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クラブ活動について〜肩を張らずにフランス173

 日本で中学生以上になるとついてくるクラブ活動。

 フランスには全くと言っていいほど、ない。

 ないからいいとかあるからいいとか言うつもりはない。

 学内でクラブ活動が盛んな日本と、学校外に切り離すフランス。この点では見事に両極端。フランスで学科以外のことをやりたい(やらせたい)ならスポーツクラブなり音楽学校なりに登録することになる。もちろん費用はかかる。なんならいくつか同時にやる子供もいる。むしろそれが一般。例えば、柔道とヴァイオリン、バスケットと絵画など。

 費用がかかると言ったが、その町に住んでいれば「住民料金」が適用されるので、両親の財布にそれほど負担にならない。

 それにこれらの課外活動を真剣にやってプロになろうという子供はごく少数だ。

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 つい先日、日本の友人との話の流れでスポーツと音楽の話題が上がった。特に中学、高校、大学でのクラブ活動の。

 その友人のあげた例がなかなか面白かったのでこの記事を書く気になった。

 自分も高校時代には合唱部だったのでなんとなくわかる。

 この友人の甥っ子は吹奏楽部で大学でもやっているらしい。全国コンクールで金賞まで取るほどのレベル。かなり熱を入れてやっている。

 自分の大学時代の友人でも大学に入ってからチェロを始めてオーケストラ部に在籍しているのがいた。結局コンサートとかで弾いたのかどうかは知らない。唯一知っているのは、入部以来個人教授で教わりに行っていたと言うことだ。サークル活動だから部内で誰かから教わるのかと思っていたのだが、見事に想像を裏切られた。現実はそう甘いものではなかっと言うことか?

 高校にもオーケストラ部があった。珍しいと思う。自分は合唱部だったので横目でよく見ていた。こちらは先輩などから指導されて、発声とか教えてもらったものだった。オーケストラ部ではどうだったのか?ヴァイオリンとかファゴットとか、専門の先生に学外で教わらないと素人にできる代物じゃあない。きっと昔からやっていたか部に入るために習い始めたのだろうと思う。

 自分も小さい頃にはピアノを習っていた。中学に上がると塾にも行くようになったのでピアノはやめてしまった。所詮「習い事」でしかなかった。

 高校に行きながら学外で楽器を習うのにはかなり努力がいると思う。授業以外の毎日の練習がないと上達しないから。余程学業に余裕があるか、学業はどうでもいいかになると思う。費用もかかるし、なかなかハードモードな学生生活だろう。

 マンガなんかを見ていてもスポ根物とかプロ並みの練習シーンが出てくる。現実の学校でも学業以外で有名なところがたくさんある。高校野球なんかは顕著な例。

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 それでいいって言えばそれでいいけれど、そこまでやるか?とどうしても思ってしまう。

 日本が独特なのかフランスが特異なのか知らない。ただヨーロッパの他の国もフランスと似たようなものだと思う。課外活動で高校なりの名前が上がることはまずない。

 「向上心」以外の何がそこまで突き動かすのか?それとも何事にも「向上心」が必要なのか?学校当局が躍起になって推すほどのものなのか?間違いなく校内で「楽しむ」限度をはるかに超えている。

 さっきの友人の話でも「音楽をやると楽器とか金がかかるよねぇ」とか言っていた。

 うちの音楽学校に限って言えば、授業費は大した額じゃない。楽器も月極で借りればいい。買ってもあとで売ることができる。「楽しむ」以上にやりたければいくらでもできるし、嫌ならそこそこついて行くだけでもいい。入った以上上を目指さないといけないと言う空気はない…

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 やっぱり日本の方が特殊に見える。

 校内のクラブ活動に根性とか熱血とかいう言葉を結びつけ、美徳と捉えるのは日本人特有のものだと思う。

 後になって、身についたものが趣味として残るのはそれでいいことだ。それにしても クラブ活動の割には« disproportionné »不釣り合いだなぁと思ってしまうのは自分が日本人でなくなってしまったからなんだろうか?

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