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まぼろしを紡いで

もう全部やめてしまおうか
キーボードを叩く音が止まる
夏の風ばかりが過ぎる静寂
夜の闇に右手をしのばせる

いつまでも変わらない世界に
理想とは程遠い自分に
あきらめる癖ばかりついた
それでも言葉を紡いだ

ニライカナイの夢を見て
湯船に沈めた手首
思い出すのは十府ヶ浦とふがうら
あの朝焼けのまぼろし
大八洲おおやしまを駆けるのはこころ
ただぼくのこころ

息を吐き出して、静寂を壊した
夏の夜は少しだけぼくに寄り添う
あの朝焼けに消えてしまえば
もうぼくはきみに会えないのか

認めよう、生きよう、笑おう
ただあるがまま、望むまま?
それができない自分を思う
ただ躊躇い傷を撫でる
あの朝焼けに彼方のニライカナイ
ぼくはまだきみを想うよ

もう全部やめてしまおうか
キーボードの音、言葉が闇に浮かぶ
十府ヶ浦に置き去りし我がこころは
今もなお、ただ夢を見る
僕はただ言葉を紡ぐのだろう
夢を見るように、愛を謳うように



十府ヶ浦海岸は、岩手県野田村にある。
平安時代には和歌の題材とされた。紫色の小石を多く含んだ砂浜は、小豆砂あずきすなと呼ばれる。三陸北部では数少ない砂浜であり、天候に恵まれたならば、とても美しい朝焼けが見れる。
見出しはCanva生成画像で、十府ヶ浦海岸ではない。というか、朝にものすごく弱いので、まだ十府ヶ浦の朝焼けを見たことはない。
note記事執筆のために朝焼けを見に行きたいし、野田村もまた見て回りたい。いい所なので行ってみてほしい。

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