山口美生(編集、ライター)

出版社勤めしたりフリーランスしたり、かれこれ20年ほど出版のあれこれに携わっています。…

山口美生(編集、ライター)

出版社勤めしたりフリーランスしたり、かれこれ20年ほど出版のあれこれに携わっています。酒とまんがが好き。発達性読み書き障害について発信するためにnote開設しました。編集担当:『うちの子は字が書けない』『「うちの子は字が書けない」と思ったら』(ポプラ社)など

最近の記事

社会人3年目、親がしている支援は「朝起こすこと」だけ

小学1年生のときにひらがなの読みでつまずいた息子に対し、これまで多くの支援とつなげることを担ってきたと語る母の渡辺冬美さん。 障がい者雇用で地元の電気関係の会社で働きはじめて3年目。自らの困り感に向き合いながら実務経験を積む息子をみて思うのは、「がんばってきてよかった」ということ。 小学1年生から社会に出るまでの十数年にわたり支援についてうかがいました。 お話を聞いた方:渡辺冬美さん(仮) 当事者との関係性:母 いい先生たちとの巡り合わせで、支援がつながっていったー読み書

    • インタビュー記事に「監修」はついていません

      インタビュー記事を公開していくなかで、これはどこかに明記しておいたほうがよいと感じたので、「監修」についてご説明します。 タイトルの通り、このnoteで発信しているインタビュー記事に「監修」はついていません。 ADHDの子の約20%は発達性読み書き障害を併発しているという研究報告があるように、発達性読み書き障害とほかの障害を併せ持つことは少なくありません。 インタビューの際に、「発達性読み書き障害の診断の有無」はうかがっていますが、ほかの障害についてはお話しのなかで自然に出

      • 2024年でも発達性読み書き障害の子が主人公のアニメは見られないのかー杉本亜未先生原画展によせて

        それって『ファンタジウム』の良くんの…? 『うちの子は字が書けない』の著者 千葉リョウコさんから、お子さんに障害があり、いつかそれをエッセイにしたいとお聞きしたのは、おそらく2010年か11年頃。 読み書きが苦手で…というお話を聞いてすぐに頭に浮かんだのが、杉本亜未さんの『ファンタジウム』というマンガでした。 『ファンタジウム』の主人公は天才マジシャンで発達性読み書き障害の少年。作品のなかでは、読み書きができないことで学校に通えず、通級で読み書きの練習をする姿も描かれてい

        • 小学1年生の終わり、今は「経過観察」と決めました

          小学1年生の5月に、習い事の先生に「おたくのお子さんは発達が遅れてるんですか?」と言われて衝撃を受け、実は宿題の「音読」ができていなかったことに気づいたという田辺さんに、気づいたきっかけ、読み書きの状態、経過観察すると決めた理由についてうかがいました。 お話しを聞いた方:田辺なおこさん(仮) 当事者との関係性:母 ー読み書きが苦手だと気づいたきっかけは? 小学1年生の5月に、習い事の先生に「おたくのお子さんは発達が遅れてるんですか?」と言われたことです。 教室の前に書か

        社会人3年目、親がしている支援は「朝起こすこと」だけ

          障害を作り出しているのは、まわりとの関係性受け入れられる柔軟な世界を探したい

          得意なこと、好きなこと、夢中になれることで生きていって欲しい。 普通に惑わされず生きる力を身につけさせるため、本人にあった勉強法はプロにおまかせ。 家は安全地帯だから、苦手なことの話は一切しない……と言い切る咲田さんに、「苦手」の捉え方についてうかがいました。 お話を聞いた方:咲田さん(仮) 当事者との関係性:母 ー就学前に読み書きが苦手だと気付いていたんですね? 読み書き以前に、コミュニケーションで「おや?」と思っており、年中さんでASD(自閉スペクトラム症)の診断が

          障害を作り出しているのは、まわりとの関係性受け入れられる柔軟な世界を探したい

          学校での「前例」から、気づきをくれた先生に感謝

          小学3年生のとき、漢字の50問テストで「2点」をとってきた息子。 苦手なだけかな…と思っていたところに、担任の先生からの「専門のところに相談に行ってもいいかも」と言われ、「あ、そういうこともあるのかもしれない」と気づいた新川さん。 気づきから診断、合理的配慮を受けるまでの経緯についてうかがいました。 お話を聞いた方:新川恭子さん(仮) 当事者との関係性:母 ー読み書きが苦手だと気づいたきっかけは? 小学校での漢字テストです。 漢字の50問テストで2点を取ってきたことで少

          学校での「前例」から、気づきをくれた先生に感謝

          「I am」を「イット」と読んだ中2の娘

          『うちの子は字が書けない』著者の千葉リョウコさんに、続編『「うちの子は字が書けないかも」と思ったら』で登場したフユくんの妹、ナツちゃんの読み書きの症状についてうかがいました。 ※インタビューをしたきっかけは「発達性読み書き障害の症状って?」をご覧ください。 お話しを聞いた方:千葉リョウコさん 当事者との関係性:母 ①読み書きが苦手だと気づいたきっかけは? 中学2年生の夏休みに「I am」を「…イット?」と読んだ場に居合わせ、おかしいなと思いました。 夏休み明けに英単語の

          「I am」を「イット」と読んだ中2の娘

          九九は覚えられるのに、字が書けないのはなぜ?

          『うちの子は字が書けない』著者の千葉リョウコさんに、漫画の主人公・フユくんの読み書きの症状についてうかがいました。 ※インタビューをしたきっかけは「発達性読み書き障害の症状って?」をご覧ください。 お話しを聞いた方:千葉リョウコさん 当事者との関係性:母 ー読み書きが苦手だと気づいたきっかけは? 漫画に書いたことと同じになるのですが、小学校に入学してもなかなか字が書けるようにならず、宿題の漢字練習をするのにノート1ページに1時間かかる様子を見ていて、違和感を感じるように

          九九は覚えられるのに、字が書けないのはなぜ?

          発達性読み書き障害の症状って?

          発達性読み書き障害の主な症状は、「発達性読み書き障害、発達性ディスレクシアとは?」で書いた通りですが、実際の症状の出方は人によってかなり違います。 ひらがなの読みも難しい子もいれば、ひらがな、カタカナは完璧に、漢字も小学3年生までで習う範囲なら読み書きできるが、高学年以上で習う漢字になるとお手上げというひともいる。 日本の小学生の約7~8%に存在するのに、あまり知られていないのは、「まったくできない」わけではない子がたくさんいるからかもしれません。 調査(※)により、ひら

          発達性読み書き障害の症状って?

          noteを立ち上げた経緯

          2024年2月、日本語の発達性読み書き障害の臨床・研究における第一人者である宇野彰先生が理事長をつとめるNPO法人LD・ディスレクシアセンターの20周年の式典がありました。 そこで、発達性読み書き障害の子どもたちが学ぶ環境をよりよくするためにご尽力されている多くの先生方がいらっしゃること、その取り組みの一端をお聞きしました。 宇野先生をはじめ、人生をかけて取り組まれている方々に心を打たれ、「私にもまだできることがあるのではないか」と思い、その一歩としてnoteを立ち上げました

          発達性読み書き障害、発達性ディスレクシアとは?

          発達障害の一種で、知能や聴いて理解する力、発話で自分の考えを伝えることには問題はないが、読み書きの能力だけに特に困難を示す障害のこと。 おもに就学期前後に明らかになることが多く、日本の小学生の約7~8%に存在します。(※) ちなみに、英語圏においては発達性ディスレクシアの「読み」の出現率は10~15%と日本語よりもかなり高く、日本では英語の学習がはじまってから、英語の成績だけが極端に悪く、発達性読み書き障害であることが発覚する場合もあります。 「読み書きの能力に困難を示す」

          発達性読み書き障害、発達性ディスレクシアとは?