上手くいかない原因なんてないのかもしれない

私はずっと、自分はなぜ上手くいかないのだろうと思っていた。
仕事でも、人間関係でもそうだ。

昔からなかなか友達ができなかったし、恋愛なんでものすごく難しいことだと感じていた。
社会に出てからも怒られることがすごく多かったし、「何考えてるか分からない」とよく言われた。

私はいつも理由を探していた。なぜ上手くいかないのか。私のどこが悪いのか。
探して努力する度に、また間違えた。自分には何をやっても上手くいかないように思えた。
自信をなくす度に、よくない人に出会った。その人たちはいつも私をバカにした。私はその時も、「自分の何がダメなのか?」を考えていた。

しかしある日、けっこう最近のことなのだが、もしかしたら「原因なんてない」のかもしれないなと思った。

人生の本当に初期段階で、たまたま不慣れなことをした。やり方を教えて貰わないまま行動して失敗した。向いていないことにチャレンジした。
私はそれを「私がダメな人間だからだ」と思った。
しかしそれで失敗するのは当たり前で、「私がダメな人間だから」ではないのだ。

今だったら向いていなかったと分かるが、その時は考えもしなかった。
ありもしない完璧を目指して、いつも自分の改善点を探していた。

もしあるとするならば、「原因があると思って、自分の悪い所ばかり探していた」のが原因だったのだ。

私はいつも不安だった。不安になって動くのをためらったし、人と上手く話せなかった。
全部自分に自信がなくて、常にどうしたら上手くいくか、人によく思われるかを考えながら生きてきたからだ。
しかも常に頭で考えるばかりなので発言や行動が不自然になるし、周りの様子に気が付かない。完全に裏目に出ていたと思う。

しかしこういったことは私だけでなく、今多くの人にみられることではないかと思う。

たまたま上手くいかなかった、自分に向いていなかった、やり方を知らなかった、最初から高みを目指しすぎたなどの理由で「自分そのものに問題がある」「努力が足りない」と思い込んでしまう。
そして新しい方法を取り入れた結果、上手くいかないだけでなく元々自分がどうしていたか、何が得意だったかすらも忘れてしまう。

私たちは、特に今は「すごい人」を目にする機会が多い。SNSを開けば無限に出てくる。

わざわざできなかったことを、インスタにアップする人なんていない。そもそも本当に自信が持てなくて悩んでいるときは、人に伝えることもためらってしまうことが多いのではないかと思う。

結果、世の中は「できる人」の情報でいっぱいになる。
それと比較すると、自分は「ダメな人」ということになってしまう。

さらに今はあまりに情報が溢れすぎているため、逆に自分に向いていることを見つけるのは難しいのではないかとも思う。

情報が多すぎなければ、身近なことや自分が自然としていたことの中から特に向いていることを見つけることができる。
しかし選択肢が多すぎると、普段の自分とはかけ離れた道筋もどうしても目に付く。結果、自分に合わないことをする可能性も高まるのではないだろうか。

こうして自信がなくなり、いつも「自分はどうしたら上手くいくか」を考え、不安な気持ちで過ごすことになる。

そうなると、今目の前にいる人の表情も、世の中の流れも、何も分からなくなってくる。
人としゃべれなくなったり、部屋から出られなくなったりする人もいるだろう。

私は「原因なんてない」と思うようにしてから、少しずつ自然体で生きることができるようになっていると感じる。
「できない」ことも個性の一つなのだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?