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さぁ、契約書と言われたときに

少し前になりますが、「フリーランスで働く人の法的保護を強化するため、業務発注時に契約書面の作成を義務付ける事業者の対象を拡大する方針を固めた。」というニュースが流れました。

フリーランスの方は、副業でやっている方も含めればそれ相応の数に増えてきたと思いますが、そういった方々の保護のために、契約書作成義務の拡大を・・・というニュースです。

契約書作成義務というと、下請法という法律において、同法が規定する資本金規模と取引内容から、一定の場合には契約書作成義務・下請代金支払遅延の禁止などが定められているので、ここのことが思い浮かびます。

下請法第3条
 親事業者は,下請事業者に対し製造委託等をした場合は,直ちに,公正取引委員会規則で定めるところにより下請事業者の給付の内容,下請代金の額,支払期日及び支払方法その他の事項を記載した書面を下請事業者に交付しなければならない。

ただ、一言に契約書作成と言っても、「何を書けばいいんだ」とか「出されてきた書面の何を見ればいいんだ」という悩みを持つ人が増えてくると思います。

別の記事でも書いたりしたところもありますが、改めて何を書いておくべきなのかということについて触れてみたいと思います。

1 契約書を提示された、さぁ、何を読む?

ポイントとしては、3つです。

① 自分がする仕事が何か(自身の義務)
② それに対する対価は決まっているか(仕事の報酬)
③ 作成した作品について、権利は誰のものになるか(権利帰属)

イラストレーターなど含め、何かを作り出す方は特にこの辺りに気を付けてもらう必要がありますね。

2 ①自分がする仕事が何か(自身の義務)

クリエイターにとって、自分がする仕事が結局何なのか。特にどこまでで完成にするかということを意識していない人はとても多いです。

特に職人気質でこだわりがあればあるほど、細かく修正を入れてあげたりすることもあるし、顧客から修正希望など色々出されるケースもあるわけですね。

そのへんをどこまでやるのか、何をやるのかということは事前にはっきりさせておかないと後々面倒なトラブルになるというのが山ほどあります。

3 それに対する対価は決まっているか(仕事の報酬)

駆け出しのフリーランスなどや弁護士でもよく聞く話ですが「この仕事を受けた後にはまたいい案件紹介するから(今回安くして・タダでやって)」というもの。

絶対ないですよね。そんな話。

フリーランスというと、ふわっとしたアルバイトの雰囲気を感じる人もいるのかもしれませんが(フリーターという言葉の影響?)、個々人の知識・経験をもとに仕事をしていくプロなわけですから、無料でなんていう話はよほどのことでもなければ断るというのがいいのではないかとも思うばかりです。

そういうわけで、仕事の対価はいくらかなのか、いつ支払われるのかということはきちんと決めておかないととりっぱぐれたりするというトラブルに見舞われます。

というかその辺しっかりしていないと顧客になめられかねない。。。

個々人の知識・経験を活かし、信用を得て仕事をしていくフリーランスにとって、顧客になめられるような立場にいるのが果たしていい仕事人なのか・・・そうではないと思うのです。

4 作成した作品について、権利は誰のものになるか(権利帰属)

イラストレーターの方・ミュージシャンなど、何か作品を作る人が契約をするとき、無意識に自分の作品だから自分は自由に使えると思っている方も多くいます。

ただ、権利について、特に著作権ということになると、契約によって顧客に譲渡する形になっていて、自分の手元には残らない(つまり、自分のものでなくなる)ということがありえます。※著作者人格権という権利は残りますが、不行使を約束させられていたりもしますので、この辺も注意。

仕事として作成したものであっても、自分で頭をひねって生み出した作品ですから、納品後どうなっていくか気になるでしょうし、下手な使われ方をしたくないというのが作品に対する親御心のようなものだと思います。

だとしたら、作品の権利帰属がどうなっているのか。

そこは確認をしていても損はないところです。

それこそ、数年たって自身の作品を取りまとめて個展を開いたり、作品集を出すときに、使えないよなんてトラブルにでもなったら身もふたもない話です。

5 よくわからなければ専門家に

よく契約書をチェックしようといっても、それこそ内容がよくわからないということもしばしば。

そうだとしたら、それこそ契約書を読み慣れている人間に聞いてしまうというのが手です。

イラスト製作などでご自身がプロとして顧客から頼られたわけですから、自身が迷ったり悩んだときはプロを使うというのがやはり筋というものだと思います。

弁護士という存在も増えてはきましたが、まだまだ敷居が高い存在と思われているようで、残念なところですが、自分含めいろいろな発信をしている人も増えているところですので、信用できそうだなというところに相談してみるのが一手になるかと思います。

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