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みんなが暮らしやすい街を創りたい。障がい者サポートに尽力する社員のチャレンジ

SDGs推進室で主に障がい者サポートの仕事に従事している合田さん。企画から関わった、聴覚障がいがある方の買い物をサポートするツール「指差しシート」がグッドデザイン賞を受賞しました。現在取り組んでいるチャレンジについて語っていただきました。

SDGs推進室 アシスタントマネジャー/ 合田ごうだ 早紀さき
神奈川県生まれ。2004年ローソン入社。店社員・店長・SV(スーパーバイザー)を経て、2010年、プロモーション部で商品企画・販促などを担当。2019年9月にSDGs推進室に着任。主に障がい者へのサポートを推進する業務に尽力している。2023年9月にユニバーサルマナー検定1級取得。グループブランディングプロジェクトを兼任しボランティアチームを担当。プライベートで大学院に通い、サステナビリティ経営に関することを勉強している。趣味は旅行。これまで訪れた国は25カ国以上。

ある社員のひと言から始まった指差しシート

──現在のSDGs推進室ではどのようなお仕事を担当されているのでしょうか?

主に社会貢献を担当しており、特に直近の約1年は、障がい者へのサポートを中心に取り組んできました。具体的なサポートの内容としては大きく2つあります。1つは障がい者が安心してお買物をできる仕組みづくり、2つ目は障がいのある方の活躍の場をつくることです。

──それぞれ具体的な内容について教えてください。

まず1つ目の方は「耳マーク」つきの「指差しシート」の作成です。

https://www.lawson.co.jp/company/news/detail/1457442_2504.html

聴覚障がいがある方のお買い物をサポートする目的で作りました。レジ袋や割りばし・フォークなどのカトラリー、レンジでの温めの必要の有無が文字とイラストで書かれているので、指差しで店員とコミュニケーションをとることができます。

──この指差しシートを作ったきっかけは?

そもそものきっかけは、ローソンの東北地区に勤務している聴覚障がいがある社員の佐々木 啓子さんが、「コロナ禍で店員がマスクをするようになったので、これまでのように唇の動きを読んで言っていることを理解することが難しくなり、買い物する時に困っている」と上司に話したことです。その声が本社のSDGs推進室に届き、2022年4月頃、その課題を解決するためのプロジェクトが立ち上がりました。

──それからどのように進めていったのですか?

まずはWeb会議を開いて、佐々木さんから具体的にどんな時に困るかをヒアリングし、。その話を元に課題を解決するためにはどういうものを作ればいいかを話し合いました。そして、社長や各部門長全員が参加する会議にて、私の上司が「まずはこれを何店舗かに置いて実験したい」と提案したところ、社長が「それはすぐに全店でやろう」と言ってくださいました。

ちょうどその翌日、佐々木さんが勤務している仙台のオフィスで打ち合わせの予定があり、佐々木さんにそのことを伝えました。その段階では指差しシートをどこに貼るのが良いのか決まっておらず悩んでいたのですが、佐々木さんに会う10分前くらいに、レジカウンターの右端に縦長いものであればスペースがあるし指差しシートを貼ることができるのでは?と、ひらめきました。そのイメージを急いでノートに書き起こして、指差しシートの案を佐々木さんに見せたら「これなら使いやすくていいですね」と賛同いただけました。

あと、一部の加盟店のオーナーさんやクルーさん(アルバイトの方)にも意見を聴き、こういうものをお店のレジの横に貼りたいと相談し、賛同を得ました。それで安心して店舗へ掲出するための指差しシートを制作することができました。2022年8月30日から全国のローソン約1万4000店のレジ横に設置しています。

涙ながらに感謝する人も

──その結果、利用者からの反応は?

お客様からの感想も数多く届いています。その中で印象的なのは、聴覚障がいがあるお子さんがいるお母様からのメッセージです。内容は「娘と同じ聴覚障がいがある方が会社で活躍しているということにとても勇気づけられました。そして、娘が買い物しやすい便利なツールをつくってくれてありがとうございました。」というものでした。

また、まだお会いしたことの無い聴覚障がいがある他の社員からも指差しシートの取り組みが始まったことを確認し、うれしくて家族で涙を流したというお礼の連絡をいただきました。その他にもSNSなどで想像を超える大きな反響があったので、社会の皆さんの役に立ててよかったと思いました。

──まさにそのために指差しシートを作ったわけですからうれしいですよね。ほかに指差しシートを作ってよかったと思う点はありますか?

それまで自分が障がい者になった時のことは考える機会は少なかったのですが、SDGs推進室に着任してから、障がいがある方と話す機会が増えてきたことで、「障がいがあることは特別なことでなく、自分自身も耳が聴こえにくくなったり、目が見えづらくなるかもしれない」とか「通勤時にこの段差で困っている人がいるんじゃないかな」とか「今この音が聞こえなかったらどうなるんだろう」などと自分自身で考えることも増えて想像する力がついたことが大きいです。その結果、みんなが楽しく安心して暮らせる世の中になるようにしたい、という想いが強くなりました。

また、同じ部署の先輩から「この仕事は会社のためだけじゃなくて、社会のために役立っているね」と言われたことがとてもうれしかったです。

それに、商品やサービスって、リリースされた瞬間は話題になりやすいですが、しばらく経てば忘れられることもあると思います。でもこの指差しシートは1年経った今でも反響があります。なので、この指差しシートがこれまでで一番印象に残っているチャレンジです。

グッドデザイン賞を受賞

──その後の展開は?

複数の自治体から「市民からローソンにある指差しシートを商店街のいろんな店に置いてほしいという要望が多数来ている」という連絡をいただきました。ならば誰でも使えるように、指差しシートのデータを無償公開したいと思い、社内で提案しました。ただ、ひとつ不安だったのが、指差しシートについている耳マークは、一般社団法人全日本難聴者・中途失聴者団体連合会が管理されているため、当社のページに掲載することは難しいのではないかと考えていました。しかし、当社団法人に経緯を説明したところ、すぐに快諾していただいたので、2022年11月にこの耳マークつきの指差しシートの画像データをホームページで公開しました。耳マークや指差しシートが、ローソンだけではなく、ほかのお店などに広がっているのでとてもうれしいですね。

さらに、この指差しシートが、つい先日(2023年10月)にグッドデザイン賞を受賞しました。私たちのチャレンジが第三者、しかも権威ある賞を受賞できたのはすごくうれしいです。

──今後の展開は?

今年の3月からは、誰でも安心して楽しく買い物することができる社会の実現を目指して、「コミュニケーションボード」を制作。ホームページに公開しています。指差しシートの発展版で、項目は聴覚障がいがある社員や一般社団法人全日本難聴者・中途失聴者団体連合会の意見を参考に選定。さらに細かい要望を店員に伝えられます。こちらも指差しシート同様、多くの方々から大変好評をいただいています。

https://www.lawson.co.jp/company/activity/topics/pdf/communication.pdf

障がいのあるアーティストが描くアートトイレ

──ではもう1つのチャレンジの柱である「障がいがある方の活躍の場づくり」について教えてください。

福祉施設と連携して、障がいがあるアーティストが描いたステキな絵を、コーヒーカップやからあげクンなどの商品パッケージやSDGsハンドブック冊子などに活用しています。

また、2022年11月より東京都と神奈川県の3店舗で佐賀の福祉施設「PICFA」に所属する障がいがあるアーティストが描いたアートトイレの展開を行いました。

──アートトイレはテレビや新聞などのいろいろなメディアに取り上げられて話題になりましたが、そもそもアートトイレを作ろうと思った意図と経緯を教えてください。

そもそもローソンは1997年に「トイレ開放宣言」を発表し、全国の加盟店にお客様に対するトイレの開放を推奨しています。そこで、「世界トイレデー」と「いいトイレの日」が毎年11月にあるので、普段よりトイレをきれいに管理運営してくださっているお店の皆さんや、トイレを普段からきれいに使ってくれているお客様に向けて感謝の気持ちを伝えようということで、11月をトイレ美観月間と定めています。その中の1つの取り組みとして、お客様にトイレについて考えるきっかけにしてもらいたいと企画したのがアートトイレです。

多くのメリット

──アートトイレの反響や効果は?

佐賀県の「PICFA」に所属する障がいがあるアーティストさんが、デザインを担当したお店のアートトイレを見にわざわざ東京までお越しになりました。本人はもちろんですが、特に親御さんが喜んでくださったと伺いました。障がいがある方の活躍の場を創れたことを実感しうれしく思いました。

また、店側からは、トイレが詰まることが多く、メンテナンスをしなければならなかったけれども、アートトイレにしてからは、詰まる回数がかなり少なくなり掃除をしやすくなったという声を直接聞きました。総じてどの店もトイレをきれいに使用してくださるお客様が増えて、利用マナーの向上が見られたようです。それと、「トイレ借ります」と声をかけてくれるお客様が増えたこと、アートトイレの感想を直接伝えてくださるお客様や、遠方からアートトイレを見に来てくださるお客様もいらっしゃるようです。

アートトイレの導入でお客様に喜んでいただけて、店内コミュニケーションの活性化や店舗スタッフのモチベーションアップにも繋がっています。これは予期していなかったうれしい誤算です。

それもあって、当初、アートトイレは2023年2月末までだったのですが、店側の要望で2023年10月末までに延長されました。

みんなのために過ごしやすい世の中に

──どんな思いで今の仕事を行っていますか?

障がいがある方をサポートしたいという思いがあります。日々の仕事や勉強を通して、みんなのために過ごしやすい世の中にしていけたらいいなという思いで取り組んでいます。

──合田さんのその思いはローソングループの「私たちは“みんなと暮らすマチ”を幸せにします」という理念に合致すると思います。

そうですね。そもそもSDGsの理念が「誰一人取り残さない」なので、その意味でも今の私の仕事はローソングループの理念の体現に直接的に繋がっていると思います。

──仕事のやりがいや喜びはどんな時に感じますか?

自分が取り組んだことが形になって、全国のお店で展開されていることが確認できることです。そして、特に今の部署は、自分の仕事が誰かの、社会の役に立っていると実感できることが大きなやりがいです。だからSDGs推進室でお仕事ができてよかったと思っています。

──仕事をする上で大切にしていることは?

あきらめないということでしょうか。例えば誰かと意見がぶつかった時も相手の意見は聴きつつ、とことん話し合って折衷案を探るとか、壁にぶつかった時でも解決策を模索して乗り越えたいと考えています。

──合田さんにとって仕事は何のためにするものですか?

人生を豊かに楽しくするためだと考えています。仕事が楽しければ人生も楽しくなると思うので。仕事だけでなくプライベートも充実させたいので、うまくバランスを取りたいです。

ワクワクを大切に

──ローソンで働いてみていいなと思う点を教えてください。

チャレンジを推奨するというか、何かにチャレンジしたいと思った時、背中を押してもらえるところですね。私自身、チャレンジするのが好きなのでこの社風が好きです。

それと、周りにロールモデルとなる、活躍している女性がたくさんいるので、女性も働きやすい会社だと感じます。

なお、長年、ローソンは緑化活動や清掃活動を取り組んできました。
数年前からはグループでのボランティア活動の推進をさらに強化しています。2022年10月には新たに横浜マラソンの給水ボランティアをグループとして取り組み、100名近いグループのメンバーがランナーを給水という形で応援しました。人の役に立つことやみんなで取り組むことにやりがいを感じたメンバーというが多く、今年もみんなで給水ボランティアにチャレンジします。その日が楽しみですし、そういった雰囲気もローソンのよいところです。

──今後の目標があれば教えてください。

目標は探しているところですが、このもたくさん学びながら人の役に立てる仕事がしたいと思っています。

#わたしとチャレンジ  番外編 

「指差しシート」の取り組みを行うきっかけとなった佐々木さんにお話しを伺いました!

佐々木 啓子(株式会社ローソン 東北管理センター) 
主にローソン加盟店の会計処理などを担当。東北地区の管理センター所属。
2009年にローソンへ入社。前職は写真フイルム業界勤務。

――指差しシートは佐々木さんご自身の(難聴で困っていた)経験を受け、
実現したと伺いました。取り組みを振り返って、どのように思いますか?

あの時、上司に自分自身がコンビニエンスストアでの買い物の際に困っていることを伝えることができ、そして解決する方法として「指差しシート」が形になってよかった!という気持ちが大きいです。
コロナ下で広がったマスクで、店員さんの口の動きで会話を読み取れなくなり、コミュニケーションが難しくなったことで悲しい気持ちになっていました。この想いをどうしたらいいのだろう?ともがいていたところ、
「何でも話は聞くよ!」と言ってくれた上司の存在がすごく大きかったなと思っています。
私の諦めきれない想いが通じたことで、SDGs推進室の合田さんなど各関連部署と意見交換をする機会もでき、この機会に本社などの関連部署と関われたことで私自身も勉強になることが多々あり、とても良い経験になっています。

――指差しシートは今では広く知られるようになりましたね。

はい、コロナ禍を経験しなかったら「指差しシート」というモノが世の中に広がってなかったかもしれないと思っています。
現在ではローソンだけでなく、様々な場所で指差しシートが活用されていて、認知度も上がったと実感しており、とても心強く思います。

この指差しシートはみんなで考えたこだわりのデザインなんです。SDGs推進室の合田さんがグッドデザイン賞に応募していて、一次審査を通過したという連絡を初めてもらった時に、すごくビックリしたのを覚えています。
その後二次審査も無事通過し、審査員の方から「これからの時代を見据えた新しいコミュニケーションツールが必要になってくる昨今の好例だろう」というコメントをいただき、グッとくる想いと重みを感じました。
やるべきことを続けていく「継続」だけでなく、使う楽しみ方などを検討し「変化に対応」していく力が必要だなぁとひしひしと感じています。

――指差しシートへの取り組みを通じて、ご自身の気持ちや行動などに変化はありましたか?

耳が聞こえにくいことを相手に伝えることについて、自信を持てるようになれたかな・・・
相手の反応をみて、こうしたらもっと伝わりやすいかな、と自分自身の伝え方について考える機会も増えました。
私がよく利用するコーヒーチェーン店の店員さんは、こちらから何も言わなくても当然のことのようにジェスチャーを使ってカップを提示してたり、
メニュー一覧を指差して対応してくれるので、そうした伝え方も勉強になりますね。

――お休みの日は何をされていますか?

四季の変化を感じながら、写真を撮るのが趣味でよくいろいろなところに出かけています。お気に入りは田んぼの四季折々の風景を感じながら散歩することです。
年に2~3回行く登山も趣味の一つです。

――佐々木さんの最近のチャレンジを教えてください。

手話の勉強です。なかなか身につかないですが(笑)
月1~2回ほど、手話でコミュニケーションしている知り合いに教えてもらっています。
私自身と異なる障がいのある方とコミュニケーションができる場を創ってみたいです。
実家が農家のため、農業に関わることもしてみたいです。…今、流行りの米粉の活用についても気になっています。

――佐々木さん、ありがとうございました!

≪編集後記≫
佐々木さんにとって「勇気を出して意見を伝えること」がチャレンジの一つであることを感じました。さらに「自分がこう伝えれば、もっと伝わりやすいかも」と日常的に考え、周りから学ぶ姿勢は重要ですよね。
ローソンでは、ユニバーサルマナー検定(障がい者へのサポートなどを学べる検定)の受講を推奨しており、2023年12月~2024年1月に各地のさまざまな役職のメンバー200名以上が検定にチャレンジをしました。
思いやりが広がることで、「障がい」が「障がい」でなくなる日が来ることを祈るとともに、ローソングループみんなで一丸となり「みんなと暮らすマチ」を幸せにできるよう、引き続きチャレンジしていきたいと思います!

みんなにも読んでほしいですか?

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