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Cuisineと食生活(その2)〜肩を張らずにフランス28

もっぱら自分で料理をするのだが「何作るの?」という質問が聞こえてくる(気がする)。何でもあり。フランス(家庭)料理、スペインイタリア料理、中華料理、日本料理、インド料理、、、「あっこれやれそう」と思ったらすぐやっている。強いて得意と言えば中華。調味料なども中華の惣菜屋で大方見つかるし、キッチンリフォーム時に中華鍋用コンロのあるものもつけた。ちなみにこの中華惣菜屋、小さい割に結構日本の調味料も見つかる。醤油、酢、七味、ワサビからカレールー、イタリア産だけど白米まで手に入る。無いものねだりさえしなければ殆ど揃ってしまう。時代はグローバル。フランスに来た当時は何一つ手に入らなかった。醤油さえなかった。あの頃を懐かしく思うことはあっても食材に関しては今の時代に感謝している。

元々自分の記憶にある味を再現したいというのが動機の一つだったので、出来合いのものに頼る習慣を持たなかった。レシピを見てもあれがないこれがないでいちいちつまずく。ないのだから仕方がない。あるもので工夫するしかない。ドレッシングやタレの関係は全くそれ。今でこそ醤油も出汁も普通に手に入るのでそれっぽいものができるけれど、昔はやっとこさ見つけた醤油の小瓶を見つけて飛び上がって喜んだものだ。

今ではこの時代に鍛えられた根性と幾らかのスキルでなんでもやれる?と思える様になった。コロナで外出できなかった間はイースト菌まで自分で作ってパン焼きに悪戦苦闘していた。マヨネーズなんか自分で作る様になって30年。マスタードが店から消えていった時は焦った。

カロリーとか脂肪分とかをわざわざ考えながら食事を準備することはない。ただバランスだけは考えている。メイン « plat principal »がなんであれ、ご飯かパスタの横には大抵サラダか炒めた野菜と汁物がある。和風にすることもあれば洋風にすることもある。太るとしたら量の問題で、太りそうな料理をしたら翌日は軽めにする。ちゃんとシェフをやっている。冷蔵庫にあるものでなんとかするという技術まで身についてしまった。ついでに言うと、冷蔵庫とストック棚にあるものは大体把握している。買い物前にリストを作ることも滅多にない。すごい(自画自賛)!

料理をする方ならわかるだろう。ほぼ一日中何をするか考えている。最近では母とSky⚫︎eをすると料理の話ばかりしている。子供の頃は買い物に付いて行っていた。男2人兄弟なので今頃本当に娘になった気分。まあいい話題にはなっているということだ。

ところで、スーパーやコンビニで手軽に手に入る惣菜物や弁当、温めるだけでOKというレトルトものや冷凍食品はフランスにもある。ああいったものに口が慣れると悲しいかな自作はしばしば負けてしまう。自分で作ると複雑な味にはしないし、味が定まらないので評判が悪いことがしばしば。実家に帰ったときに手作りのピザを出して思い知った。お皿に半分、いつまでも残っているのを見て悲しくなった。

出来合いの食材を非難するつもりはない。助かっている人もたくさんいる。それでも手作りの味にも時には戻ってきて欲しいと思うのは勝手だろうか?日本の外食産業には行くたびに驚かされる。

フランスでは外食産業にしてもレトルトや冷凍食品にしても、今だに「代用品」のイメージがある(と思う)。

食品業界の将来がどうなるのか知ったことではないが、手作り料理を、ちょっとくらい不味くても「美味しい」と言ってもらえる世界であり続けてほしいと思ってしまう。

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