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牛丼チェーン3社から見る価格競争

読者の皆様。このnoteを開いていただきありがとうございます。今回は価格競争の原理を牛丼チェーン3社の例を用いてお話していきたいと思います。このnoteは飲食店オーナーの方だけでなく、幅広い方に向けて書いております。

早速ですが、皆様。牛丼チェーン大手である、吉野家、すき家、松屋による熾烈な価格競争の歴史をご存知でしょうか。この戦いは幾度となく繰り返されてきました。熾烈な価格競争の結果、2015年にはすき家が牛丼並盛を290円で売り出したこともありました。(今は350円+税です。)

消費者としてはお得に牛丼が食べられるのは嬉しいですが、この値段で会社経営できるの?と疑問に思ってしまいますよね。実際、相当低い利益率での経営を強いられていたと思います。では、なぜこのような自体に陥ってしまったのでしょうか?

牛丼の価格は日本経済の状況を示すと言われています。デフレが起これば牛丼価格は下落し、インフレが起これば上昇します。バブルが弾けて以来、日本経済はデフレに苦しんでいます。2015年も例外なく、デフレ経済の歳でした。牛丼チェーンが価格競争に陥った要因として、デフレ経済が停滞することで平均賃金が下がる中で、庶民の見方である牛丼は価格を下げざるを得なかったと言う側面もあります。

しかしこの価格競争、ここまで激化すべきものだったのかは疑問が残ります。確かに平均賃金の減少に伴って、価格を下げるのは正しいマーケティングなのかも知れませんが、果たして経営状況を悪化させるほどの価格設定をする必要があったのでしょうか。

大手牛丼チェーン3社は当時、ブランディング戦略を意欲的に行っていませんでした。もしくは低価格と言うブランディングを3社とも行っていたのかもしれません。お客さんから見るとどのお店も牛丼のお店なので、近くて、安いお店に行こうとします。3社ともそういったお客さんのニーズに対応し、価格で集客を行おうと考えた結果、価格競争が起きてしまいました。

2015年以降は原材料費、人件費が高騰し価格競争が鎮静化しています。また直近、5年で各社、差別化を図るためかブランディング戦略を実行しているように感じます。

個人的な意見ですがすき家と吉野家を比較すると以下のような違いがあるのではないかと思います。

吉野家
・牛丼の味のレベルで他社と差別化
・1人客をメインターゲットに設定
すき家
・多様なメニュー提供で定食屋としての位置付け
・ファミリー層をメイインターゲットに設定

私は上記の2社で働いた経験はないので、個人的な見解になってしまいますがこのようなポジショニングを各社とっているのだと考えています。吉野家はすき家に比べて牛丼の価格が少し(数円ほどですが)高く、カウンター席の割合も多いです。またBSE(牛海綿状脳症)問題がおきた2000年代初頭には吉野家は米国産牛肉の使用にこだわるために牛丼の提供を停止すると言う大胆な経営判断を下しました。これも開業当社からの「うまい」「はやい」「やすい」を守るためだったそうです。一方のすき家はBSE問題が起きてすぐに米国産牛肉の使用をやめオーストラリア産の牛肉の使用に切り替えたことによって牛丼の提供を続けました。このように会社のスピリッツとも言われるような根幹の考え方の違いがあったのでしょう。すき家はファミリー層を獲得するためにカレーなど多様なメニューを提供しテーブル席も設置していますね。

吉野家、すき家がそれぞれ別のブランディング戦略を実行しているうちは、価格競争はそうそう起こることはないと考えます。それぞれのお店に価格以外の良さがあることをお客さんが認知していますからね。

長くなってしまいましたが私がこのnoteで伝えたかったことは価格を自店の一番の強みにしてはいけないということです。吉野家、すき家、松屋による価格競争によって各社、利益が大幅に減少し(80%減の決算期もありました)、かなり疲弊したことはいうまでもありませんね。大手だからこそ潰れなかったでしょうがこれを個人経営店舗でやってしまうと、非常に危険です。是非、飲食店オーナーの方は価格以外の自店の強みを考え、お客さんに伝えていくように心がけましょう。そうすることで行き過ぎた価格競争から離脱することができるはずです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。他にも飲食店経営者なら知っておくべき情報、マーケティング、最新トレンドなどの記事を書いていますので他の記事も読んでいただけるとありがたいです。

では。



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