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ASDの子供に向けた博物館の取り組みinオーストラリア

 以前、自閉症児のための美術館の取り組みを取り上げました。今回は、博物館の取り組みをご紹介します。世界遺産にも登録されているカールトンガーデン。

 訪れるだけでも癒されるスポットですが、この公園内にあるメルボルン博物館では、The Autism Friendly Museum(自閉症に優しい博物館)プロジェクトが進行中。自閉症スペクトラムの人々のための、取り組みをご紹介します。
 特に、6月26日金曜日は、ASDの子供たちに配慮したスペシャル・デーで、私たち親子もお出かけしました。ロックダウンが少しずつ緩和される中、4カ月ぶりに、室内遊び場へのお出かけとなりました❣

◆感覚過敏への配慮(1):視覚・聴覚に優しい一日

 聴覚過敏だったり、視覚過敏だったり、自閉症は感覚特性を伴うことが大変多いです。そこで、ASDに配慮するスペシャル・デーでは丸一日、館内の明るさを絞り、マルチメディアの電源をほとんどつけずに運営することが伝えられました。普段の音響がないことで、逆に娘には大丈夫かな?と思いましたが、安心して楽しんでおり、安堵しました。

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 ただ、娘の場合、逆に暗がりを怖がって、なかなか各コーナーに入ろうとしませんでした(笑)こんなとき、助かるのが次の試みです。

◆感覚過敏への配慮(2):センソリー・マップ

以前もご紹介したセンソリー・マップがウェブサイトにありました。なんと日本語版まで用意されていました。これを見ると、どこだと子供が大丈夫そうか、なんとなく予測をつけて動くことができます。

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マップからもわかるとおり、とても大きな盛りだくさんの美術館。娘が大好きなのは、原生林のエリア。水を得た魚のように私の手を離れて探究しだします。

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◆博物館を楽しむためのソーシャル・ストーリー

 そのほかの試みとして、見通しの立たないことが不安になる自閉症スペクトラムの特性に配慮した、ソーシャル・ストーリーも、ウェブサイトからダウンロードできました。それによって、どんな手順で博物館に入り、どんな場所で何を楽しめるのか、視覚的にわかります。す。

 コロナ対策のためのソーシャル・ストーリーなど、シチュエーションに合わせたストーリーもありました。少しでも自閉症スペクトラムの子供がマナーを守って遊べる配慮がなされています。

◆感想

 未だロックダウンの状況下、ミュージアムを開くのは大変なことだと思います。入場手続きやカフェのメニューなどもQRコードでなるべく接触を防ぎ、各コーナーもすべて人数の上限が決められ、監視員による管理がなされていました。遊んだところにはすかさず清掃員が来て拭いてまわり、入場規制に加えてコーナーごとの時間制など、徹底的な対策が講じられていました。

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 そのような状況下、スペクトラムの子供のために、こうした一日を設けてくれたことは、輪をかけて大変だったのではと拝察されますが、とてもありがたかったです。また、子供を連れてきている親御さんたちが、皆、温かく真摯に子供に向き合っていることが感じられたのも、励まされました。
 今回の取り組みは、自閉症スペクトラムの当事者と家族を支えるNPOと博物館が連携してなされたようです。ソーシャルストーリーなどは、自閉症児の親が求める意向も大きく反映されて作成されたとのこと。こうした横のつながりもまた、ありがたいことだと思いました。
 何より、娘が久しぶりの室内遊び場にとても喜んでくれたのが良かった!ロックダウン下、予約制で殆ど他の子供と出会わない環境は、娘にとっては不安要素の軽減につながっているようです。スペシャル・デーはこの日一日だけでしたが、また通常運営の日にも、静かな時間帯に、一緒に遊びに出かけたいと思います。

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