キャリアロードマップ2

前回の記事では、僕が「職業的な自由」を手にいれるためには、フリーランスになるのが手っ取り早い。では、何のフリーランスになるべきか?について検討しましたが、ただ言葉が喋れる通訳ではフリーランスの通訳として付加価値がないという結論に至りました。
今回の記事では、そこからどうすべきか?について考察していきたいと思います。
職業的な自由の条件

  1. どこでも働ける

  2. 安定的な収入を得られれる

  3. 組織に縛られない

フリーランスになれば3の条件は達成できることがわかりました。今回は、何をすれば他の条件が達成できるかどうかを考察します。

付加価値=専門分野

通訳/翻訳の世界で、その人の付加価値は何か?という話になると、まず最初に話題にあがるのが、専門分野の有無です。

どんな専門分野があるか?

大まかにわけると、通訳/翻訳での専門分野は次であると言われています。

  • 工業

  • IT

  • 金融

  • 特許

  • 医療

  • 文学

  • 法務

それぞれの分野の解説については割愛します。
ここで興味があってかつ習得できそうなのが「法務」分野です。

なぜ法務分野?

なぜ法務分野なのかは次の理由が挙げられます。

  • 前職で縁あって法務部門に配属された。

  • 法務部門に配属されたという単純な理由で、副業として裁判通訳の依頼が来た

  • 裁判通訳として、弁護士にも被告(訴えられる側)にも原告(訴える方)にも裁判官にもならずに、ドラマである法廷の傍聴席の向こう側に行けることの非日常間にハマってしまった。

というわけで、そこから法律って面白いなと思うようになりました。それと同時に、語学と法務をかけ合わせればこれは付加価値になるのではないかとも考えるようになりました。

法務通訳の希少性

ここで法務通訳の希少性について検討したいと思います。
これがある程度説得力のある検討ができれば、条件の2を満たせるとも言えます。
今まで僕はメキシコで日本人が関わるメキシコで行われる裁判の通訳を3回依頼されて通訳しましたが、依頼者に聞くところによるとそのうち2回は「裁判の通訳がいない」ということでした。少なくとも、僕の住む地域にはいないようです。
しかし、メキシコにも日本語とスペイン語の優秀な通訳がいたり、その他にも幅広い知識を持った優秀な通訳は結構居るわけです。実際に優秀な通訳にあったこともあります。にも拘わらず、裁判通訳がいないというのはどういうことでしょう。これについて裁判で通訳を使ったことがある弁護士さんに質問できる機会がありました。
理由は単純で、通訳はいるけど裁判の通訳になるとその責任は重大(ミスが人の人生を変えてしまう可能性がある)だからみんなやりたがらない。法律の知識のある通訳がほとんどいない。ということでした。
僕の場合、通訳をする前に偶然独学で日本の民間資格の「ビジネス実務法務検定」の勉強をしていたり、前の職場で法律に関わる仕事をしていたので、法律用語に触れる機会が結構ありました。
このような理由から、直近の裁判での通訳の報酬は日給としてはかなり高額になっています。

メキシコ政府認定翻訳士

また、通訳者の希少性という意味でいうと、メキシコには"perito traductor"(専門通訳/翻訳者)というメキシコ政府(正確には高等裁判所)が認める資格があります。
この資格があると何が出来るかというと、日本語で発行された書類をメキシコの公的機関に提出することが必要な場合、メキシコの公的機関は、メキシコから認可を受けた翻訳者が訳したものでないと受け取ってくれません。
この認定翻訳士というのは、そのための公的書類を翻訳する資格が与えられています。
従って、日本語↔スペイン語の認定翻訳士が現在メキシコに7人程度しかいないという希少性から考えて、必然的にこの資格を持っていれば日本の士業のように翻訳に関しては独占業務が行えて、認定翻訳士はDELEのC1以上の実力がないとなれないので、通訳者/翻訳者としての信頼度も高く付加価値が高いと言えます。

メキシコの弁護士資格という選択肢

さて、前項までで条件の2はクリアできたように思えますが。はたしてそうでしょうか?
確かに裁判の通訳の報酬は良いですが、そもそもメキシコで裁判の当事者になる日本人がどれだけいるでしょうか?また、裁判で通訳が必要となる口頭弁論に日本人が出ていくというのも、裁判手続きのほんの一部に過ぎません。
これを考えると「安定した報酬」を得られるようには思えません。
結局のところ通訳として法務分野のみで勝負するのは無理がありそうです。
であれば、翻訳なら契約書の日本語とスペイン語なら裁判通訳より数はありそうです。まだそれでも安定した収入には遠い気がします。
また、法務分野翻訳通訳には別の問題があります。それは、法務分野の通訳翻訳は、他分野と比べて医療分野と同じくらいひとつのミスが致命的になり、そのミスを防ぐには確かな専門知識が必要であるということです。
これを簡単に説明すると、例えば医療の通訳で訳のミス(薬の名前とか投与の方法とか)は患者の命に関わります。法務分野でも前述した通り、訳のミスでクライアントに多大な損害が出たり、人の人生を狂わせてしまう可能性があるわけです。
つまり、法務分野で通訳翻訳者として活躍したいのであればそれだけ勉強が必要というわけです。
では、「私は法律の知識があります」ということをどのように証明すれば良いでしょうか?
一番てっとり早いのは、弁護士資格です。そこで僕はメキシコの弁護士資格を取得しようと考えました。
メキシコで弁護士があれば弁護士として活動でき、通訳者翻訳者としても信頼度が一気に上がるので、2の条件を満たせる可能性が上がります。
おまけに、法律の知識はどこでも役に立つので1の条件も満たせそうです。

メキシコの弁護士資格の取り方

弁護士資格というと、日本でもアメリカでも超難関資格というイメージがあります。
ただし、メキシコの場合少し事情が違います。
日本の場合、弁護士資格は司法試験に合格する必要があり、その合格率は予備試験から受けると3%程度なんて言われることもあります。

日本よりかは簡単

これがメキシコの場合、弁護士の資格は「法学士号の取得」つまり、メキシコの大学の法学部を卒業すれば弁護士資格を得られるということです。
当然、この制度のおかげで質の悪い弁護士が多いように見受けられますが、僕が見る限り確かな知識を持った腕の良い弁護士も当然います。
資格を取得するということについて、確かに司法試験もないのだから簡単に思えるかもしれません。でも、想像してみてください。
僕がメキシコの大学に入って、スペイン語で法律の勉強をするということは、あなたが日本語でも分からない法律用語や概念や問題を英語で理解する、アウトプットするということと同義なのです。
簡単な道のりではありませんが、これが出来ればメキシコで食いっぱぐれることはなさそうで、「職業的自由」を得ることができそうです。

キャリアマップ2まとめ/僕ができるフリーランス(最終考察)

職業的自由を手にいれるということについて考察し、これを達成するにはどうやら僕の場合、

  • メキシコ国内で弁護士活動

  • メキシコ政府の認定資格を持った翻訳者として活動

  • 専門知識を持った通訳者として活動

がという三足の草鞋が実現性が高いという結論を出しました。
ただ、大卒資格で良いと言っても外国語で法律を勉強するというのは簡単なことではなさそうです。
これには如何に効率良く勉強を進めていくかという戦略が必要になりそうです。
今後、僕の勉強戦略について考察していきたいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?