見出し画像

うれしなつかしおやつかな

 ノスタルジー祭り開催中。とんかつ弁当を思い出したら懐かしいおやつについて書きたくなった。

 保育園でたまに出てきた懐かしの味。アルミカップに入った、茹でたマカロニに砂糖入りきな粉をまぶしたおやつ。まだパスタという通称が一般的でなく、「マカロニ」と「スパゲッティー」が一般的な呼称だった時代。ムニュッとしたマカロニの歯応えと甘ーいきなこの相性は抜群だった。アルミカップに残ったきな粉を「魔法の粉」と呼び、カップを傾けて口に流し込むのも楽しみだった。

 近所のセブンイレブンでいつも買っていたのが、かにぱん。足を一本一本もぎ、無防備になった胴体部分にかぶりついていた。今思うと残酷な食べ方をしていた。ほんのり甘いパンと酵母の匂い。見かけると懐かしくなる。パッケージも昔から変わっていないのではないだろうか。水色とピンクのイメージ。

 同じくセブンイレブンでよく買ったのが、肉まん。紙と一緒に剥がれた皮をなんとか残さず食べようと苦戦し、兄弟から意地汚いと言われた気がする。兄弟はピザまんを食べていた気がする。あんまん肉まんピザまんといえばセブンイレブン、と思っていた私は、セブンイレブン以外でも買えると知ったときカルチャーショックを受けた。セブンイレブン商品でいうとブリトーも昔から大好きだ。シンプルなハムとチーズがお気に入り。

 昔は杏仁豆腐といえば菱形で、牛乳の味がほぼしなくて、缶詰めの蜜柑やさくらんぼ、たまに赤い菱形の寒天入りでシロップたぷたぷのフルーツポンチ炭酸抜きみたいなものだった。調理実習で作るまで牛乳を使うなんて思ってもみなかった。ここ数年、家族で昔ながらの杏仁豆腐を食べたくて探すのだが、大抵が本場仕様であの頃の商品とは似ても似つかない。たまに近い商品を見かけると買っておく。少々チープに感じるあの味わいと食感がいいのだ。

 キャベンディッシュ&ハーベイの缶入りキャンディーは、祖父の思い出だ。チェリー味が定番だった。白い粉砂糖の中から宝石のようなルビー色のキャンディーをつまみ取るのが嬉しくて仕方なかった。大人になってから値段を知って驚いた。祖父母にずいぶん甘やかしてもらったし贅沢させてもらった幼少期だった。
 キャンディー繋がりで外せないのがサクマ式ドロップである。今でもつい買いたくなる一品。苦手なハッカ味と大好きなレモン味を間違えて頬張り泣いた。一度鞄に入れて持ち歩いたら、ガラガラいうのが余程うるさかったのか駅のホームで怪訝そうに振り向かれた。栓を強く押し込みすぎて開けられなくなったのもいい思い出である。

 今あまり見かけない板ガム。スウィーティー、マンゴスチン、ブルーベリー、梅、レモン。紅茶のような香りのする、花模様の包み紙のもの(何味だったのか不明)。よく車での移動中、車酔い防止のために噛んでいた。噛んだまま寝て起きたら髪にべったり、も経験した。風船ガムではないのに一生懸命膨らませたり、何かの拍子に飲み込んでしまったりした。包装紙のデザインも好きだった。スマートな中にデザイン性が詰まっていたのが板ガムだと思う。

 母の手作りおやき(一般的なおやきとは異なる)、兄弟の試食係だった頃、駄菓子を買い漁っていた頃。きゅうり丸齧り期にりんご丸齧り期、母の連日ガトーショコラ責めと兄弟のチーズケーキ責め……懐かしいおやつ(?)も思い返すと色々あるものだ。もう買えないもの、味が変わってしまったもの。五感に残る思い出は永遠ではなく薄れて変質するけれど、それを好きだったことは変わらず覚えておきたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?