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女の友情について ー映画『SUNNY 強い気持ち・強い愛』を観て

今日はブックカバーチャレンジの更新でもしようかなぁと考えていたのに、Prime Videoで配信されているのを見つけて観てしまった。

そしてとても良かった………。

世代ではないけれど、90年代初めのJ-popが好きなことから観たいなぁ〜と思っていた映画でした。(妊娠後期だったため、2時間もじっと座り続けていられなそうだなぁと諦めましたが。)


舞台は女子校。
"女の友情"がとてもリアルに描かれていました。
世代の違う私でも共感でき、また別の世代を考えても納得できるものでした。

なかでも、主人公が夫に、そんな"女の友情"を馬鹿にされ、"ため息をつく"シーンは印象的でした。


昔、父が「母には友だちがいない」(それは彼女の性格が悪いからだ)と母を馬鹿にすることがよくありました。
幼い頃の私は、たしかに母には、父のようによく集まる"昔の友だち"が少ないないなぁ。と、父の言葉を変に思うことはありませんでした。

でも、大人になってから"女の友情"というものがどういうものかを知ると、あの頃の父の言葉に"ため息をつきたくなる"ようになりました。

映画の登場人物たち、そして母と同じように、中学・高校の6年間を女子校で過ごした私がはじめに"それ"を感じたのは、大学生になりたての頃でした。

仲の良かったグループ皆それぞれ違う大学に進学し、それぞれの生活環境が変わりました。
一番の変化は、その生活や交友関係に異性の存在が当たり前のようにあるということ。
女子校時代からすると、大きな違いでした。

授業やサークル、バイト、そしてそれ以外に、それぞれ好きな人がいたり、彼氏がいたり。
彼を優先するタイプ、そうでないタイプ、様々ですが「みんなで集まろう!」と言っても、なかなか予定が合わなくなってゆきます。

はじめは9割程度の参加率だった集まりも、次第に半分に、そして3割程度に…とだんだん数が減ってゆきました。


大学を卒業し、就職をすれば更に環境が変わります。休みの曜日だってそれぞれ違う。
私で言えば、早くに結婚をしたので、余計に環境が変わりました。

仕事、家事、自分の時間、夫との時間、義理の家族との時間…。そんな中でも継続して集まり続けている人たちも多くいるとは思いますが、私は違いました。呼ばれることもなくなりました。

友人たちも、きっとそれぞれが、今いる環境で一番楽しいことを優先しているのだと思います。


そして私は子どもを産み、もう、全く環境が変わりました。
育児、家事、仕事、自分の時間、家族の時間。これだけで精一杯の生活で、友だちに会える時間は限られます。となると"実際に会う友だち"も絞られます。


気持ちや経験の共有…共感によって絆を深めていく女の友情は、それが出来なくなれば続けにくいのだと思います。
仲間内みんなが、"似た状態"であることが必要なのだと思います。
そうでなくても続けられる友人関係は、ごく僅かだろうと思います。

"女としての人生"のどの段階にいるかによって、興味関心のあることも、抱える悩みも全く違うものになります。

それは男同士も同じであるかもしれないけれど、決定的に違う点は「隣に男がいるかどうか」「どのような男を捕まえたか」または「どのような男に選ばれたか」によって、その女性のステータスが変わる、という点だと思います。

それは自分自身の努力の結果でもなければ、努力して約束されるのでもない、運次第だから、複雑なのだと思います。

これによって、それぞれがそれぞれに嫉妬をする…という関係にだってなります。


「素敵な彼に巡り合えない」「結婚生活がうまくいかない」「子どもに手を焼いている」

例えばこんな悩みを吐露しあったって

(あの子は良いな。良い男を捕まえて、幸せそうだ。昔は大したことなかったのに。)(でもあの子よりはマシだ。私はあんな男選ばない。)(あぁなるくらいなら今の方が良い。)(いつまでも男の理想が高いな。)(あの子は良いな、気ままで。)(あの子より良い条件の男を捕まえよう。)

帰り道には、それぞれがこんな思いを巡らせているのでは?



母の話に戻せば、今の女性より「結婚して当たり前、子どもがいて当たり前」という社会で生きていたことからも、男がいる/いない、子どもがいる/いないによって生じる溝は深かったと思いますし、子どもがいる場合には、時間の制約だって強かったはず。

"今でも集まれる昔の女友達"がかなり限られてしまうことも納得できます。


この映画の登場人物たちも同じでした。
20年以上の時を経て「色んな事を経験してきた」という再び、違うようで"似た状態"になってやっと、あの時のように笑い合えるようになる…。

「なんであの時、あんな些細なことが、あんなにおかしかったんだろうね?」
「あの時、世界は自分達中心に回っていたよね。」

こんな話で盛り上がり、そしてまた、それぞれの道を歩いてゆくのだろうと思います。


そんな"女の友情"。
本当に丁寧に描かれていました。
そしてそんなことを何も知らない男に、「これだから女は」と言わんばかりに薄いだのなんだのと馬鹿にされ、ため息をついた主人公…。


それ以外にも、心に刺さる場面の多い映画でした。







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