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恋愛小説が書けなくて

タイトルのイメージは「ポケベルが鳴らなくて」である。見出し画像も、やや昭和イメージにしてみた。最近は自作にはまっている。
今日は珍しく、悩みを書かせてもらう。大した悩みではないので、構えず読んでほしい。
僕は、ラブストーリーが壊滅的に書けない。その話だ。

小説を書く場合、ホラーやファンタジー、それに戦闘ものが多い。そして読む場合にも、時代物やミステリが多い。
つまり、インプットについても、アウトプットについても、その経験が乏しい。それはすなわち、書けないということだ。
自身の経験も、その殆どが失恋なので、相手にされない話か、手ひどくふられる話しか書けない。僕は、生涯でふられた回数のギネス記録を保持している。勿論、真っ赤な嘘であるが。

恋愛小説のインプットが乏しくなった理由は、中学時代にある。
僕の通う中学では、読書の時間があった。ゆとり教育全盛の頃である。今考えると普通に授業していたほうが絶対によかった。ゆとり教育とはなんだったのか。
その時間のために、僕は読んでみようと思っていた恋愛小説を持っていった。作者名は伏せる。勿論、健全な恋愛小説である。今でこそいかがわしい本を(以下略)。
同級生に、いちいち他人を茶化す嫌いな男子がいた。だいたい想像はつくだろう。その男子に恋愛小説を持ってきたことがばれたのだ。
「お前、何恋愛小説なんて持って来てんのー!」
クラスで笑いが起こる。あのとき笑った人間とは、今現在も距離を置いている。僕は、一度憎むと永久にその感情が続くタイプだ。未だにむかっ腹が立つ。
それ以来、僕は恋愛小説を買わなくなった。

後日談がある。もしかしたら、お読みになっている方も気付いたかもしれない。僕も最近になって気付いたのだが。この疑問が浮かぶのだ。
「あいつ、なんでタイトルだけで恋愛小説ってわかったんだ?」
つまり、僕の嫌いな彼も、おそらくその小説を読んでいたのである。だから、恋愛小説だとわかった。そのくせ、女子の前で格好つけたくて、僕が持ってきた小説を茶化したのだ。
許してはならぬ。
許してはならぬ、読書は自由であるぞ!
自分が格好つけたいが為に人の本を馬鹿にするとは、打ち首である!
……そこまででもない?
皆さんが言うならそうなのだろう。

それにしても、あの経験がなければ、僕はおそらく恋愛小説で本屋大賞を受賞していたはずである。あの男子は、ひとつの大きな才能を潰したのだ。それを悔いるがいい。
…まあ、そんなわけないんだけどね。とはいえ、人生が少し変わったようには思う。
甘酸っぱい青春小説にさえあまり手を出さず、ひたすら血で血を洗うような作品ばかり読むことになったのは、ああいった出来事が複合的に関与しているのだと、僕は信じている。

今からでも、と思い、ぽつぽつと読んではいる。
そして、書いてみたりもしている。だが、駄作に思えてしまって、さっき半分消した。書けん。
特に悩むのは、キャラ設定とオチである。
自分の趣味バリバリな女性しか書けないのだ。今まで、血みどろの話を書いていたときは普通に沸いてきたアイデアが、完全に枯れている。エッセイだとすらすら書ける。どうしろってんだ。
というわけで、次に恋愛小説を公開するときのヒロインが、僕の好きな感じの女性だ。なんで性癖暴露したみたいになってんだろう。
そのうち公開する。「後悔」ではない。そっちなら今している。
誰かアドバイスください、と呟いて、このエッセイを終える。


それにしても、思い出したら腹立ってきた。
誰が何を読んでいても、馬鹿にしてはならない。そう言い残して、本当にこのエッセイを終える。
読書しよ。

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