オーダーしたのと違う髪型にされた！慰謝料って請求できる？

コロナの影響で観光業や飲食業等々軒並み厳しい状況ですが、一方で美容整形手術数は増加したとか。人に会う機会が減ったことを逆手にとる発想！ともあれ、人の美への探究心はつきないものです。
法律的にも美容関係の争いは少なくありません。今回は美容系の法律問題を調べてみました。

参考：◆「美容整形手術、新型ウイルス流行で増加　日米や韓国」（BBCニュース）
https://www.bbc.com/japanese/53359206

オーダーしたのと違う髪型にされた！慰謝料請求できる？

美容室で施術後「なんか違うな…」って思ったことありませんか？このような場合、慰謝料請求をすることができるのでしょうか？

美容師とお客さんの間には、髪を切ったり染めたりする等のサービスを提供するという内容の契約を結んでいると考えられています。美容師はこの契約に基づきある程度自分の裁量で施術をすることができるとされていますが、お客さんの指示にも従わないといけないとされています。

実際の裁判例をみてみましょう。

雑誌の写真を示してカットとカラーリングを依頼した女性が、希望したヘアスタイルにしてもらえなかったとして損害賠償の請求をした事件です。
しかも彼女は新宿・歌舞伎町のキャバクラ嬢。髪の美しさが商売と直結すると言っても過言ではない職業。髪を切られすぎた為に巻き髪にできず、接客に自信が持てず、売り上げも減少したと主張しました。

判決では、美容師がお客さんの希望について十分な確認を得ておらず注意義務違反があったと指摘。
カットによって明確に収入が減ったとは言えないものの、「容姿の美しさが重視される職業で、髪形は大きく影響する。女性は接客にも自信が持てなくなった」として、３０万円の慰謝料を認定しました。

この判決からすると、容姿の美しさが重視されない職業では、髪型が希望通りにならなかったことを理由とする慰謝料請求は難しいのかもしれないですね。
参考：◆「平１６（ワ）１４６４３号」（westlaw）
https://go.westlawjapan.com/wljp/app/doc?fromtrail=true&docguid=Ib439ba20201f11dd8d48010000000000

ネットで購入した化粧品、返品できる？

化粧品の通信販売については、特定商取引に関する法律（特定商取引法）により様々な制限が定められています。
そしてこの法律には、返品に関する事項について広告で表示することを義務づけています（同法１１条１項４号）。ということで、まずは購入した商品のホームページを確認してみましょう。

この表示がない場合には、商品を受け取ってから8日間、契約の解除ができるとされています（同法１５条の２）。なお、これはクーリング・オフとは異なります。

参考：◆「通信販売」（特定商取引法ガイド）
https://www.no-trouble.caa.go.jp/what/mailorder/
参考：◆「通信販売における返品特約の表示についてのガイドライン」（消費者庁）
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_transaction/amendment/2012/pdf/130220legal_6.pdf

エステの解約はできるのか？

期間が1ヶ月を超え、金額が5万を超えるエステティックは特定継続的役務にあたり、特定商取引法の規制を受けることになります。

この場合、法律で決められた書面を受け取った日から数えて８日間以内であれば、消費者は事業者に対して、書面により契約（関連商品の販売契約を含む）の解除（クーリング・オフ）をすることができます（同法48条）。
クーリング・オフがされた場合には、既にサービスが提供されていた場合であっても対価、違約金、損害賠償金を支払う必要はありません。
なお、クーリング・オフを行う際には、後々のトラブルをさけるためにも特定記録郵便、書留、内容証明郵便などで行うことが薦められます。

クーリング・オフができる期間を過ぎてからの契約の解約は、中途解約となります（同法49条）。この場合には事業者への支払いが必要となりますが、その上限が定められています。

具体的には、サービス提供前であれば2万円。サービス提供後であれば、２万円または契約残額の10％に相当する額のいずれか低い額です。

美容医療やホワイトニングも期間が1ヶ月を超え、金額が5万を超える場合には、特定継続的役務にあたりえます。参考にしてみて下さい。
参考：◆「特定継続的役務提供」（特定商取引法ガイド）
https://www.no-trouble.caa.go.jp/what/continuousservices/