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地域や産品ブランドの総合戦略

関サバ、大間のクロマグロ、魚沼産のコシヒカリ、松阪牛など、地域の一次産品がブランドとして高値で取引されるようになって久しいわけですが、かつて、戦後、日本が貧しかった時は、食にブランドなどは存在しておらず、味はともかく、安全なもの、栄養のあるものをお腹いっぱい食べることが重要であったはずです。生きるために「胃」を満たすのが食でした。

その後、日本が豊かになることで、飽食の時代と言われるようになってから、食が文化になり、お腹、すなわち胃を満たすだけではなく、おいしさや、それを食べて得ることができる心、知的好奇心を刺激するようになりました。食のブランド化が始まったのです。

ブランド化とは、類似する製品やサービスとの識別を図るためにつける目印であり、名前やマークなどを意味します。ブランディングを翻訳すると「焼印」という意味があることがわかりますが、その昔、共同放牧に出した自分の牛を見分けるために牛に押した印のことだったんですね。

やがて、識別するだけでなく、類似するものとの差別化を図る印という意味も付与するようになりました。そうするためには、何が差別化の要因なのかを明確に示し、顧客に評価してもらわなければなりません。いい加減な不良品に識別可能な印をつければ、逆にその製品やサービスの価値は低下してしまうことになります。

ブランドは信頼の証であり、製品やサービスの提供者にとっても、それを受け取る顧客にとっても重要なものになっていきます。その信頼や価値は受け取る側、つまり顧客によって作られるものとなります。しかし、その顧客に伝えたい価値をわかりやすく、整理して表現することがブランド活動、つまりブランディングということになります。

ブランドの識別は印であるため、その名称やロゴマークといった目に入るデザインと思われる人も多いのですが、ブランディング考える時には、そのロジックとデザインは切り離して考えるべきです。

まずは、そのブランドの価値の源泉やブランディングの目的を整理することが重要で、その価値や世界観を表現するための方法としてデザインを活用することになります。

顧客に見える部分はほんのわずかです。寒い海に浮かぶ氷山は海面に出ているのは全体の体積のわずか1割と言われていますが、ブランドも見えない部分をしっかりと固めることが重要なのです。

それを考えるのがブランド戦略と言えるでしょう。

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