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歴史は…〜肩を張らずにフランス116

触れたくない主題だがフランスの現状という点で避けては通れないのでほんの少しだけ考えてみたい。30年以上フランスにいて自分なりにフランス人になった自覚がある。自国愛と言っても過言ではない。フランスの現状を悲嘆できるくらいに日本人離れしてしまった。

10日程前に始まった中東での戦争の影響がはっきりとフランスに現れている。影響というには生々しい。飛び火というには奥深い。腹に潜んでいた病巣のようなものがこれがきっかけで表面化したと言ってもいい。

ことの起こりについては現代史としてどこからでも入手できるので参照されたい。間違ったことは言いたくないので。ここで言うのは90年代に前知識なしにフランスに渡り、子供が物事を覚えるごとく見聞きし感じてきたことからくる、傍観者の証言みたいなものだ。

フランスの国土が戦場になるとは思わないし思いたくない。今度の奇襲にしても「戦争」と呼ぶにはあまりにテロリズムの様相が強い。明け方に村を襲い、寝ている市民を攻撃することのどこに「戦争」の性格を見出せるか?大体「戦争」にはルールがある。変な話だが国際法というのは戦争にルールが必要ということで17世紀に設けられたらしい。

「戦争とは軍事力を用いて様々な政治目的を達成しようとする行為(行為説)、または用いた結果生じる国家間の対立状態である(状態説)。 一般に、国家もしくはそれに準ずる集団が、自衛や利益の確保を目的に武力を行使し、戦闘を起こす事。」

というわけで国家間の対立。テロは別物。

フランス国内に話を戻すと、戦争にならないからといってテロにもならないわけではない。それが今、現実に起こっていること。2015年にあったシャルリー・エブド襲撃とバタクラン劇場の襲撃は武装部隊が襲ったが、数日前と3年前の高校教師殺害事件は個人レベルでの襲撃だった。

« fichies S » ブラックリストに載っているにも関わらず市民に紛れて「普通に」生活している潜在凶悪犯。誰にも知られずに凶悪化し、ある日突然誰かを襲う。2010年あたりまでは聞くことが珍しかった(と思う)。普段の生活をしていて目の前に包丁を持った気狂いが殺す気で襲ってくる。相手は殺す気満々だから防ぎようがない。何が起こったがわからぬまま死ぬことになる。

ファナティック「狂信者」はどこにでも潜んでいる。人間不信という一般的な感情では言い切れないない不信感。ある特定の人間にこういった不信感を持つのは罪だろうか?「恐ろしい」という感情を日頃から持って生活するのは苦しい。自分に起こらない確証はどこにもない。かと言って口にすると間違いなく咎められる。

ここで生きる限り常にこの気味悪さを腹に抱え続けないといけない。




あ~あ、田舎に住んでてよかったぁ~

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