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農業コンサルティング会社を起業して20年、関係者の皆様には深く感謝いたします。

株式会社リープスの決算は3月末、今日から新年度の営業がスタートしました。
会社の設立日は4月22日なので、もう少し先なのですが、今日から第21期です。
まだ、もう少し仕事は続けていくつもりですが、クライアントや関係者、経営者仲間の皆さんには感謝申し上げます。

20年前の会社設立時には、農業関係でモノを売らないコンサルティング業は、獣医さんなどの専門家以外はほとんどいませんでした。土壌分析は肥料会社、家畜の栄養計算は飼料会社のサービスの一環としていました。

モノを売らずに農業者にコンタクトをしているのは、行政が運営している農業改良普及員や農協の営農指導の担当者などで、原則的に農業者に費用負担はありませんでした。目にみえる物体や質量のあるモノ以外の知識や経験はタダという業界の慣習が当時は今よりも根強かったのです。

この20年で何が変わったかといえば、一番は農家の経営者としての意識でしょう。駆け出しのコンサルタントとして農村をまわり、農業経営者とお会いしました。農家も経営者であるという認識で仕事をされていた方々には、当時、あまり例のない農業コンサルティング業を開業した、まだ30歳代半ばの若者は珍しかったのでしょう。あちこちの会合に連れて行ってもらい勉強の機会をいただきました。

その後、経済産業省では農商工連携、農林水産省からは六次産業化のプロジェクトが作られました。農業の付加価値を高めるために、農業経営者が自らの責任で、新しい事業に取り組むというものでした。

実は当社は経産省でこの事業が始まった2008年に実施された「農商工連携88選」なるものに選ばれています。今では、農商工連携も六次産業化もちょっと古臭い政策に感じますが、農業の付加価値を高めるためには、他の産業や業種との連携が必要だということを今でも強く感じています。

なお、農商工連携も六次産業化も本質的には同じであると思っています。仕切る行政機関が異なるため、農業者が主体になるかどうかの差です。結果的には同じなのですが、違う業種、業態の方々と対等にプロジェクトを実施するため、自らの立ち位置や責任の範囲をしっかりと定義するというのが重要だと思います。

この「立ち位置」を明確にする手法が、ブランディングです。
私は、土づくりを専門としていますが、しっかりとした信念で土づくりを継続的に実施してきて、作られた農産物をどのように売るかという段階になったときに、この土づくりの実践を付加価値としてどのように購入者に知ってもらうかというのが課題でした。そこでブランディングへの取り組みを始めました。

2015年には、日本でも地理的表示(GI)保護制度が始まり、農水省からの委託を受けてGI登録までのアドバイザーをこれまで実施しています。GIは、その地域の気候や土壌、社会的、歴史的背景に帰せられる理由がある農産物を国が認証して、保護する等いうものです。

ある地域で昔から作られてきたものは、作り手には特別な感覚はあまりないかもしれません。しかし、買い手からすればとても魅力的な製品に思えることもあります。どうやって売るか、どのように評価されるのかをマネジメントするブランディングが必要になります。

起業から20年、今でも手探りで仕事をしている状況ですが、クライアント様の思いに寄り添い、経営判断の材料を集めてきたところ、今の仕事の枠組みが出来上がりました。クライアントの取り組みは常に誰もやっていない、新しいことです。前例を作る仕事は定型的ではないし、成功も約束されていません。でも、何かにぶら下がるのではなく、自ら道を開くことに価値があると思っています。

関係者の皆様には、今後ともよろしくお付き合いよろしくお願い申し上げます。

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