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【供養記事】俺は杜野凛世について語れねえ【シャニマス】


"ため息の訳を聞いてみても
自分のじゃ無いから分からない"

 初めてこの詩を聴いたのは、いつの事だっただろうか。酷く辛い時だったかもしれない。あいつの痛みはあいつの物、こいつの痛みもこいつの物と続くこの詩では「2人が1つだったなら」と綴られる。僕らはお揃いの服を着た別々の呼吸、違う生き物。なんとも無情な事だ。他人であるが故に、完全には分かり合えぬというのだ。
しかし、だからこそ、人は寄り添おうとするのだ。分からないくせに、聞きたがる。
あぁ、名前を呼んでくれただけで…

"名前を呼んでくれただけで
君と僕だけの世界になったよ"

 数多の事象すら乗り越えて、1つになろうとするのだ。昔から変わらない、人と人との切なる望み。側に居たい。ただ、会いたい。

"掌が覚えた 自分と近い
自分のじゃ無い温度
君がいない事を
温もりから教えてもらった"




 新たに追加されたG.R.A.D.。皆さんはもうプレイしたかな?私も全部は見れてないんですけど…

痛ぇ〜〜

心がよ。痛えんだわ。最初に選んだのはやっぱりこの子だよなって事で真乃だった。
キツイ。感謝祭と言いなんと言い、何でこんなに泣きそうな顔をさせるんだ。助けて…ま、めぐる…灯織…。
何だ何だと思ってTwitterをしていたらこんなものを見つけた。
「凛世がヤバい。」 なぁに、真乃を見た後だ。水色感情だって、十二月短篇だって履修している。大丈夫だ。



大丈夫じゃなかった。

 キツイ。何がキツイって、凛世を虐めてるのが『世界』その物な点だ。誰も悪気を持って接していないのに、その《通常》が凛世を苦しめている。こんな悲しいことがあるかよ。悩める誰かを置き去りにして、世界は大概素晴らしいらしい。はぁ〜〜う◯ち。
何も悪いこと言ってないのにトレーナーに計り知れない程の敵意を覚えてしまう。
 凛世のG.R.A.D.編をやっていない人に軽く説明すると、凛世はG.R.A.D.と並行してネットドラマの収録をしているのだが、その役が【「あ」だけが残された人間の少女a】と【「あ」だけが与えられないAIの少女β】という2つの存在を演じるというものになっている。Pとは大半の会話を「あ」のみで行い、レッスンの先生とは「あ」を含まない言葉で会話を行なっていくというものなのだが詳しい事をネタバレ無しで読みたい人は今すぐプレイして来て貰いたい。

 いや、本当なんなんだこれ。凛世はこんなにも頑張ってるのに…いや、誰も凛世を突き放したりしていない。じゃあ何故凛世はこんなにも苦しんでいるんだ。
もしこの物語が凛世とPの関係を比喩していたとして、間違いなく博士はPなのだろう。ではαとβとは一体何だ?コミュ中で何かが足りないと言われた凛世はβの役だ。そしてPが呟いた言葉、「『あ』はあんなにイキイキしているのに…」。
αとしての凛世はイキイキしている。この2つの違いとは一体何だと問われれば、αは少女としての杜野凛世で、βはアイドルとしての杜野凛世だという風にしか答えられないだろう。βが何か足りない理由。それはきっと、アイドル杜野凛世の存在理由がPだからという点に他ならないだろう。「貴方様の為に」、これが凛世の口癖だ。歌を歌い、舞い踊り、着飾るその理由がPにある。W.I.N.G.編でファンへの感情を裏切りと取ってしまった程に、Pへの感情というのは杜野凛世という存在の根底を為してしまっている。
だが、その存在がβには無い。足りない物はPという存在そのものだ。「初めから『あ』が無いみたいだった」と言うのも合点が行く。βにはそれが分からない。αには助けを求める言葉が無い。

 物語の中の博士は愛しい存在である少女の「会いたい」という言葉を妬み少女から『あ』以外の言葉を奪い、自らの側から離れぬ様にと『あ』だけを与えずにAIのβを作り出した。
なんでαから『あ』を奪うだけでは駄目だったのだろうか。
コミュの最後には、「会いたい」を言えなくする為だったが、いつか「会いたい」と言う言葉を博士に向けて言ってもらいたかったのかもしれないと語られる。

 あくまで仮定の話だが、博士はβの姿を見てαに言葉をもう一度奪って欲しかったのではなかろうか(オタクの重い妄想)。
博士の隣にいるβを見て、自分もそれになりたいとαが思ってくれればαの気持ちは自分へと向けられるのでは無いかと。βと言う存在を再び1つにして、α自身が博士の隣に居てくれる様に仕向けたのでは無いだろうか。
しかし、それは叶わなかった。何故か。αは元々博士へと想いを寄せていたからだ。自らの居場所を取られ、もう1人の自分がそこに居る事で逆に諦めてしまったのでは無いだろうか。裏切りにも近い感情を抱きながらも博士の元を離れなかったαと、αが居るからこそ博士のものになれないβ。最後まで交わる事の無かった2つの存在。最後にβが放った(ぁ)いたいと言う台詞、これは本当はずっと一緒だった2つの存在が1つになった現れでは無いだろうか?

 さて、この話に当てはめると本当に凛世は少女の方なのだろうか?思いよ届けと言葉を紡ぎ、諦めにも近い感情でただ愛しい人を見つめ続けた人物は凛世ではなくPの方では無いのか?
自らの側に居て欲しいと願い、自らも気付かぬ感情に揺れ動いているのは間違い無く博士であり、凛世だ。

あぁ〜〜……

凛世と風呂に入りてぇ〜〜

 ちょっと待ってくれ。やましい気持ちなんて無いんだ。信じてくれ。何故風呂なのか、それは個人的に1番涙を流すのに向いている空間だからだ。
"優しい言葉の雨に濡れて 涙も混ぜて流せたらな"という詩もあるくらいだ。凛世には、涙を見せずに涙を止めどなく流して欲しい。その為の風呂場だ。そこで俺は静かに凛世の慟哭を聞いていたい。いや、俺すら要らない。P、出番だぞ。
優しい言葉の雨に濡れて、傷は洗ったって傷のまま。それで良いのだ。分かちあえるもんじゃ無いのなら2倍あればいいのだ。気にするなの一言で済むほど感情なんてものは単純じゃ無いのだ。
感じる事を諦めるのが、これほど難しい事だとは。そう思いながら想いの全てを解き放って欲しい。凛世、全てを見せてくれ。でも涙は見たく無いのだ。もう一度言おう。

凛世と風呂に入りてぇ


 結局、何が救いなのか分からないよなぁこれ。Pを想う気持ちが凛世を苦しめて、ファンを想う気持ちも凛世を痛め付けて、それでも我儘で良いんだと言われた凛世はとても報われないんじゃ無いかと思ってしまう。
…いや、それでも。

どうしようもない程足掻いて、一つ一つ失くして、その先で言葉として生まれた想いを聞いてくれる人が、居るんだよなぁ凛世にはさ。それで良いじゃんな。消えない悲しみがあるなら、生き続ける意味だってあるだろう。

"どうせいつか 終わる旅を
僕と一緒に歌おう"


 そこから離れて行けるように
1ミリも心は離れない。

 1人で歩くには険しい道でも、心にはいつも"貴方様"が居るはず。

分かってんだろ…?ペイス…。

1人で見た真っ赤な空
君も何処かで見ただろうか?

ただ一つの微笑みに
こんなに勇気を貰うとは
ここまで喉が 震えるとは


何言いたいのか分かんなくなったので終わります……。

-終われ-

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