定鍵は閉まっていて友達はまだいなかった。
「あー、やっぱり先に帰らなければよかった、変な人につかまってないかな、家までの帰り道わかってるかな、私が道案内役だったから、帰り道分からないんじゃないかな。でもタフな彼女のことだから、きっと一人でホテルまで帰ってこれるはず。」そう信じて待つしかなかった。

そして、数分後、本当に5分も経たないうちに扉が開いた…!
「あ~~~よかった、、、!!!!!」
と言いながら部屋に入ってきた友だち。思わずハグをする私たち。
そしてお互いに「いつはぐれたことに気づいて、どのタイミングでシェンゼリゼ通りから抜け出して、どうやって戻ってきたか」を早口で話す。
安堵と嬉しさで一杯になる私たち。
100%楽しめたかというと、そうではないし、なんなら年を越す瞬間は友達と離れ離れだった。でも取り敢えず無事に2人とも帰ってきたし(これが一番大事)、何よりパリで年越しが出来たことにとても満足していた。

なんとも感情が忙しいパリの年越しだった。今年も刺激溢れるワクワクして年になりますように Bonne Année!!

Jan 1st, 2017 in Paris.

唯一の写真笑。 写真を撮る余裕がなかった。

ーーー後書き memoーーー
そういえば、このときは街のfree wifiはほぼないし、プリペイドのsimも買っておらず、外にいるときは(レストランやカフェにいる以外)ネットがつながらない状態だった。よくそれで旅行してたな。
それから、ニューイヤーズ・イブの深夜に1人でメトロに乗ったのも今考えると驚き…!


最後まで読んでいただきありがとうございます🌟
私は現在フランスのパリに住んでおり、せっかくフランスにいるのでYoutube動画も投稿したいと思っています、
是非チャンネル登録、いいね、コメントお待ちしております!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?