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教わる者から、教える者へ

先日、自分が幼少期に大変お世話になった地元クラブチームの九州大会クラブユース(U-14)が自分の住まいの近くにあったため応援に駆けつけた。
前々から”応援に行きます!!”と恩師であるコーチに伝えていたためありがたいことにベンチ入りをさせてもらうことができた。
小学二年生から中学三年生の約7年間に渡って所属していたクラブでありサッカーの楽しさを学べたのはもちろん、喜怒哀楽を感じながら心身共に鍛えられた恩のあるクラブだ。
そんな可愛い中学背の頃からときは7年経ち、またOB指導者という形として携わることができたこの二日間は、とてもいい経験になったと思う。
自分は、まだこのクラブの正式な指導者でなければ、永続的にトレーニングに顔を出しているわけでもないため、7個下の選手たちのプレースタイル、個性、特徴も知らなければ、名前すらも知らないためコミュニケーションを取ることに初めは物凄く苦労した。

一試合目:vs大分県2位 スコア(3−0)勝ち
まずは、選手の顔と名前、背番号、プレースタイル、武器を把握することから。

・なぜスターティングメンバーは、この11人を選んだのか。
・なぜフォーメーションは、3−4−1−2の布陣なのか。
・隣接するエリアでプレーする選手たちの相性や奏でるハーモニーは抜群なのか。

たくさんのことを理解するために、頭の中でありとあらゆる質問を自分自身に課せ試合時間とともにアンサーを出していった。
そこで一番難しかったことがある。
それは、中学生レベルのサッカー技術とボディコントロール力を理解することである。アルバイトで指導していた年代は、下は幼稚園生からで上は小学六年生までである。更に、大好きで観るサッカーのカテゴリーは、プロフェッショナルだ。中学を卒業して七年。この感覚というものを掴むのには、とても苦労し、何なら1日かけても理解する事はできなかった。(それは、当たり前だろうけれども…。)
しかしその中で、U-14カテゴリーのサッカーレベルをある程度の情報を得ることができたのはとてもポジティブなことだ。

二試合目:vs沖縄県1位 スコア(1−5)負け ベスト8敗退
相手はJリーグ所属クラブの下部組織だった。
試合後にキャプテンに直接問いかけてみたら面白い回答が返ってきた。

私「(大敗したと思う原因を知りたかったため)相手と自分たちで何が違った?または、相手は自分たちよりどんなプレーが上手だった?」

キャプテン「トラップが上手かったです。その後のパスも上手いのでプレスに行っても剥がせれるからどうしたら良いか分からなかったです。」

地元街クラブとJ下部組織の違いは、想像できてはいたが選手たちの肌感覚を聞くことで間違えなく”技術レベルの差”が勝敗の鍵を握ると言うことが分かった。
これはあくまでもU-15のカテゴリーのお話である。
カテゴリーが上がれば上がるほど、技術レベルに加えてフィジカルレベルやアドリブ力(想像力)、判断・認知力がといった能力が欠かせなくなってくる。
しかし、中学生レベルでは”技術力”が肝だ。
技術力は、教える項目という観点から見てとても難しいところだと思う。

そもそも、”教える”とは
1,知能や技能を身につけるように導く 「数学をー」
2,(自分の)知っていることを告げ示す 「秘密をー」
3,諭す、戒める 「人の道をー」
というように、以上に3つのように定義することができる。

これ(教える)を可能にするためには

選手との信頼関係

が大切になると思う。
いかに自分の知識を告示し、ゴールに導こうと努力したとて選手が聞く耳を持たなければこれらを達成することは不可能だと思う。
高校時代の監督にはこう言い続けられてきた。
「信頼・信用は、積み上げることは困難であるが壊れるのは一瞬である。」
これは、世の中の原理であり、正しいこととして私は捉えている。
だからといって、これだけを貫き通していては本当の意味での関係を構築することは難しく、ましては、ゴールを達成するということは不可能だ。
ときに上に立つもの(形上:持論ではコーチと選手の関係に優劣や上下をつけ得るべきではないと今は考えている。)が理解と許容をするべきだと思う。

実際に未だに、自分の価値観だけを選手たちに押し付け自分意向に従うものは”お気に入り”として、自分の意向に反るものは”捨てる・嫌う・省く”といった過度なトップダウンの指導法があるということに驚いた。

  • 選手たちの個性を伸ばす

  • 選手たちの意向に沿い、その助け舟を出し行き先を教える

  • 選手たちの思考、希望を優先する

教えるという点に関して見逃すことのできない重要な事柄だと思う。
先日2月3日サッカー日本代表は、AFCアジアカップカタール2023・準々決勝でイラン代表と対戦し、1-2の逆転負けを喫した。
現日本代表の組織のあり方は、ボトムアップで試合を観ている限りチームとしての明確なスタイルやプランは乏しく選手任せである。選手があたふた・あっぷあっぷになっている状況でも立ち返る場所がなく、迷子状態。実際に試合後の守田英正選手のインタビュー記事にも記載されてあった。

どうすれば良かったのかはハッキリ分からない。考えすぎてパンクというか、もっとアドバイスとか、外からこうした方がいいとか、チームとしてこういうことを徹底しようとかが欲しい。

守田英正選手

史上最強と呼ばれていた2024年現在の日本代表ですら、アジアの舞台でベスト8敗退。プレミアリーグやラ・リーガなど海外で活躍している選手が多く能力的に物凄く優れていても組織としての経営の仕方を一歩踏み間違えると、このような悔いの残る結果となってしまう。反対に言えば、組織が今持っているすべてのリソースを正しい方向に適した使い方を行えば、たとえ大きな相手にも打ち勝つことができる。もしかすると、沖縄県1位にも僅差で勝つことができたかもしれない。それを考え不安定な業界のため実行することが難しく、だからこそそこに楽しさを覚えるのだろう。
この指導者(またはサッカー業界)という職業は、多大のストレスや不安に駆られることが大きいだろう。
精神状況を平常に保つことが容易ではないと思う。
しかし、そこに飛び込んでみたい、やってみた、そのために新卒からたくさん社会の荒波に揉まれ、藻掻き、成長したい。
もちろん弱音は吐くし、休むこともあるだろうけれど、自分の夢からは逃げたくない。そこの芯だけは振らしたくない。

スラムダンク:安西先生

自分なりに言えば、

”諦めなければ、必ず夢は叶います。”

そういう信念を持ち、今日も夢に向かって生きよう。
たとえ、道を踏み外したとしても、また戻ってきたら良い。
だって、諦めなければ、試合は終わらないのだから。

高校3年生のときの高総体(インターハイ予選)決勝1−0とリードしながらも後半40分に立て続けに2失点され逆転された。逆転された直後、アディショナルタイム5分あるのにもかかわらず、ピッチにしゃがみ込み泣いてしまった記憶がある。もうその時点で、準優勝が決まっていたのだ。
この経験を自分の教訓に、これからの人生では、必ずともしゃがみたくはない。
椅子に腰を掛けることはあるだろう。
しかし、下を向いて顔に手を当てるときは、もう死ぬと決めたときだけだ。

誰しもが必ず、一度は苦い経験をしている。
今回携わった14歳の子たちも今回の九州大会の大敗を糧にこれから伸び伸びと成長して欲しい。今は気づかなくても、必ず気づく時がやってくる。

その日まで。

どうか歩く足を止めないで。

ゆっくりでいいから、一歩ずつ、一歩ずつ。

二次会のカラオケでの保護者の子供が唄った”Novelbright - ツキミソウ”が圧巻で感動でした。

2024年2月3〜4日(土、日曜日)



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