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夫の発達障害【日常の困りごと⑤常識と社会性の欠如】

夫と暮らしていると、驚きのあまり呆然としてしまうようなことが頻繁に起こる。

サイズを測ってメモしていったのに全然違うサイズを買ってくるとか、
我が家では使ったこともないしょう油を「(スーパーに)これしかなかった」と言って買ってくるとか。(そんわけない)

買い物はとにかく苦手だろうに、これらを勝手にするので私には止めようもない。
私がした方が速いし正確なのに、なぜかいつも黙って1人で行くので、
本人からすると買い物はそれなりに楽しいのだと思う。

けれど、こんなものは驚くうちに入らない。
私がいつもびっくりさせられるのは、彼の常識のなさというか社会性のなさというか、
とにかく、ある程度社会で生活している者であれば自然と身についているであろうものの薄っぺらさだ。

たとえば、
まだ結婚して間もない頃、私を助手席に乗せた状態で高速を運転中、彼のスマホに着信があった。
まさかね、と思ったその瞬間、彼は普通に通話ボタンを押した。

たぶん、彼にしてみれば「電話がかかってきたから取っただけ」なのだと思う。
この、「だけ」になっちゃうのが特性だ。
多くの人は、「電話が鳴っている。でも、今は運転中だ。しかも高速」
という風に、付随する情報が過るはずなのだけど。

あとは、「見つからなければいい」という考えもあると思う。
それから「今まで事故ったことない」も。

車間距離やわき見など、運転に関してはかなりしつこく注意を繰り返しているが、彼はその度に、
「大丈夫、おれ事故ったことないから」
と答えるので、その浅はかさに何度も絶望してきた。

「じゃあ、事故を起こす人はみんな初めてじゃないってこと?」
と言うと一応黙るのだけれど、
「経験」から判断しがちな特性上、納得はしていない様子。

恐ろしいので私が運転すると言っても聞かないのは、別のこだわりからだろう。
おかげで助手席の私は常に、迫りくる危険がないか目をかっぴらいて見張っていなければならない。
でも、これで死んだらもう死んだときだわ、と半ば諦めてもいる。
(彼と暮らすとはそういうことの連続だ)

また、我が家には床の間があるが、
引っ越しの際、新居での配置に関して何1つ考えようとしない彼に痺れを切らして詰め寄ったとき、
「あのくぼんだとこにTV置けばいいんじゃね」
と彼はのたまった。

何が驚くって、彼の実家にも同じように床の間があることだ。
十何年もあの家で過ごしていて、なぜ「あのくぼんだとこ」という認識にしかならないのだろう。
(義実家では正当な使い方をしていたはず)

それから彼は、「TPO」という言葉を知らない。
どこをどうやって生きてきたらこの言葉を40何年もすり抜けてこられるのか、私には不思議でならない。

あとは、「紐落とし」も知らない。
七五三とか紐落としって、自分が経験したとかしてないとかじゃなくて、
情報として勝手に入るものだと思っていた。

バレンタインやクリスマスとまではいかなくても、この40何年、時期になればCMや街頭で目にすることはあっただろうに。

そういうのを全部、「興味がないものは意識に上らないので受け取れない」とスルーしてしまう脳構造。

興味がないことは、まったく情報として蓄積されない。
これが、彼の社会性の欠如につながっているのだと思う。


そして、たとえば私が、
「普通は運転中電話に出ません」
と言ったとしても、
「それはお前の主観だろ。出る奴もいる」となるから困りごとになる。

「TPOなんて小学生でもわかるよ」
(彼の態度にムカついているのでこれは私も言い方がよくない)
「それはお前の主観だろ」
である。

こちらは自分の主観と常識を分けているつもりでも、
彼自身が主観でのみしか話せないからか、私の言っていることもすべて主観として受け取られる。

常識を知らないので、本人はそこから自分がどれだけ外れているかも分からないのだ。
だから、私のいう「常識」は、彼にとっては「妻の主観の押し付け」でしかない。

たとえ、
「法律で定められている」とか「教科書に載っている」とか言っても、
「真面目だねえ」と鼻で哂われる。

これはほんとうに難しい。
彼にとっては、
「自分は違うけど、まあ世の中ってこういうときこうするよね」
という基準がないのだから。
「俺はこう。だからみんなこう」が圧倒的に強い。

それ故に私の主張についても、
「妻はこう、だから世の中はこう、と言っている」
と受け取るので、彼の心にものすごい勢いで反発が湧き起こる。

その結果、
「お前の価値観を押し付けるな。全部お前が正しいと思うな」という気持ちにしかならないのだ。

いや、ええと、世の中的な話をしているのよ……と言っても全然分かってもらえない。

彼との噛み合わなさの要因は多数あるけれど、この部分は大きいと思う。

万事がこんな風だから、今ではもう彼との対話を完全に諦めてしまった。


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