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キャロットケーキと、母の思い出。1

外出禁止令が出る前、ちょっと良い雰囲気のカフェでのんびりお茶をするのがささやかな楽しみでした。
(といってもこっちのカフェって日本よりずっと高いから、カフェラテとおやつを注文したら、すぐに千円くらいになってしまう…”ささやか”ない、文字通りの”贅沢”やー)

ふと気が付くと、どこのカフェ(おしゃれ系)でもキャロットケーキとアボカドトーストがある。昔のフランスを知らないので何とも言えませんが、たぶんどっちも元々あったものでは無いはず。
アボカドは輸入品だし、キャロットケーキのレシピってだいたいバターじゃなくて油を使ってるし。

ちょっと小話を挟みますが、私の母は昔むかし学生時代に料理教室(フレンチやら欧州各国の料理)のアシスタントのアルバイトをしていたとかで、当時はまだ珍しかった、世界各国の料理を家でふるまってくれました。
記憶にあるのは、ブイヤベース(仏)、パエリア(西)、かぼちゃのスープ(仏)、パンナコッタ(伊)などなど。

しかーし。子どもの私にはその美味しさなど理解不能。ハンバーグやカレーが食べたかった。しかし幼心に気を遣って、母に言えなかった。というか何回か作ってくれたハンバーグもカレーも焼きそばも、すんごくマズかったもんだから、そういうのは諦めた。思えばみそ汁もとても不味かった。みそ汁の中に生煮えのニンジンや変色したピーマンが入っていて、息を止めて噛まずに飲んだこともしばしば。にしても、なんでフレンチ作れるのに、普通の家庭料理できなかったんやろ。笑

そんで、キャロットケーキの話ですよ。
ある日、友達を家に呼ぶと母がキャロットケーキを作って待っていた。「イギリス発祥のケーキよ」などと言いながら、どや顔で友人と私にケーキと紅茶を出してきた母。
※補足:私はしがない地方都市の出身で、いわゆる田舎者です。おやつは、蒸かした芋とかとうもろこし、駄菓子屋さんの「よっちゃん」なんかが主流でした。

当時の私は、「みんなと同じが一番」という日本人気質に支配されていたので、こういう母のハイカラなところが本当に嫌でたまらず、(和菓子とは言わないが、せめてもっと分かりやすいホットケーキか何かを作ってくれ)と、心の中で毒づいたものです。

茶色に白いクリーム。全然フォトジェニックじゃない見栄えに明らかにひいている友人をチラ見しながら、とりあえず一口。食べてどっきり。
ニンジンの土臭さがめちゃくちゃ出てしまっていて、不味いのなんの。堪えきれずに、その場でげ~っと出してしまった。。友人も、一口食べて紅茶をがぶ飲み。。

あれは小学一年生の春だったか。トラウマとはこのこと也。

そんなわけで、フランスのカフェでキャロットケーキを見たときに、あの時の経験がフラッシュバック。
20年以上の時を経て、キャロットケーキを克服できるか試してみたくなり、迷わずトライ。そして気が付いた、ナニコレめっちゃ美味いやんー!!

果たして、当時の母作・キャロットケーキが本当に不味かったのか、私の舌が未熟だったのか、真相は謎ですが、とにかく生きている内に、キャロットケーキの美味しさというものに気が付けて、得した気分です。

なんてことを考えていたら、無性にキャロットケーキが食べたくなり、作ってみました。結論から申し上げますと、こんなに簡単で美味しいとは!!と驚き桃の木山椒の木、でした( ゚Д゚)!!
このレシピ、すごいんでないかと思うので、続きにて公開します。

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