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Webメディアの歴史年表、ざっくり作ってみた

Webメディアの歴史を調べていたことがあり、なかなかまとまった情報がなかったので、歴史年表としてまとめたところ…

思った以上に反響をいただきました。教えていただいた情報や、追加でリサーチした情報を盛り込んで、Webメディアの歴史年表を強化したのがこちらです!

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参考にしたサイトや書籍はこちら。

■サイト
インターネットの歴史
インターネット歴史年表
オウンドメディア.com
日本におけるインターネットの歴史とデジタルアーツのあゆみ

■書籍
『図説 日本のメディア』(NHK出版)
『ソーシャルメディア四半世紀』(日本経済新聞出版)
『2050年のメディア』(文藝春秋)
『教科書には載らないニッポンのインターネットの歴史教科書』(翔泳社)
『メディア文化論』(有斐閣)
『僕たちのインターネット史』(亜紀書房)
『現場で使えるWeb編集の教科書』(朝日新聞出版)
『角川インターネット講座 (4) ネットが生んだ文化』(KADOKAWA/角川学芸出版)
『平成ネット史 永遠のベータ版』(幻冬舎)

ここからは、歴史年表とリンクさせながら、8つのトピックに分けて、 Webメディアの歴史をたどっていきたいと思います。

1.Webメディアのはじまり

Webメディアの歴史をどこから語るかは、悩ましかったのですが、そもそもメディアとは「情報伝達の媒介となるもの」を意味するため、かなり幅広い範囲を示すわけです。

そうすると、インターネットのはじまりに遡る必要がありそうです。日本のインターネットのはじまりは、1984年に開始されたJUNET。 JUNETは、東京大学、東京工業大学、慶應義塾大学間で構築された研究用ネットワークなんですね。はじめは、大学の研究で、インターネットが扱われていたわけですね。

大学生による個人サイトがいくつか開設されていたようで、これらがWebメディアのはじまりと言えそうです。

2.ネット上のおもしろいサイトは全部読めた時代

1994年ごろには、インターネット上に個人で雑誌のようなコンテンツを公開するEーZINEと呼ばれるサイトや、個人のWeb日記が開設されました。

『角川インターネット講座 (4) ネットが生んだ文化』(KADOKAWA/角川学芸出版)に収録されている、ばるぼらさんの「日本のネットカルチャー史」によれば、「読もうと思えばネット上の面白いサイトは全部読めた時期の出来事である」だそうです。全部読めたなんて、今だと想像できない状況ですよね。街の商店街のように、どんなお店があって、どんな商品が陳列されて、どんな店主がいるのか、すべて把握している感覚でしょうか。ワクワクする話。

このあたりのインターネット黎明期については、同じくばるぼらさんの『教科書には載らないニッポンのインターネットの歴史教科書』(翔泳社)が圧倒的に詳しくて、かなり参考にさせていただきました。おすすめです!

3.だれもが情報発信しやすい時代に

インターネットの歴史において大革命を起こした「Windows95」が、1995年に発売され、インターネットは一般の人も利用できるものになっていきます。個人や企業が、手軽に情報発信できる時代へ。

ここから、さまざまなWebメディアが登場していきます。97年には「INTERNET Watch」が開設していますし、糸井重里さんの「ほぼ日刊イトイ新聞」は98年に開設しているんですね。

個人的には、99年に開設された「nakata.net(中田英寿公式サイト)」は、記憶に残っています。マスメディアを通さずに、現役のサッカー選手の言葉を読めることに衝撃を受けました。中田英寿がイタリアのペルージャへの移籍するという第一報も、新聞やテレビではなく「nakata.net」だったんですね。

4.新聞メディアによるWeb展開

年表を作成していて驚いたのが、新聞メディアはかなり早い段階でWebへの展開をしていたこと。

95年には、 読売新聞による「YOMIURI ONLINE」や朝日新聞による「asahi.com」が開設。96年には、日経新聞による「NIKKEI NET」、産経新聞による「産経Web」が開設しています。

少し時代は飛びますが、08年には朝日・日経・読売の3社で「あらたにす」というWebメディアを開設。新聞社を横断しての試みもありました。

あと、「市民ジャーナリズム」という言葉がもてはやされて、06年には「オーマイニュース」という市民参加型メディアがオープンされました。期待が大きかったものの、尻すぼみだった印象ですが…。

5.Yahoo!1日1億PVの衝撃

Webメディアの歴史を語る上で外せないのが、Yahoo!の存在です。2000年7月には、Yahoo!は1日1億PVを記録。Webメディアの記事がYahoo!ニュースに掲載されることで、短期間に流入が伸びる現象は「Yahoo!砲」と呼ばれるようになっていきます。

ここで押さえておきたいのが、コンテンツホルダー(メディア)と、プラットフォーマー(Yahoo!)の力関係の変遷でしょう。

96年にYahoo!が日本で開設された当初は、コンテンツホルダーである新聞各社のほうが強者でした。Yahoo!は集客を考える上で、ニュースを掲載したいと思い、新聞各社と交渉に入ります。それがいつの間にか、立場は逆転していく…。

Yahoo!と新聞各社との交渉の舞台裏は、下村進さんの『2050年のメディア』(文藝春秋)が詳しいです。深堀りした取材をもとにしていて、読み応えあります!

6.おもしろメディアが台頭

2000年代に入ると、「デイリーポータルZ」「オモコロ」といったおもしろメディアが開設します。2010年代になって、おもしろメディアの勢いが増していったなと。ライターが顔出しをした体験記事を中心に、「こんな表現があったのか!」と驚くような内容が多くて、ワクワクしたのを覚えています。

おもしろ記事の系譜でいくと、livedoorの全力コラボニュースは触れておくべき存在。記事広告でありながら、思わずシェアしたくなる内容でした。虎柄のおばちゃんの記事、インパクトありすぎだったな。

7.オウンドメディアブームが起こる

2010年代には、コンテンツマーケティングという言葉に乗って、オウンドメディアブームが起こります。企業がメディア運営する時代がくるとは思わなかった…。

自社のハンドリングで有益な情報を提供して、ユーザーとの接点を作ろうとするなかで、たくさんのオウンドメディアが生まれました。2007年開設した「北欧、暮らしの道具店」や、2012年開設した「サイボウズ式」は、今もオウンドメディアの成功事例として注目される存在です。

8.WELQ問題によって質が問われる時代へ

2016年、WELQ問題が起こります。DeNAが運営していたメディア「WELQ」に、エビデンスのない健康情報が大量に掲載されてことが発覚し、大きな批判を浴びました。最終的には、運営会社による謝罪会見が行われることに…。

WELQ問題が起こってから、Webメディアの運営側の意識は、がらりと変わったと思います。記事のチェック体制を重視するようになった。

このあたりの話は、『図説 日本のメディア[新版]』の「第7章ネットメディア」でも取り上げられています。執筆者は、ヤフートピックス・元編集長の奥村倫弘さんなので、この章だけでも読む価値ありです。

激動のWebメディア史

かなりの駆け足でしたが、個人的に気になるトピックを中心に、Webメディアの歴史をたどってきました。あらためて激動です。

それぞれのWebメディアの歴史の見え方があると思いますので、ぜひご意見などいただけるとうれしいです!Webメディア歴史年表は随時、更新していきたい。

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