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わたしのたからもの


シングルマザーになって、10年目。
10歳になった娘は、常に手鏡を持ち歩き、
おしゃべりと食べることが大好きな女子に成長し、
ガールズトークにも花が咲くようになった。
親子仲は良い方だと思う。
ずっとふたりでやってきた。
つらいこともたくさんあったし毎日ふたりで泣いた日々もあった。
でも、それでも、なんとかふたりでやってきた。
もちろんたくさんの助けもあった。
保育園の先生、職場の理解、友達の優しさ。
だけどその苦しみを共に過ごした、私と娘にしかわからない、
ある種の絆というか、空気感みたいなものがある。

娘はわりとドライな性格で、
なんでも自分でやりたがるようになるのも早かったし
そのせいか、親離れも早かった。
どんな定義で、親離れというのかはわからないけど、
娘が9歳になってすぐ、すっと離れていったのを
私は肌感で感じたのを覚えてる。
離れたというより、自立したという方が正しいかもしれない。
ママじゃなきゃだめってことがなくなって、
私に気遣いをするようになった。
気遣いというか、寒くない?とか、それやろうか?とか、
少し寝たら?とか、思いやりが出てきたという感じ。
むすめは読書やドラマ鑑賞が好きで、そこから
人の感情を学んでいるように思う。

そんな娘との生活は、宝物だと
本当に思うし、娘が笑ってくれるなら
それ以上の幸せはないと本気で思う。

それでも。
それでも、何度も何度も
数えきれないほど、
命を諦めようと思ったのも
事実としてある。
未だにある。
でも、生きる。

母親というのは
なんて幸せで
なんて苦しいんだろう。

そう思いながらも
娘のために夕飯を考える私は
きっと幸せなんだ。








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