休みたくても休めないロサンゼルス。
今日みたいな雨の日、油断すると落ち込みそうになる。
普段はわりと「大丈夫」と思っているのに、いそがしさが一瞬和らぐと、なんだ、人と比べそうになっている自分と出会う。
I'm not doing enough. もっとできるはず、と。
時間を無駄にできない、この時間をあれに使おう、これに使おう。今のうちにあの仕事を片付けておこう。いや、でも休まないと。あぁ、時間ばかりが過ぎる。
つくづくリラックスのできない人間である。
去年大ヒットした映画『ラ・ラ・ランド』のオープニング曲を思い出す。曲名は「Another Day of Sun」=「また今日も晴れている」。はじめのピアノの音から明るさを約束してくれる曲である。
映画の舞台となっているロサンゼルスという街は、まぁ、雨が降らない。はっきりとした四季もなく、10月でも気温が30度近辺をうろうろしている。雨は降らず、湿気が全くないことから、年中ロケができるとしてハリウッドという街が誕生したと言われるぐらい、気候がとにかくいいのだ。
私はLAで育ち、その気候の良さをときどき息苦しく感じていた。今日も晴れ、明日も晴れ、明後日も明々後日も晴れ、晴れ、晴れ...いつも「元気いっぱい」の状態なのだ。
日本では今年は異常に少ないように思うが、青空が広がり、雲ひとつない日を迎えると、朝からとにかく動き回りたいと思う。洗濯物を干して、部屋中を掃除して、埃だらけのランニングシューズを引っ張り出してジョギングに出たり、いつもは歩かない距離を歩いてみたり、理由もなく動きたくなるのである。
でも年がら年中「晴れ」のエネルギーが求められているとする。休むことが許されない。それがハリウッドという街であり、LAなのだ。
実際にLAにいると、ちょっと曇りだったり雨が降ると、「はぁぁぁぁああ、休める...」とホッとできたりする。朝が曇っていても、午後にはブルースカイになってしまいますが。(しまいますが、って。)
「Another Day of Sun」というバカのように明るい曲には、実は皮肉がたっぷりと込められていて、「今日も晴れ!当たり前でしょ!オーディションに行きなさい!また落ちた?そんなんで悩んでんの?くだらない。はい、次っ!」と言われ続け毎日走り続ける私たちって一体...と歌っている。
走っても走ってたどり着かない。何を追いかけているのだろう。でもそんなことを考えていたら、置いていかれる。
そういう焦りと皮肉溢れる街、LA。能天気なだけではないのだ。
私の場合、何が息苦しいかわからずに、LAを離れた。大人になってからニューヨークに住み、京都、沖縄、東京に住んでみて「四季」を初めて知った。
季節が変わると、気持ちも、それに合わせて晴れたり曇ったりする。気持ちが落ち込んでいるときは「いいんだよ、落ちれば」と許してもらえる、そんなグレイな日がありがたい。
それにしてもここまで雨が続くと...落ち込みすぎちゃうんですけどね(笑)。
人間よ、勝手だ。本当に勝手です。
台風、気をつけましょうね...。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?