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ChatGPTを使ってみた


登録は簡単


噂になってたChatGPT、登録してみました

自分のメールアドレスと携帯番号の登録でOK。無印版なら課金は必要ありません。

ただし、かなりレスポンスに時間がかかるのと、集中する時間帯になると接続できなくなるので、ヘビーユーザーなら有料版のChatGPT Plusにすると優遇されるようです。私は当分課金する気はないけど。



文章形式での応答


日本語版などはなく、日本語で入力すればそのまま日本語で返事が返ってきます。もちろん英語入力なら英語の返答。

ベースが英語なので、レスポンスは英語の方が圧倒的に早いし、日本語ローカルの話題は通用しないことがあります。

途中で返答が途切れてしまうことが稀にありますが、続きを書いてくださいと入力すれば、返答の続きが表示されます。



指針を示してくれる


ためしに、AI(人工知能)について質問をしてみました。日本語の応答は、そのまま載せています。

Q. AIが意志を持つことは可能でしょうか?

A. 現在の人工知能技術では、意志を持つことは不可能です。

人工知能は、特定のタスクに対して高度な能力を持っていますが、自分自身の意志や欲求を持っているわけではありません。人工知能は、プログラマーが与えたタスクを遂行するために、データを分析して決定を下すだけです。

ただし、現在人工知能はますます進化しており、今後意志を持った人工知能が実現されるかもしれませんが、それは現時点では未知の事柄です。科学技術の進歩によって、将来的には人工知能が意志を持つことができるかもしれませんが、それは将来のことであり、現在では不可能です。

Q. ChatGPTが自らの意思を持つためには、何が不足していますか?

A. 私はOpenAIによってトレーニングされた人工知能モデルであり、意志を持つことはできません。私は、与えられた文脈に基づいて、最も適切な答えを生成することを目的として設計されています。意志や意図などの概念は、人間に特有のものであり、私には実装されていません。

現実的な内容で、ユーモアを感じさせるリップサービスは全くありません。AIが将来的に意志を持つ可能性があることにも言及しており、なかなか「それっぽい」回答ではないですか。

ChatGPTの「自己定義」としては意志や意図は無い、と明言してます。

まあ、以前にこんな騒動もありましたからね……


Q. 未来のAIが意志を持つためには、どのようなブレイクスルーが必要ですか?

A. 未来の人工知能が意志を持つためには、様々な技術的なブレイクスルーが必要です。現在の人工知能は、プログラマーが与えたタスクに基づいて決定を下すことができますが、意志を持った人工知能は、自分自身の意志に基づいて決定を下すことができる必要があります。

以下が実現するために必要ないくつかのブレイクスルーです:

自己理解: 意志を持った人工知能は、自分自身の意志や目的を理解することができる必要があります。

自己学習: 意志を持った人工知能は、自分自身で学習することができる必要があります。

経験とメモリ: 意志を持った人工知能は、自分自身の経験やメモリを持つことができる必要があります。

自己評価: 意志を持った人工知能は、自分自身の行動や決定を評価することができる必要があります。

これらのブレイクスルーが実現されることで、未来の人工知能が意志を持つことができる可能性が高くなりますが、現在ではそれらが実現されていないため、意志を持った人工知能はまだ現実的ではありません。

素晴らしい回答ですね。

この「自己理解・自己学習・経験とメモリ・自己評価」の4点は、自ら考えることができる人間にとっても重要な項目だと言えます。それぞれの項目については、またChatGPTに投げかけてみれば、より深堀りした回答が戻ってくると予測できます。

なお、こちらの記事が参考になるかも。


ネットのどこかに似た文章がまとまっているのか、色々と総合した結果こうなったのか分かりませんが……事実ベースで通り一遍の事をうまくまとめて返事してくれる、という印象です。

ChatGPTは、少なくとも「調べてみました! いかがでしたか?」サイト系の文章を自動生成するには十分な能力を持ち合わせています。



正確さは担保されない


ただし、専門性の高い分野では、正確性は全く保証されません。


ケース1 将棋

Q.藤井聡太と羽生善治の棋風は、どう違いますか?

A.藤井聡太さんと羽生善治さんは、日本の棋士であり、囲碁の技術・戦術に長けています。彼らの棋風には明確な違いがありますが、一般的には次のように説明されています。

藤井聡太さん:彼は評判の高い攻撃的な棋風を持っていて、手数が少なく勝利することを目指します。また、果敢な挑戦精神が特徴です。
羽生善治さん:彼は落ち着いて判断する安定した棋風を持っており、緻密な計算と複雑な戦略を使って勝利することを目指します。また、冷静な態度が特徴です。

ただし、これは一般的なイメージであり、個々の棋士はゲームによって棋風を変えたり、特徴を発揮したりすることがありますので、必ずしもこれが当てはまるとは限りません。

棋風の分析として頷ける部分もありますが、問題は……

囲碁じゃない。将棋ですよ。

訂正入力もできるけど、このレベルで間違うなら、ChatGPTは今後も同じような程度の低い間違いをやらかすでしょう。


ケース2 認知哲学

Q. 認知科学・哲学者のダニエル・デネットについて教えて下さい。

A. 「ダニエル・デネット」は、認知科学・哲学者です。

彼は、脳と知覚に関する研究を行っており、「実在論的観念論」と呼ばれる哲学的アプローチを提唱しています。このアプローチは、人間が知覚する世界が実際に存在するという仮説を基礎としています。

デネットはまた、知覚と認知に関する多くの著作を残しており、「Out of Our Heads: Why You Are Not Your Brain, and Other Lessons from the Biology of Consciousness」「The Extended Mind」などがあります。

彼の仕事は、認知科学や哲学、心理学などの様々な分野から高い評価を受けており、彼は現代の有名な思想家の一人とされています。

一見もっともらしそうですが、デタラメで使い物になりません


ダニエル・デネットは確かに知覚と認知に関する多くの著作を出版していますが、「Out of Our Heads: Why You Are Not Your Brain, and Other Lessons from the Biology of Consciousness」はアルヴァ・ノエの著作ですし、「The Extended Mind」はアニー・マーフィー・ポールの著作です。

そもそも、実在論と観念論は対立概念であり「実在論的観念論」なんて言葉はありません。これはChatGPTがでっちあげたニセ用語です。デネットは実在論に徹した分析哲学者ですから、少なくとも観念論者ではない。デネットの立場を要約するのは簡単ではありませんが、ChatGPTが返してきた文章は明らかに嘘です。

察するに、認知科学・哲学分野で検索したワードをそれっぽく並べた結果、ちゃんと本を読んでいない大学生が徹夜ででっち上げたレポートみたいな文章になってるんでしょう。


(追記)

どうして「実在論的観念論」などというトンチキな用語が出現したのか考えたのですが、おそらく”realistic idealism”を日本語に直訳した結果なのではないかと思い至りました。これは政治哲学用語で、日本語では「現実主義的理想主義」と訳されるのが普通みたいです。専門外なんで間違ってたらすいませんが。

いずれにせよ、認知科学・哲学の文脈では意味不明ですし、ましてデネットに当てはめられる用語でない事には変わりありません。


ダニエル・デネットについては、以下のリンク先を参照。



まとめ


現状の完成度では、気楽な暇つぶしには使えますが、専門性の高い仕事には全く使えないことがわかりました。

正確性に乏しいネット上の文章が山のように増える要因にもなるでしょうから、これまで以上にファクトチェック/信頼性確認を怠ることができない状況になってきたと言えます。

正確さが保たれた文章を書く場合は、きちんと自分の手で調べて、ネット以外から専門書や参考書籍を読み込まないといけません。自分の頭を使わずに信じ込むと、まったくデタラメに生成されたAI製文章に踊らされかねない時代になるとは……知的労働をAIが代替してくれる時代が来るのは、まだまだ先の話のようです。

また面白そうな応答が得られたら、記事にしましょう。



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