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買い物に行けないお客様の「ありがとう」を原動力に 京都のマチを走るローソンアクティブシニアのチャレンジ

ローソンでは、2021年3月から定年年齢を65歳に引き上げ、60歳以上の社員を対象に「アクティブシニア正社員制度」を導入しました。この制度を利用して、自由に買い物に行けない高齢者のために移動販売の仕事をスタートした多川さんにお話をうかがいました。

アクティブシニア/多川たがわ 隆信たかのぶ
ローソン ラストワンマイル推進部
1962年、滋賀県生まれ。大学卒業後京都のスーパーで8年間勤務した後、1990年ローソン入社。以降、店長、SV、支店補佐、MC、営業本部営業管理部などを経て、2023年3月にアクティブシニアとしてラストワンマイル推進部に着任。4月から移動販売車で京都市内の高齢者施設を訪問し、食品や日用品などの販売に尽力している。

全国各地で支援活動に尽力

──アクティブシニアとして移動販売の仕事を始めたのが今年の4月からだそうですね。それまではどのような仕事をしていたのですか?

入社以来、主に営業に関わる業務を経験してきました。移動販売を始める前は、営業本部営業管理部で3年ほど離島対応や各エリアの店舗の看板替え・棚替えのお手伝いや自然災害発生時の復旧・営業支援などをしていました。大規模な変更やトラブルが起こった時に、全国の店舗やSV、支店にスタッフを率いて駆けつけてリーダーとして支援する仕事です。

──印象に残っている仕事を教えてください。

2018年の福井豪雪や同年の北海道胆振東部地震の停電、昨年の静岡の台風による水害などの店舗支援ですね。特に福井豪雪の時は過酷でした。ものすごい積雪で商品を積んだ車が駐車場に入れなかったので、店の前に停めて私たちが人力で店内まで何度も往復して運んだんです。しかも深夜だったので、かなり寒かったのを覚えています。

仕事としてただ粛々と

──すごく過酷なお仕事だったのですね。当時の上司の方からも、支援の依頼が入ったらいつでもどこへでも駆けつけて、休日返上で最後までやりきる真面目で仕事熱心だったとうかがいました。困っている人の力になりたいという気持ちが強いのでしょうか?

いえいえ、そんな立派な人間じゃないです(笑)。当時所属していた部署の仕事が看板変えや自然災害などで人手が足りない店舗に行ってサポートすることだったというだけです。そういう時、店舗の人は営業に集中してほしいじゃないですか。そのためにそれ以外の仕事の支援をするのが我々の使命でした。誰かがやらなければならなかったので、そうするのが当然だったというだけです。

──とはいえ過酷な仕事ですよね。昔からストレスや困難に強いタイプなんですか?

特段そういうことはないですが、ただ仕事だからどんなにきつくても、どんな困難でも乗り越えてやり抜かなければならないと普通に思うだけです。

──では過酷な現場でもつらいとか嫌だなとは思うことはなかったのですか?

そうですね。それは上長からあれこれ細かく指示されることなく、ある程度の裁量を与えてくれて、現場で割と自由に活動できたことも大きな理由の一つだと思います。

──その仕事のやりがいや喜びは?

最大のやりがいは、支援に行ったFC店のオーナーや店長が遠いところから来て支援してくれてありがとうとかおかげさまで助かったと言ってくれることですね。これは仕事のモチベーションにもなりました。

同時に、私たちが支援に行くことで、店のオーナーや店長が、困っている時はローソンが会社として支援してくれると認識することは、会社全体としてプラスになっていると感じていました。

上司の勧めでアクティブシニアに

──その後、現在の移動販売の仕事をするようになったのはなぜですか?

2022年に60歳になったのですが、ローソンでは60歳以降でも希望者はアクティブシニアとして65歳まで働けるんですよ。でもこの歳でまた振り出しに戻って一般職として店舗の仕事をする気はなかったので、退職して何かアルバイトでもして生活しようかなと考えていたんです。上司との今後についての面談の際にそう伝えると、「こんな仕事があるんだけどどう? 多川さんに向いてると思うんだけど」と勧められたのがラストワンマイル推進部での移動販売の仕事だったというわけです。

具体的には、現在関東エリアや北海道で展開している移動販売車の新規エリア拡大として、京都でも展開したいということでした。

──その上司も、「ラストワンマイル推進部の部長に誰か適任者がいないかなと相談された時に、一番最初に頭に浮かんだのが多川さんだった。これまでの仕事ぶりや人柄から多川さんが適任だと思ったので推薦したところ、ぜひほしいという答えだった」と言っていました。

そうなんですよ。ラストワンマイル推進部の部長は東北で働いていた時の上司で、彼からも直接お声掛けいただいたんです。

──移動販売の仕事を勧められた時、どう思いましたか?

まずおもしろいなと思いました。移動販売は、車に商品を積んで運転して高齢者施設に行って販売するまで、すべて自分一人でやる仕事です。自由度が高く、自分の裁量で売り上げも伸ばせるからおもしろいと思いました。

また、正式に始める前に研修として2度ほど他県の高齢者施設で移動販売の仕事を体験したのですが、入居者の皆さんがとても喜んでいたのが印象的でした。それで勧めてくれた上司の言う通り、私に向いていると思ったので、その提案を受けることにしたんです。2023年3月からアクティブシニアとしてラストワンマイル推進部で勤務しています。

商売の基本に立ち返る

──実際に移動販売の仕事をスタートしたのはいつで、どんなスケジュールで動いているのですか?

今年の4月21日からスタートし、火曜日、水曜日、木曜日、金曜日の週4日、1日2~3施設訪問して1時間販売しています。

──具体的な1日のスケジュールは?

以下の通りです。
8:00~8:30 自宅から母店に行き、移動販売車に商品を積み込み運転して1施設目に向かう。
9:00~10:00  1施設目で1時間販売。
13:00~14:00 2施設目で1時間販売。
15:00~16:00 3施設目で1時間販売。
16:30~17:30 母店に帰り、商品を降ろし、売上金を精算、入金して終了。

──実際に移動販売の仕事をやってみていかがですか?

販売の仕事自体、かなり久しぶりなのですが、商売の基本にもう一度立ち返ることができるので純粋に楽しいですね。また、この仕事は、訪問先の施設で商品を購入してくださるお客様と密に接することができます。通常の店舗よりお客様との距離が近く、会話も多いので、改めて自分に合っていると感じています。

また、基本ワンオペで、かごをもつ人でレジ前に行列ができることも多く、一人ではさばくのがなかなか大変な時もありますが、忙しくなると楽しくなってくるんです(笑)。また、訪問先の施設の職員さんが何かとサポートしてくれるので助かっています。

移動販売車で、みんなと暮らすマチを幸せに

──移動販売車の事業はまさに「私たちは“みんなと暮らすマチ”を幸せにします。」の理念を体現する事業の一つですよね。どんな思いで仕事に取り組んでいますか?

我々のお客様は、自由に買い物に行けないいわゆる買い物弱者と呼ばれている高齢者の方々です。そういう方々の暮らしを支えるお手伝いも大手コンビニであるローソンの使命なので、しっかり頑張りたいという思いで日々取り組んでいます。

それと、ローソンとしては、この移動販売の事業の最終目標はFCオーナーに暖簾分けして、新たなエリアを開拓するところまでに設定しています。ですから我々はそのための第一歩として、全力を尽くして自分のエリアの売り上げを築いていきたい。これが今一番思っていることです。

──仕事をする上でどんなところを心掛けていますか?

お客様とは、買い物とは関係ない世間話含め、積極的にお話するようにしています。それによって信頼関係が生まれ、気持ちよく買い物してくれるお客様が増えると私としてもうれしいですからね。

お客様からの感謝の言葉が原動力

──移動販売の仕事のやりがいや喜びはどんなところに感じますか?

どの施設でも多くの入居者様がローソンの移動販売車が来るのを楽しみに待ってくださったり、販売開始するとたくさん買ってくださることですね。特に、「買い物するのは久しぶりだから楽しい」とか「なかなか自力で買い物に行けないから来てくれて助かる。ありがとう」と笑顔で言ってくださると、こちらとしてもうれしくなります。

時には買い物とは関係ないこともお話するのも楽しいです。撤収する際には「次はいつ来るの?」と聞かれることもよくあるんですよ。私が来るのを楽しみにしてくれているんだなと思うとうれしいし、頑張らなきゃなと思います。

──毎日お客様から直接ありがとうと感謝の言葉をいただける仕事ってなかなかないですよね。

まさにそうなんですよ。自力での買い物が困難な方々のお役に立っているという実感がより得られることも移動販売の仕事のやりがいであり、同時に仕事の原動力にもなっています。

商品の積み下ろしや運転など、大変なこともありますが、それを上回るやりがいや喜びがあるので、60歳になった分岐点でこの仕事を選んでよかったと改めて感じています。

──印象に残っているエピソードがあれば教えてください。

ある日施設を訪問した時、一人のお客様から移動販売車に積んでいない商品がほしいというリクエストをいただきました。次に訪問した時、その商品を持って行くと、自力では買い物に行けないから助かったと大変喜ばれました。その姿が印象に残っています。

このように「困っている人のリクエストに可能な限り応える」を積み重ねることが、「私たちは“みんなと暮らすマチ”を幸せにします。」というローソンの理念の実現に繋がると信じています。

──今後の目標を教えてください。

今後ますます高齢者は増えるので、施設も増え、移動販売の需要も増えていくでしょう。それだけ可能性がある事業ですが、競合他社もまた増えるのは確実です。そんな中、売り上げをもっと伸ばし、任せられた京都エリアのシェアをしっかり取れるように頑張りたいです。

人の繋がりの大切さを改めて実感

──これまで30年以上のローソンでの勤務経験を振り返って感じることはどのようなことですか?

人との繋がりが本当に大切だということです。ローソンは大きな会社なので、同じ社内でもいろんな人と会う機会が多いです。

一度赴任した東北の地に再び戻った時や今回のアクティブシニアという人生の分岐点など、社会人として何かの区切りがあるタイミングで何度か当時の上長や、以前の上長が声を掛けてくださいました。このようなことは普通の会社ならなかなか経験できないし、本当にありがたいと思います。また、声を掛けてくださった方の思いに報いるためにも、仕事で成果をあげなければならないという思いは強いです。

仕事は一人でするものではなく、様々な業種の皆さんと協力して成し遂げるもの。ローソンは困ったときに手を差し伸べてくださる同僚や、先輩、上長の方もいらっしゃる組織だからこそ長い間働けたのだと思います。

それに同じローソンの社員だけではなく、店舗のオーナーや店長など社外のいろいろな人たちと繋がりを持てるのもローソンならでは。その思い出もたくさんあります。そのことに日々感謝し、今後も可能な限りローソンで働きたいですね。

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