そしてまたONCE AGAINを歌い出す
3、2、1、Liftoff!!
3月21日に合わせて、もう一度Noteを書き始めようと思っていた。2年と4ヶ月と19日ぶりの19回目の更新である。20年前の今日、私の人生における最も愚かな行為が私の人生を変えたように、ちょうど1年前の今日、私の人生における最も賢い
行為が人生を変えてしまった。それは約10年ほどのグローバル人材(落ちこぼれ)としてのキャリアを(投げ)捨て、哲学者見習いとして新しい人生を切り拓いた。それは、「あぁ、人生が変わってしまう〜」と感じることができた初めての瞬間であった。もし、私がトゥルーマンであるならば、クリストフ、演者さん、技術さん、その他スタッフさん達に相当迷惑をかけたであろう。その音と共に崩れ去っていく私のあったはずであろう世界線と、その世界線からちょうど90度から180度の間に無理やり素人さのある幼く、そして、か弱い世界線が誕生していた。どうして人生はいつも1回きりなのであろうか。不思議で仕方がない。
シングル・ユニバース
願書を出したのは2022年の12月末だったと思う。狙っていたその唯一の大学院から1月下旬にはオファーがいただけ、(これが1月23日だったら最高だなと思ってメールを確認したところ1月20日であった。。。人生はそうも簡単に上手くはいかないものである。)書類諸々の提出を行い、CAS(Confirmation of Acceptance to Study)がもらえたのが3月21日だった。その日に上長との考課面談がたまたまあり、私に対する人事評価をいただいた後、退職の意向を伝えた。おそらく、何のことかが全く理解できていなかったのだと思う、
私も、そしてその上長も;
ここは良かった、ここは悪かった。4月からこれぐらい給与が上がります。大変だと思うけど、来年もよろしくお願いします。
「大学院進学のために会社辞めようと思います。」
ほんとね、大変だよね、辞めたくもなるよね、ほんと辞めますだよね、辞めます?!辞めますって?!
え、そもそも雇用契約上、通知期間が2ヶ月前なんだから最悪6月とか7月とかに言えばいいじゃん?何でこのタイミング?!最悪、昇給とかなくなるとか考えなかったの?!
「10年もいたんで、この会社好きですし、あと自分の後任を見つけるも相当時間かかると思うので、できるだけ早く伝えておこうかと(あとその上で、予め辞意を表明したから昇給なしとか正直者が馬鹿を見るのかの検証もあります、とは口が裂けても言えなかった)」
と。ここではっきりと、あの燃やせんかったオーストラリア行きの切符の文字は滲んだ。文字通り、その日は冷たい水の中を震えながら眠った。ファイト!
否定と肯定
翌日の22日に、たまたま友達の家でたこ焼きパーティーが開催された。今の今もそうですが、大谷翔平がWBCで大活躍していた時期です。確か、その日は豪雨で、主催者の家までの配車タクシーアプリの値段がすごい高かったものの、着いた時にはみんなでWBCの決勝の試合結果を振り返っていた気がする。そこで最も大事にしていたコミュニティである映画部のメンバーに、豪州から英国へ、グローバル人材(落ちこぼれ)から哲学者見習いへの転職の意向を、主催者のオシャレなキッチンで伝えた。これは後で考えると、大学院進学をずっと後押ししてくれていた研究仲間と、会社の上長以外への初めての告白の時でもあった。(まだ当時、親父にも言ってなかったのに!)その時の、信頼しているあの2人のああゆう反応があったからこそ、私は今この文章を哲学科の大学院生として書けているんだと思う。あの肯定が嬉しかった。(ショーペンハウアーを「否定」した)ニーチェ経由の「肯定」を除けば、ヘーゲル以降の近代哲学は「否定」を中心とした運動体のシステムにすぎない。それが「反システム」であろうがそれは彼の掌の上に違いない。なぜか?実を言うと、その全ては『精神現象学』の「序文」に書かれていることは多くの人は知らない。「否定」は事物を進め、「肯定」は人間の存在自体を幸福に包む。
New Look
翌日、2023年3月23日以降、ずっと頭の中でループしていたのは安室奈美恵の「New Look」だった。
オリジナルであるザ・スプリームスのそれに比べて、「ガールパワー」全開の、批判されがちな「セックス・アンド・ザ・シティ」的なマーケット・メカニズムを利用した女性のエンパワメントを実現している力強い楽曲だと思う。貧困や差別を直接には触れない。でも「ガールパワー」としての想像力や自己変化の願望を歌い上げる。でもでも、自分は簡単に諦められるし、ただただ流行に流されているだけだ、ということも十分に分かっている。それでも新しいことは試したい、私のキャラに合う新しい私を形作りたい!
もう一度組み直し、そしてまた歌い出す
生まれ変わる必要はない。等身大の自分に似合う新しいファッションを探すのだ。そう、船を出すかどうかだ。誰でも船は出せる。さぁ、新しい詩(うた)を歌う準備はできた。野郎ども、港に別れを告げろ、YOソロー!3日坊主ではなく、2年間だ。とりあえず、2年間というのは修行に持ってこいの期間だ。古くから知る(その作品をね)漫画家の教えでもある。そう、書いている場合ですよ!でなけりゃ、書いている場合じゃない時代にしか生まれない欲動を詩に込めよう。そして(健康を害さない程度に)休まず、書いて、書いて、書いて、書いてくんだ。
尊敬してやまない伊集院光が不登校時代を振り返り、「明日は登校しよう」という決意が逆に登校のハードルを日々上げていってしまい、結果的に高校を中退したというエピソードを思い出した。週が変わる、月が変わる、学期が変わる、いろいろなきっかけがあったにも関わらず、「え、いまさら?」という「意地悪な同級生(Der böse Kamerad)」の反応を想像してしまい、その悪夢的な反応に尻込みして結局先送りし続けてしまったという話だ。私もまたそんな悪夢に繰り返しうなされていたということになるだろう。そのファシズム的な悪夢から目を覚ます方法の一つは、持続的なものを組み直すことだ。