新知識は視界が開ける

 知識が増えると今まで特に見えていなかったものが見えるようになり、それが苦しみにもなり楽しみにもなります。

 以前似たような話を書きました。

 今回もそれに近い話として、「知識を増やすこと」について書こうとしています。

 知識が増えると何を言っているのかわからなかった専門家同士の会話や、ある分野のいわゆるオタク同士が楽しそうに話している内容が理解できるようになります。

 こんな経験はあるでしょうか。

 今までろくに興味がなく、無意味な雑音であった会話が、その周辺知識を得た結果鮮明になり、景色が開けたような感じがする。

 知った結果興味が湧かず、たいして視界が開けた感覚もないこともありますが、語り口の上手にあった時は必ずと言っていいほどその感覚が付いてくるでしょう。

 これは人の語り口に限った話ではありません。

 入門書、入門講座というオーソドックスなもの以外に、最近では物事への入り口が様々に開かれています。

 とりわけ以前から入門漫画などのあったコミックだけでなく、今やソーシャルゲーム、アニメが入門コンテンツとして大きな役目を果たしているのは多くの方がご存知でしょう。

 刀、戦艦、果ては競馬。

 擬人化というものが入門コンテンツの多様化に果たしている役割は無視できるものではないと思います。

 僕自身、その世界に興味が湧き、日々新聞やニュースの片隅で目にしたり耳にしていた言葉の意味がわかるようになって楽しいという感覚を抱いたきっかけになったものがあります。

「競馬」に関する擬人化ソーシャルゲームである「ウマ娘 プリティーダービー」です。

 専用ゲームアプリを携帯に落とすか、パソコン上で遊びます。

 コンテンツとしては競馬史に輝く名馬を擬人化(いわゆる美少女化)し、能力値を上げてレース勝利を目指す育成シミュレーションゲームのようなものです。

 アニメが先行し、アプリリリース後のアニメ放送などで人気が爆発したコンテンツで、作中のストーリーや、キャラクターの個性は人を惹きつけるに十分な魅力があります。

 元ネタである馬やレースにまつわる逸話がキャラクターの個性やストーリーの内容、ゲーム内の会話に落とし込まれており、元ネタを調べるという「探究」によって、そのキャラクターやストーリーをより深く知ることができるという作りになっています。

 つまり、コンテンツがコンテンツ内部だけで完結しないのです。

 さらにはゲームの仕組みがキャラクターそのものに愛着が湧くような構成になっています。

 ゲームにおいて、あくまでプレイヤーが干渉できるのは能力値の上昇だけです。

 レース展開は見守るしかできず、結果にゲーム内のキャラクターと共に一喜一憂するという構造です。これはキャラクターへの愛着へとつながり、元ネタへの興味へと繋がるでしょう。

 またレースシステムは実際の競馬を見る上で関わってくる要素をもとに構成されており、専門用語を遊んで覚えながら実際の観戦に繋がることもできます。

 ある程度男性向けの雰囲気があり、一度クリアして仕舞えばあとはユーザーの工夫がなければ同じことの繰り返しになってしまうという問題はあるものの、「競馬」への興味のきっかけとしては十分なものではないでしょうか。

 僕自身このコンテンツのおかげで競馬「史」というものに興味が湧き、ニュースで流れる競馬の話題もワクワクしながら接することができるようになりました。

 何より馬というものを個体を意識して見るということがこれまでなかったため、競走馬に限らず、馬そのものへの興味も湧いてきています。

(競馬そのものは賭け事の一種なので、興味を持った上での付き合い方の問題はありますが、ここでは特に掘り下げないことにします)

 さて、ここでは「ウマ娘」を例に出し、競馬への興味の話をしましたが、今や刀剣女子などと言われる(この名付けは僕自身はあまり好きではないのですが便宜上使わせていただきます)人の出現はオンラインゲームとそこから派生したアニメ、映画舞台などのコンテンツによるものであり、歴史上の人物や城、スポーツがアニメ、ゲームがきっかけに注目されることだってあるでしょう。

 今や門戸が狭いというものは少なくなってきているように思えます。

 入りは何でも良いのです。たまにというか、頻繁にそのような入り方をした人を「にわか」と呼んで蔑む空気が形成されがちですが、誰しもが当初は「にわか」だったはずです。

 「にわか」「ミーハー」な状態から探究の深度を深めていき、理解できる言語を増やし、自身の考察も可能になっていったはずです。

 知識が広がる感覚は次の知識への興味へと繋がります。

 どんな形であれ、自分自身の知識を広げていきたいですし、知識を広げようとする人にはもっと開く門戸が開かれているべきだと思っています。

相変わらずまとまりがない。

それではまた。

 

 

 


 

  


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