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せめてもの自尊心

自分は他の人とは違う。個性があって優れている。それが理解されないだけだ。

きっとみんな心の中でそう思っている。

自分にそう思えるものがあるとしたら、昔劇団を主宰して作品を発表し、それがいまでもよくできた作品だと思えることだ。大変だったがその時の仲間が与えてくれた影響や、居心地のいい劇団という環境が書かせてくれた奇跡のような戯曲だとおもう。

いつか、その作品が陽の目をみればいいなとおもう。

今の自分の根本はその時期に作られたと思う。小中高と死んだふりをしているような学校生活だった。学校は何も出会わせてくれなかった。いま学校の先生に会って伝えることができるなら、おかげさまでこんなにビクビクした大人になりました。と伝えたいくらいだ。とにかくキラキラしたものに憧れて東京のマスコミ系の専門学校に入ったが、馴染めず1年で退学。バイトを経て事務員で働いていたが、その頃、第三舞台に出会い衝撃をうけた。とっくに有名劇団だったが、こんなにおもしろくて、むちゃくちゃな空間をつくれるんだという事が希望に思えた。いくつか個人劇団を覗いたりしたが、最終的には自分で話を書き上演したいと思って、始めたのがその劇団だった。

劇団というか集団は生き物で、常に変化をしていくので活動は短かったが、あの時はとにかく無敵な気がした。これで世界と戦っていくんだと真剣に思っていた。

そのときの仲間ももう連絡先すら分からない。その瞬間がどれだけ美しく濃厚であっても、これが現実。

やめたあと、その物語はインターネットで公開し、全国の高校生や大学生、社会人劇団がその作品を公演をしてくれた。夢のような思い出だ。いまでも検索するとそのカケラが残っている。

劇団で感じた濃密な人間関係は、その後の会社員人生にも大きな影響を与えたと思う。仕事人として評価されて少しは特別なことがあったのも、その時の自分のカケラが残っているからだと思う。

大丈夫、自分は特別だ。そう考えることが、いまの何もない自分の自尊心



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