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#538 「Y歯科医院事件」福岡地裁(再々掲)

2021年5月26日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第538号で取り上げた労働判例を紹介します。


■ 【Y歯科医院事件・福岡地裁判決】(2019年4月16日)

▽ <主な争点>
安全配慮義務違反と過重労働による自殺との間に因果関係が認められるかなど

1.事件の概要は?

本件は、AおよびBがY医院に対し、Aらの子であるXが同医院における過重な労働等により、精神疾患に罹患し自殺に至ったと主張して、主位的に不法行為に基づき、予備的に債務不履行に基づいて、Aらそれぞれにつき、2549万2279円の損害賠償およびこれに対する遅延損害金の支払を求めたもの。

2.前提事実および事件の経過は?

<Y、X、AおよびBについて>

★ Yは、福岡県大牟田市においてY歯科医院を開設している者である。

★ Xは、平成元年4月にY歯科医院に就職し、歯科技工士として勤務していた者である。

★ Aは、Xの父であり、Bは、Xの母である。

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<Xの死亡、労働者災害補償給付の支給決定等について>

▼ Xは平成26年4月8日午前3時頃、熊本県荒尾市にある駐車場に駐車した自動車内で練炭を燃やし、一酸化炭素中毒によって死亡した。なお、Xは死亡するまで精神疾患を指摘されたことはなく、精神科を受診したこともなかった。

★ Xは業務に関し、Yから日常的に叱責されており、死亡する一週間前には指示した業務を行っていなかったことについて叱責されていた。また、Xは死亡する前日、義歯の作成に誤りがあることを指摘され、翌日までに仕上げる必要があったことから、診療時間外に義歯の製作を行っていた。

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