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育休中のリスキリングは可能か

国会での質疑応答から、あっという間に話題になったこの話。

前提として、育休中かどうかにかかわらず、「学びたい」と思う人に対して学びの支援をしてくれるなら、ぜひそうした政策を実現してほしい。

そのうえで、ここまで批判されていることについて考えたい。

なぜ、みんな批判しているのか。反発したくなるのか。

わたしも、前回のnoteで、育休中、ほとんど子育てのことしか考えられない、みたいなことを書いた。

子育ては、あまりにもたくさんの知識や技術を求めてくる。

https://note.com/lazy_planet/n/naff53c0eb53c

正直、これに尽きるのだけど、頭の中のリソースの大半が子育てモードになる。時間も精神的余裕も、金銭的な余裕も、いろいろ足りないけれど、絶対的に頭の中は子どものことで埋め尽くされるし、お昼寝の時間などほんのいっとき離れられる自分の時間を、「学び」に充てるか自分のための「リラックス」に充てるか、といえば、休みなく働かざるをえない子育てにおいてはリラックスしたほうがいい。学びが気分転換になるなら、もちろんそれでもいい。

でも、この問題の本質は「育休中は忙しいんだよ、なめんな」みたいなところではなく、「賃上げってそもそも個人のスキルに依存するんですか」じゃないだろうか、と思う。

育休中にスキルアップして、復帰後に給料アップ、という話はほとんど聞かない。むしろ、時短勤務を行うことで給与は下がり、「配慮」という名のもとに責任あるプロジェクトを任せてもらえないなどのマミートラックに陥るといった話のほうがよく聞く。そして、大半はそれが女性が引き受ける問題になってしまっている。

男性が時短勤務をして、復帰後も保育園の迎えに行って夕食を作ったっていい。女性がフルタイムでバリバリ働いて、育休中に培ったマルチタスクやレジリエンスのスキルをいかんなく発揮したっていい。

理解ある職場なら、すでにマミートラックにならないための工夫や、育休中の仕事への不安の解消のための施策を始めている。本来なら、個人のリスキリングを促すよりも、こうした企業の施策を促すほうが、子育て中のパパママ世代は安心できる。そして賃上げを実施するのは企業だ。

それを、個人の責任に転嫁してしまったことが、ここまで炎上した原因じゃないかと思われる。

育休中は、細切れながらも自分の時間を取ることも不可能じゃない。朝4時とかに起きれば、1,2時間の勉強もできるかもしれない。でも、日中の睡眠不足で育児のリスクは高まるし、仕事は一日休んでもどうにかなるかもしれないが、育児は周りに助けてくれる人がいないと、一日も休めない。自分自身の体力温存や健康維持、ストレス解消も、とても大切な育児の一環だと思う。

育休中に学びたい、というコミュニティも実際たくさんある。無理のない範囲でこういうコミュニティに入るのも全然アリだと個人的には思う。社会とのつながりが生まれるし、孤立しがちな育児で同じ悩みを共有でき、育休中にも自分の好きな仕事の話ができる。

キャリアについて不安に思うことは当然ある。職場に育休の先例が無いとか、先輩ママの話が聞きたいとか、そういう声に寄り添うなら、リスキリングというよりは、「キャリア不安の解消」のための施策として、こういう活動の後押しや支援をしてみてはどうだろうか。

私も、いくつかのコミュニティに所属しているので、やっぱり「学び」は一人でやるよりも、みんなでやったほうができるし続けられる、と感じる。
最近はご飯食べながらとか、子どもも参加しながらとかでも、オンライン参加していることもある。

ほか、いろいろと思うことはあるけれど、育児のあり方は様々で、その期間も長く、一緒くたには語れない。そのときどきで、いくつもの壁にぶち当たる。そうした壁があるうちは、まずその社会の壁をなくすほうが先決じゃないだろうか、と思う。


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